(20) 合図
「カツォーリのカシラ、おはようございますッ」
「お、おう、おはよう……、ございます?」
朝。
この組織のナンバーツー、カツォーリさんの出勤は早い。
下っ端の俺たちが掃除を終える時間帯には、だいたいいつも来ているのだ。
「それでカシラ、サダナー親分にお茶を淹れたんですが」
「え、いや、ボスはこの時間はたぶんまだ寝てるし」
胸の所をコン。
俺がノックで合図を送ると、高木さんが目を剥いて舌をベロンと出した。
「ヒ、ヒイイッ!」
「親分にお茶を淹れたんですがッ」
「はい、分りましたぁッ」
カツォーリさんは慌てて階段を上がっていった。
「兄様、サダナーさんと話がしたいなら、ちゃんとそう言えばいいじゃないですか」
「うーん、これが一番分かりやすい符牒かと思ったんだけど、これはこれで問題があるかもな」
「若旦那、あっしもいいかげんあの口髭野郎には飽きやした。できればもっとピチピチ新鮮なマヌケ面をお願い致しやす」
「うーん、まだからかわれた事のないニューフェースかぁ。善処してみるよ、高木さん」
「兄様、それにタカギさんもそれは……」
二階がバタバタと騒がしい。
「ボス、ボス、起きて、起きてくださいぃッ! テツの野郎が、テツの野郎がぁ、ボスにお茶を淹れたんですぅッ」
「あー親分、こんな朝から俺に何の話ですか?」
「サダナー。俺の給料を上げてくれ」
「親分、それは……」
なにしろこの業界、初任給、基本給がめっっちゃ安いのよ。
なんかね、「仕事はカネじゃねえ、やり甲斐だ」みたいな?
「だから給料が安くても文句を言わずに目一杯働け」みたいな?
それいったいどこのブラック企業ですかと。
さすがに「カネではなくお客様のアリガトウを集めるために働け」と言わないだけマシだけどさ。
「親分、それは親分への上納金を値上げするってことですか?」
「上納金は五パーセントのまま上げたくない。だから俺の給料を上げてくれ」
サダナーがこめかみを押さえて考え出した。
「親分の言ってることがよく分からねえんですが」
「俺は言ったよな。ミカジメが十なら上納金も十、ミカジメが二十なら上納金も二十と」
「へい。しかしウチはミカジメを五で固定してます」
「確かに組としては五だな。でもお店はもっと多く支払っているようだが」
「それは若い衆への『心付け』のことですか?」
そう心付け。
つまりチップのことだ。
組織の人間が顔を出したとき、お店の人がくれるお小遣い。
むろんそれは呉れるお店側の善意ではある。
しかし善意ではあるものの、お店側が喜んで支払う種類のものでもない。
だって、用事でやって来たイカツイお兄さんに「なんだチップも呉れねえのか?」みたいな態度をとられたら払わざるをえないじゃない?
