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第1話:プロローグ

「アルバート・・・いよいよ祝福の儀が始まるぞ。」


「ハイ、父上。」


昔から我が国で信仰されている7大神のなかで一番位の高い太陽神を信仰する教会の中は神聖な空気が漂っていた。


神聖で厳格な空気が僕をより緊張させる。


胸まで届く立派な白髭を蓄え、太陽を模したペンダントを首にかけた神官長が壇上に現れて、貴族平民問わず祝福の儀を行う。


とは言っても時間で区切られていて今は貴族の時間だ。


「アルバート・フォン・ソングロディア次期伯爵当主、前へ!」


「は、ハイ!」


僕は父上に負けないくらいの緊張の面持ちで壇上に登る。


剣の稽古をできないなりに頑張ったから、せめて下級ジョブの『戦士』より身軽に動けるようになる戦士の上位互換である中級ジョブ『軽戦士』にはなりたい!


僕は神様にすがる思いで祈った。


「汝、アルバート・フォン・ソングロディア次期伯爵当主の与えられたジョブを発表する!ジョブは上級ジョブの・・・。」


上級ジョブが確定したことで危うく俺はガッツポーズを取りそうになった。


だが、油断は禁物だ。なんせ上級ジョブには貴族がなると追放されると噂の『創造者』があるのだから。


沈黙が走る。それを確認した後、神官長様が両腕を広げて高らかにこう告げた。


「『創造者クリエイター』である!」


「・・・・へ?」


最悪だ。


趣味でやっていたゴーレムいじりが仇になった瞬間だった。


それから4年間は地獄そのものだった。両親からはいないように扱われ、神託の儀から1年後に同じ儀式で『剣聖』のジョブを授かった弟からは剣の練習と称してボコボコにされたりした。


「これで終わりだ。アルバート!」


弟の剣が脳天に当たる寸前・・・。


天幕の中で目が覚めた。どうやら昔の夢を見ていたようだった。


眠気と戦いながら天幕から出ると、だだっ広い草原にはむせかえるような香りがあたりに充満しておりここが嫌でも戦場であることがわかる。


だがそこには誰もいなかった。僕が寝るための布団と天幕だけが残されていた。


「本当に捨てやがったよ。あの愚弟。」


僕は軍服を着たまま佇んだ。


―――1日前―――


僕たちは今、異世界からやって来た二ホンとかいう国の軍隊に圧倒されていた。


「くっ!敵の数が多すぎてこのままじゃ魔力切れを起こすわぁ!!アルバート、いつものあれ!追加でやりなさい!」


「ま、任せてください!マクドルナ大尉殿!」


金髪ツインテール釣り目で胸の大きな女性軍人にせかされて僕は地面に手を置いた。


「いでよ!ゴーレム!!」


すると、地面からいつものように3階建ての建物ぐらいの大きさのゴーレムを20体ほど召還した。


そして、召還されたゴーレムたちに向けて手をかざし、敵を殲滅するイメージを作り上げた。


「よし!頼んだぞ!」


ゴーレムたちは頷くと地響きを上げながら前進し、敵である奇妙な杖を持った魔導士と鉄の破城槌を薙ぎ払った。


だが、生き延びた鉄の破城槌が放った一撃が数体のゴーレムを粉砕した。


やはりアダマンタイトでコーティングされてなければ撃破されるか・・・。


さらに、動きが遅いゴーレムの隙間を縫って数人の敵軍兵士が雄たけびを上げながら突撃してきた。


あっという間に間合いを詰めた敵兵士に対して指揮官でもあり弟であるベンデグス大隊長を守らんと兵士たちが白兵戦を繰り広げた。


こちら側の兵士にはこの戦いとは別に起きている魔王軍との戦闘で大半の男性が死んでしまったため、人手不足を補うために年端も行かない女の子も混じっている。


なので、彼女たちがやられるたびにいたたまれない気持ちになる。


「ああ、そんな・・・。」


「うおおお!!!」


呆然と立ち尽くしていると、僕の方にも剣を構えた敵兵士が迫って来た。


「う、うわあああ!」


僕は必死で応戦しなんとか倒すことに成功したが直後にパーンパーンパーンという乾いた音と共に左足と脇腹を彼らが持つ魔法の杖から放たれた石つぶてに撃ち抜かれた。


「ぐうっ!」


「まったくしょうがないわねぇ!『雷球ヴィラングンブ』!」


マグドルナは球状の雷を複数個放てる下級雷魔法を石つぶてを撃った兵士たちに向けて放ち感電させて気絶させた。


「た、たすかったよ。ありがとう。」


「ふん。次から気負付けなさいよぉ。」


「大丈夫?」


蒼髪ショートボブの女性隊員が僕に近づいてきた。


「く、クラーラ・・・うっ!」


僕はクラーラに野戦病院と言う名のテントまで担がれた。


そこでクラーラはタオルを僕の口にくわえさせ聖水をかけてピンセットで石つぶてを取り出した。


これが地味に痛い。


「ぐううううっ!」


幸い致命傷に放っていないが、歩けるようになるのに少し時間がかかるだろう。


「しみるし痛いけど我慢して!」


何とか石つぶては取り出せたようだ。


「あ、ありがとうクラーラ。」


「どういたしまして・・・うふ。」


「て、鉄の飛龍が来たわ!」


片足でジャンプしながら天幕を出て、視線を少しばかり上にあげると独特の音を上げながら羽ばたかずに翼を広げたまま飛ぶ敵飛龍が数騎程飛来してきた。


あれが頭上に来たら阿鼻叫喚の地獄が待っていることを皆が知っているため、場が慌ただしくなった。


「またよ!また地獄がやってくるわ!」「畜生!日本軍め!」「こうなったのも陛下とカオ・ルオン伯爵のせいよ!連中が日本の要求を拒否したから!」「というか何をどうしたら魔王軍に対抗しうる勇者と間違えて異世界の軍隊を召還するんだ!!」


絶望に打ちひしがれる皆を見ていた時、マグドルナが焦りの表情をにじませながら訴えて来た。


「ねぇ!アルバート中尉!!地対空魔法を放てないでしょぉ!ゴーレムをどかしなさぁい!!」


マクドルナが敵と白兵戦を行いながら怒鳴って来た。


「無理です!マクドルナ大尉殿!ゴーレムにそんな臨機応変な行動はとれません!!」


そうこうしているうちにいつの間にか白兵戦を終えて黄色いオーラを纏ったマクドルナが立っていた。


「ここなら放てるわねぇ・・・喰らいやがれ!鉄の飛龍!!『レイジ・オブ・ザ・サンダードラゴン(雷龍の怒り)』!!!」


マクドルナの右手のひらから現れた魔法陣から龍の形をした雷が複数体出現しゴーレムたちの隙間を縫って鉄の飛龍の群れに当たった。


マグドルナの切り札であるLv3の雷魔法だ。


すると鉄の飛龍は急におとなしくなりすべて墜落して爆発炎上した。


「・・・今度は間に合ったわぁ。」


弟の方を見ると見るからに不満そうな顔をしてこちらを睨んでいた。

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