第12話:対ゾンビ戦
白目をむいて襲ってきた少女に対して僕はとっさにその場を離れた。
「ぐぅうるるる・・・がぁああああ!!」
少女はゴーレム1体に抑えてもらった。ゾンビとはいえ少女、とてもじゃないが倒すことはできない。
「もしかして、ゾンビ!?聖水をかけてない死体があるってことはまさか!?」
死体に聖水をかけてゾンビ化を防ぐのはクラーラの仕事だ。
僕はクラーラの身によからぬことが起きた可能性を考えたが今はそんな時じゃないと首を振った。
周囲からうめき声が聞こえたので見わたすとゾンビと化した兵士たちがゆっくりと起き上がり僕に向かって歩き始めた。
その数ざっと100・・・いや、それ以上だ!いくら日本軍がいるからと言って不死身の軍団に囲まれたらまずい!
パパパパーン!
そばで銃声がしたので振り向くとゾンビになった日本兵たちが僕らに向かって撃って来た。
「ヴでぇぇぇぇっ!!」
パパパパーン!!
「おわぁつ!」
とっさに僕が伏せたために後ろにいたゾンビたちが次々と倒れて行った。
「ヴヴぁぁ・・・。ヴぁんざぁぁあぃ!」
「どぉずぅげえええぎぎぎぃ。」
剣を抜いたゾンビ日本兵たちが1人の兵士の掛け声でヨタヨタと走って来た。
「テーッ!」
パパパパーン!ドーン!ドーン!ドーン!
フジタさんの掛け声で99式歩兵銃とやらを構えた歩兵たちと95式軽戦車・97式中戦車が応戦、あっという間に眼前の敵は塵となった。
取りこぼしの殲滅を『重戦士』のエルーシュが彼らより前に出て薙ぎ払い、『弓兵』のヨーヤカーラがエルーシュの取りこぼしを射止めているという感じだ。
「すごいな。」
一度ゾンビや魔物になった人間は倒されると塵になって消えるので倒されるたびに断末魔の叫びを上げながら消えていった。
僕もゴーレムを錬成しゾンビと化した男性兵士を次々に倒して行った。
それでもかなりの数倒している彼女たちや日本兵たちの戦果には及ばない。
僕はあまり活躍出来ていない悔しさと、ゾンビになってしまった者たちに何もしてあげられない非力さで胸が張り裂けそうだった。
なんだかんだで残ったゾンビは僕が捕まえた少女だけになった。
「アルバート少尉、ゴーレムに放すよう命じてくれ。」
「いや・・・しかし。」
「君の気持は分かる。だが、彼女だって好きで不死者になったわけじゃない。それにこのままだと君の幼馴染も助けられん。」
「わかり・・・ました。」
僕はゴーレムに少女を放すよう命じると一目散に僕の方に向かってきた。
「ヴぉおお・・・。」
すかさず連隊長は剣で彼女の首をはねた。
失血死だったのかそこまで血は吹き出ずに糸が切れたように倒れて動かなくなった。
「南無阿弥陀仏・・・よし、お前ら乗り込め!!出発するぞ。」
僕は車に乗った後も憂鬱な気分が抜けなかった。
「気にすることはない。お前はよくやった。」
「・・・ハイ、連隊長殿。」
「そうよ。気に病む必要ないわ。」
「ありがとうビアトリクス。でも、僕は何も役に立てなかったし・・・。」
「気にすることねえっすよ!誰でも得意不得意はあるんすから!」
「エルーシュ・・・。」
「はぁ・・・いいかねアルバート大尉、曲がりなりにも君は一軍の将だ。部下よりもしゃんとしてなきゃいかん!もっとしっかりせい!」
「でも、少女と戦うなんて・・・やはり間違っていると思います。彼女たちだけはどうにか見逃せなかったのでしょうか?」
「アルバート大尉殿・・・。」
「このっ・・・それでも男児か!?貴様ッ!!」
連隊長のビンタが僕の右頬に当たった。それと同時に胸倉をつかまれた。
「よく聞け!これは戦争だ!ここは戦場だ!いいか!?そんな腑抜けた考えは今すぐ捨てろ!われら日本軍は年端も行かない幼気な少女を敵としてこの戦争で何千何万と殺してきた!一番苦しいのは我々なんだ!」
「フジタ連隊長殿・・・。」
「いいか?彼女らは敵だ!それ以上でもそれ以下でもない!敵は誰であっても倒さなければいかん、殺さなければいかん!その理は誰にも覆せんのだよ!お前も彼女たちも、部下も・・・そしてこの私もだ!」
当たりに静寂が漂う。
「・・・すまん、興奮して我を忘れた。許してくれ・・・。」
「・・・・。」
そうだ!ここは戦場、僕は・・・いや俺は軍の中で一番偉い人なんだ!しっかりしなくちゃクラーラに顔向けできない!
そう思った俺は両頬を両手でバチンと叩いた。
「皆さん、お見苦しいところをお見せして大変失礼いたしました。もう私は大丈夫です!」
「うむ!良い表情になった。それでこそ男児だ!」
「ハイ、連隊長殿。それに、部下を先ほどのように叱咤激励するのも上官の役目ですしね。」
「ああ、嫌な役目だがな。」
心配していた彼女たちも俺が元気になったおかげで笑顔を取り戻した。
・・・・・
そうこうしているうちにビアロスを抜けサルヴァスヴァメベについた。
道中で複数のゾンビや抵抗勢力に囲まれたり、戦争で済む家を失った難民たちを乗せていくうちに夕方になってしまったが・・・。
「ついにたどり着いたか・・・。ここで必ずクラーラを救出して、その後は帝都に赴いてこのふざけた戦争を終わらせる!!」
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