それってつまり善意の強請だよね。
つか強請された時点でもう善意でなくなってるしさ。
で、こういうチップの強要を組は黙認してるのよ。
黙認というか、むしろ推奨さえしてるのよ。
基本給は安いけど、その分チップで稼いでこいみたいな。
だから組員としても、下っ端のうちは威圧的に振る舞ってチップを稼いでいくわけ。
それがこの稼業に生きるものとしての「器量」みたいに思われているフシもあってさ。
民間人を怖がらせてより多くのチップを集めた男が偉いみたいな、そういう変な文化、そういう変な価値観があるのよ。
「うーん、しかし心付けを禁じてしまうとなると、若い衆の生活が立ちゆきませんが」
「うん。だからその分、組からの給料を上げてくれ。とくに俺の給料を」
「若いうちは心付けを集めて暮らしていく、それがこの稼業のシキタリなんですが」
「だからそのシキタリが間違っているんだろッ」
サダナーが悩んでいるのは組員へのチップを禁止するかしないかではない。
親分である俺が禁止と言っている以上、それに従うより他ないからだ。
だが、古いシキタリに従って一家の長までのし上ったのがこのサダナーである。
そのシキタリを捨てることが本当に正しいことなのか、判断がつかない様子だった。
「あの、サダナーさん」
「なんですか、リューヘー坊」
「これは組にとっても、組員さんにとっても悪い話ではないんです。心付けを禁止すれば、組も組員さんも得をするはずなんです」
「と言いますと?」
「えーと、例えるなら、サダナーさんにとってこの町は牧場みたいなものです。この牧場に丸々と太った羊がたくさん増えれば増えるほど、サダナーさんの実入りも豊かになりますよね?」
「ふむ」
「でも恐ろしい牧羊犬がチョクチョク羊に噛みつくせいで、羊たちは安心して太れないんです」
「ふむ。飼い主の俺が餌を満足にやらないから、犬が腹を空かして羊にかじりつくってことですか……」
「はい。お店の支払いはきっちり五パーセント。それ以外には一切ナシです。心付けを与えないこと、受け取らないこと。それをルールとして徹底させるんです。むろん違反者にはペナルティを課します。心付けを与えたお店にも、受け取った組員にも」
「組としてはその分、若い衆への給料を上乗せするワケですが、そうなりますと組の収益は……」
「サダナーさん。ミカジメを五パーセントに下げて、組の収入は減りましたか?」
「そりゃミカジメの収入は減りましたよ」
「でも口入れ業務や飲食店や賭場の売り上げは増えましたよね」
「ええ、かなり増えましたね」
「心付けを禁止すれば、それがもっと増えます。組全体の収益が上がるんです。いずれ羊たちが丸々と太って組の収益が上がれば、組員さんたちへの給料だってもっともっと増やせますよね」
「ふむ……」
「それに心付けって言いますけど、結局それはルール違反なんです。ルールとして定められた五パーセントを超えてカタギのお店から取っているんですから。ルールを課す立場のサダナーさんが、現状では部下のルール違反を黙認しているんです」
「ふむ、そういうものですか……」
「はい。統治者たるもの、法をけして軽視してはなりませんよ」
「統治者?」
「はい。町の法を定めてこれを守らせ、町を富ませて住民の生活を安定させる。サダナーさんはこの町の統治者ではありませんか」
「ガハハハハ。ボン、それは違う。それは俺の役どころじゃありませんよ。俺は統治者なんてガラでもねえし」
サダナーがチラリと俺を見る。
途中から話についていけなくて大人しくしていたのに。
というか、竜兵があちこちからチップを貰いまくっていることが発覚したんで、単にそれを禁止するのが目的だったのに。
だってコイツ、俺の倍以上稼いでいたのよ?
そんなのあり得ないから!
十二才の弟が兄より稼ぐとか、あり得ないから!
羊とか組の収益とかルールとか統治とかは知らんけど、それだけは絶対にあり得ないから!
