プロローグ
鈴木 総一郎。25才。総合商事勤務のサラリーマン。
ここまでは、思い出される。
たしか、バイクで事故った記憶はうっすらある。
世界が白い。
死んだのか?
***
目の前に白髪、白髭の威厳のある老人が、豪奢な椅子に座ってる。
「はぁ~」と老人がため息をついた。
「また、転生者か」
頭を抱えている。
俺は、現状を理解できずにいた。
老人がまた、ため息をつきながら言う。
「転生者か、もう飽き飽きじゃ」
「おまえの世界で、異世界転生が流行っているのか?」
俺は訳も分からず言う。
「ラノベとかアニメは、異世界転生はバリバリに流行っています!」
「最近は、悪女転生が多いです!」
素直に元気よく答えた。
老人は3回目のため息をつきながら言った。
「お前らの世界の転生者が多いのは、そのせいか」
「まったく、迷惑なことよのぉ」
「俺は、死んで異世界転生するんですか?」
「そうじゃ、その異世界の神がわしじゃ」
「じゃあ、チートな能力とか、ステータスウィンドウとか」
「ああ、もう!おぬしの世界から来る転生者はまったく!」
神様が頭を抱えている。
「おぬしらの世界の転生者は、要望が多いんじゃ!」
「やれ、チート魔法やら、貴族に転生したいとか、悪女貴族にとか、ああ、もう!」
神様は、おかんむりのようだ。
「まあ、まあ、冷静に」
神様をなだめた。
「おぬしも、面倒な要求をするのであろう?!」
なだめられなかった。
確かに、チートスキルや、貴族転生は魅力だ。
しかし、神様が不憫に思えた。
そこで、無難で神様に負担とならないような提案をした。
「俺は、チートスキルとか、貴族転生とかいりません」
「なんじゃと?」
「他の転生者と違って、細かい要求はないと」
「そうです。第二の人生を平凡に寿命がくるまで生きられればいいです」
「ほほぉ、あっぱれじゃ!欲がないのう」
「ただし、異世界に魔物とか敵がいた場合に殺されるのはいやです」
「どんな攻撃でも平気な強い体と、魔物や敵に対抗できる力は欲しいです」
「それがないなら、寿命まで生きられません」
「ほうほう、なるほどのぉ」
「それじゃ、おぬしには、生き延びるための防御力と、魔物や敵を倒す力と魔法をやろう」
「それで、いいな」
「十分です。寿命まで、粛々と生きます」
「おぬしは、楽でええのぉ」
「ほれ、受け取れ、寿命が尽きるまで楽しく暮らすがいい」
俺は、知らなかった。この要求がとんでもないことに。神様も知らなかっただろう。




