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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第五話
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12

 にしても、そろそろ疲れてきた。お屋敷はまだ見えてこないけど、そろそろ休みたいと思ってたら、都合良く木の隙間から建物の影がちらり。それを目印に進んでいったら、一面だけ壁がなくて、柱で屋根の支えられてる、ベンチとテーブルがあるだけの建物があった。


 あー、これ四阿(あずまや)だよ。ほら、ちょっと大きい公園とかで見るような休憩場。

 ………休憩場が必要な庭ってことですか、そうですか。


 でも見つけたからにはこれ幸いと走ってベンチに座る。 それから行儀悪いだろうけど靴を脱いで足をベンチの上に上げた。

 いくら柔らかい素材でできているといっても浮腫(むく)んでしまった足は少なからず締め付けられていたようで、靴を脱いだ途端すうっとした感覚が気持ちよかった。


 吹き抜けになっている一面からは私がさっきまでいた建物が見えた。遠くに屋根と、少しの壁や窓が見えるけれど、小さく見えるから、ここからは大分離れてるみたい。

 ぺったりとテーブルに頬を押し当てた。


 あーあ、やっちゃった。逃げ出した上に迷子になったなんて、二人にばれたらまた怒られる。今度こそ運動全面禁止にされるかも。


 それは嫌だなぁ、と疲れからかぼんやりしてきた頭で考える。運動が好きというわけではないけれど、やっぱりずっと部屋に引きこもってるのは物足りない。今からでも走って帰ればばれずに済むかもしれないと思うけれど、それよりも早く思考が黒に染まっていく。


 (帰らなきゃ……)


 そうは思っても襲い来る眠気に抗えなくて、私はついに目を閉じて浅い眠りに就いた。私の頬を柔らかい風が撫でていくのが気持ちよかった。


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