「分りました。それが統治者である親分の方針ならば従いましょう。心付けは禁止して、若い衆の減収分は組で面倒を見ることにします。ですが」
「うん?」
「町の統治と言うからには南だけじゃ不十分です。この決め事はトランキーロファミリーの全てに課すべきだと思うんですが」
「そうだね……」
「なら親分、ローヒムたちには親分の口から言っといてください」
「え、俺が?」
「だって親分以外に、連中を説得できる者などいますか?」
「それもそうか」
「一応、俺からの伝言というカタチで体裁はとっておきますので」
「やることはお使いのパシリだよね」
「はあ、親分。俺としてはこんなチンピラごっこなんて早いとこ止めて貰いたいんですがね……」
「行ってきますよッ、喜んで!」
そういうワケで始まった第二回チキチキ王都一周マラソン大会ですよ。
「ぜぇ、ぜぇ、はあ、はあ」
「へえ、ここまで着いてこれたか。竜兵、おまえ意外と体力があるんだな。ダンジョンのときはもっとバテバテだったのに」
「はあ、はあ、ボクだってお使いで毎日走り回っていますからね」
「なにおうッ、俺だって毎日走ってるしッ」
「だから兄様、変な所で張り合わないでくださいよぅ。ホラ、着きましたよ」
「ごほん。こんにちはー。南からのお使いで来ましたー。イビールの親分さんはいますかー?」
城外市東地区を縄張りとするイビール一家。
その長である二代目イビールが、封を切ってサダナーからのメッセージを読む。
少し驚いてから俺の顔を見て、またメッセージを読み、また俺の顔を見る。
そんな何度も繰り返して読むようなメッセージじゃないんだけどね。
文字を習い始めの俺だって、あんなの一秒で読めるわ。
『おやぶんいく。はなしきけ』
「あの……、けして疑うワケじゃないんですが……」
「分かった。じゃあ証拠を見せるから、この鎧を脱ぐのを手伝ってくんない?」
「いや、それはちょっと……」
「ち」
「タカギさん、舌打ちしないでくださいよぅ」
「うーん、この手ではさすがに引っ掛からないかぁ」
ローヒムとシブーもそうだった。
俺の事は疑っても、この鎧には絶対に触ろうとしないのな。
だから仕方がない。
胸をコンコン。
その合図を受けて高木さんが変身する。
古くてみすぼらしい胴鎧から、トゲトゲの黒い全身鎧へと変身する。
「うわぁ兄様、タカギさん、何度見てもカッコいいですぅ!」
コン。
これでまた元の胴鎧に。
「なんですぐに戻っちゃうんですかぁ!」
いやだってなんか照れ臭いし。
「失礼しました! トランキーロの親分が人間に化けられるとは知らなかったものでッ」
うん。このやり取りも飽きたわ。
ふう、いいかね?
俺は元からフツーの人間で、サダナーの下でチンピラをやってる泥亀のテツで、これが弟の竜兵で、こっちがミミックの高木さんで……。
「そんで今日ここに来た用件だけど、これから組員がチップを貰うのは禁止な。だからその分、組員の給料は上げてやって。そうすりゃ犬が羊を噛まなくなって儲かるから」
「分りました」
「えええーッ、今の兄様の説明で分かっちゃうんですかッ!」
「もちろん納得いかないところはありますよ? 親分が普通の人間とか、泥亀がどうとか」
「そこかよ!」
「あの、イビールさん。心付け禁止の話は」
「へい。すぐに通達を出して、下の者にも堅く守らせますので。なあに、親分の言うことですからね。悪いようにはならんでしょ」
「ローヒムさんとシブーさんもそうでしたが、イビールさんも随分と信頼されているんですね。この兄様を」
「ヘヘヘ。実際、親分に下ってから組の収益が跳ね上がりましたからね。親分のすることに間違いはありませんよ」
「ううぅ、ボクから見ると間違いしかない兄様なのに……」
そんなこんなでマラソン大会も無事に終了。
めでたしめでたし。
の、はずだったのに……。
「竜兵大変だッ、なんか背中がモゾモゾするぞ!」
「え、兄様。また赤い光ですか?」
「あっちだ、ちょっと行ってくる!」
赤い人。
俺にとってヤツらは本当に厄介な存在である。
誰かが俺に対して打算もなく親切にしてくれたり、何らかの恩恵をくれたときに発生する赤いカルマの光。
その赤いカルマがモゾモゾ背中をくすぐって、俺のことを地味に苦しめるのだ。
しかし今回その赤い光に輝いていたのは、最大の天敵、善人商人のガタナーさんではなかった。
飯屋のおばちゃんでも、口入れ屋のおっちゃんでもなかった。
「クズじゃないもん! テツヤクンはクズじゃないもん!」
「あのなあ、アイツは魔王様に憧れてフラフラと組織に入るようないい加減なヤツだぞ」
「そうよ、そりゃ確かに魔王様は凄い人だけどさ」
「たったひとりで組織のケンカを収めてしまったし」
「ガタナーさんのことも助けてくれたし」
「魔王様には町の皆が感謝している。本当に凄い人だ。憧れる気持ちはよく分かる。だけど」
「それは魔王様が人間でないからできたことだ。どんなに憧れたって、どんなに頑張ったって、人間は魔王様みたいにはなれっこないのに」
「そんなことも分からないなんて、テツヤはただの馬鹿だよ」
「馬鹿じゃないもん、テツヤクンは馬鹿じゃないもん!」
「だいたい泥亀か何かしらないけれどさ」
「あんな変な髪型でさ」
なにおうッ、それは聞き捨てならんぞ!
「おうおうおうおう、ガキどもコラッ、俺の髪型のどこが変なのか言ってみろやコラッ!」
「げ、テツヤだ!」
「泥亀だ、逃げろ!」
「待てぇコラッ、てめえらぶっ飛ばすぞッ」
ぶわっと散って逃げていく子供軍団。
それで残ったのはただひとり。
今にも泣きそうな顔でこちらを睨んでいる最年少の女の子。
それは赤く光った女の子……。
◇◆◇◆◇
「おうおうおうおう、てめえもさっきから俺にガンつけてんじゃねえよッ」
「テツヤクン、テツヤクンはクズじゃないもん……」
「ああ? 俺はこうやって年端のいかない子供にも容赦なく威嚇するようなチンピラだぞ! アタマのイカれたチンピラだぞ!」
「テツヤクンは馬鹿じゃないもん……」
「だいたいな、おうコラッ、何度も言わせんな、俺はテツヤじゃねえ、泥亀のテツだ。ケンカは弱えが打たれ強え泥亀のテツだ!」
「違うもん! だってテツヤクンは、テツヤクンは……」
少女はとうとう泣き出してしまった。
「えーん、うえーん……」
「あー、あのさ……」
「えーん!」
「あの、ちょっとさ、それ、反則……」
「うえーん!」
泣きじゃくる少女。
その前で棒のように立ちすくむ哲也。
とばっちりを避けるように、辺りにはすっかり誰もいなくなってしまって。
「はあ」
やがて根負けしたように哲也がため息を吐いたのだった。
「なあポポラマ」
それは先程までとはまるで違う、優しく穏やかな声だった。
「おまえさ、なんで俺のことを庇うんだよ。なんで皆と一緒になって俺の悪口を言わないんだよ」
「だって……」
「俺はおまえの友だちでも何でもないのに、なんで俺なんかのことを庇うんだよ」
「だって!」
「だって?」
「テツヤクンは強いんだもん、魔王様よりもずっと強いんだもん!」
「んん……」
「テツヤクンは凄いだもん、魔王様よりもずっとずっと凄いだもん!」
「んんんん……」
またえーん、えーんと泣き出した少女に。
「なあポポラマ、それは違うぞ。俺は魔王様より強くはないし、魔王様よりも凄くもないし」
「ぐす、ぐす、だって、だって!」
「はあ」
仕方がないなと、またため息を吐いて。
「いいかポポラマ。俺は魔王様より強くはないし、魔王様よりも凄くもない。だってホラ、この俺を見なよ」
コンコン。
哲也が胸を二回叩いた。
「え……」
グシャグシャに泣いていた少女のその目が丸くなった。
「えええーッ!」
そこにはもう、粗暴で下品なチンピラなどいなかった。
そこにはモヒカン頭のチンピラではなく、粗末な胴鎧の泥亀ではなく、全くの別人、トゲトゲの黒鎧を纏った男がいたのだ。
一晩で、たったひとりで裏社会の抗争を終結させ、この町に安全と活気と笑顔をもたらした英雄、魔王トランキーロがそこにいたのだ。
コン。
「な、だから俺は魔王様より強くも凄くもないんだよ」
元のチンピラに戻った哲也が、まるでチンピラらしくもない優しく穏やかな声で少女に語りかけた。
「テツヤクン……、テツヤクンって本当は魔王様だったの? テツヤクンって本当は人間じゃなかったの?」
「俺はただの人間だよ。ポポラマと同じフツーの人間。フツーの人間なのに、いつの間にか魔王様なんて変なアダ名で呼ばれちゃってるだけだよ」
「泥亀の方が変なアダ名だよぅ」
「そっちはいいじゃん、俺は気に入ってるんだよ」
「ねえ、どうして?」
「ん?」
「テツヤクンが魔王様なのは秘密だったんでしょ?」
「うん」
「どうしてポポラマには教えてくれたの?」
「どうしてかなあ、たぶんおまえと同じじゃね?」
「ポポラマと同じ?」
「おまえ、俺のことを庇ってくれたじゃん」
「うん」
「さっきはああ言ったけどさ、たぶん俺はもうおまえの友だちなんだと思う。俺が友だちだから、ポポラマは俺のことを庇ってくれたんだろ?」
「分かんない……。そうなのかな?」
「うん、俺にもよく分かんねえよ。だけどさ、俺だって自分の友だちにはあんまり隠し事はしたくないじゃん?」
「テツヤクン、本当は魔王様なのに、ポポラマの友だちになってくれるの?」
「なってあげるとかじゃなくて、もうとっくに友だちなんだろ」
「うん」
「なら仕方ねえじゃん」
「うん!」
「でもさぁ、俺が魔王様なのが他の人にバレると困るんだよ」
「それでいつもあんなに乱暴にしてるの? それでそんな変な髪型にしちゃったの?」
「変な髪型じゃねえしッ。これ結構気に入ってるんだぞ?」
「変だよぅ」
「全然変じゃねーしッ」
「変だよぅッ」
「はあ。まぁそれでさ、俺が魔王様なのがバレちゃうと、俺も竜兵もこの町にはいられなくなるんだよ。こっそりどこか遠い町に引っ越すハメになる」
「テツヤクン、この町からいなくなっちゃうの? 嫌だよ、そんなの」
「うん。だからさポポラマ、このことは誰にも言わないで内緒にしてくれないか?」
「分かった。テツヤクンが本当は魔王様だってことは絶対に誰にも言わない」
「ありがとな。じゃあさ、これからは皆が俺の悪口を言ってても、もう庇ったりしちゃダメだぞ?」
「え……」
「だって、ポポラマが俺のことを庇ったりすると、どうしてそんなにムキになって庇うのかって、皆が不思議に思うじゃん?」
「うん……」
「そしたらそのうち誰かが気づいちゃうかもしれないじゃん。この俺が本当は魔王様なんだって」
「そしたらテツヤクンがいなくなっちゃう……」
「うん。だからさポポラマ、俺の事はもう庇ったりしないでくれよ。皆と一緒になって俺の悪口を言ってくれよ」
「そんなのできないよぅ」
「なあ、頼むよ。友だちを助けると思ってさ」
「うぅ、分かった」
「うん。ありがとう、助かるよ」
「テツヤクンはポポラマの友だちだもん。仕方ないよ」
「俺だってポポラマのことは助けるからな。ポポラマがもし何かで困っていたら絶対の絶対に助けるからな」
「ホントに!」
「仕方ねえじゃん、だってポポラマは俺の友だちだもの」
「うん! 仕方ないよね! テツヤクンはポポラマの友だちだもんね!」
「ようし、じゃあ練習な」
「練習?」
「大きな声で俺の悪口を言ってみな?」
「うぅ……」
「さあ!」
「うぅ、テツヤクンなんて……」
「テツなんて」
「うぅ、テツなんて、大嫌い……」
「もっと大きな声で!」
「テツなんて大嫌い!」
「もっと!」
「テツなんて大嫌い! テツなんて変な髪型ぁ!」
「よ、ようし!」
「テツなんて、テツなんて、最低のクズ男ぉ!」
「いいぞ、その調子!」
「テツなんて、テツなんて、ロリコンの変態男ぉ!」
「それは勘弁してぇッ!」
「うあああ……、兄様ッ、兄様ぁッ、そんな小さい子に、いったい何を叫ばせてるんですかぁッ!」




