第23話 転換期
6月がもう終わる。
――俺ももう終わるよ。
そんな、辞世の句でも残したい気分で週末を迎えていた。
みなさん元気かな?俺は…気絶していたよ。
とても週末に執筆する気分ではなかった。
わずか一日で、悪魔の暴落からゼンモしたキオクシア。
のび太君の家出かな?なんて、軽くディスりながら悦に入っていた自分の愚かさを自覚した。
翌日の金曜日、さらに下へゼンモしたからだ。暴落→ゼンモ→ゼンモという異常事態。どこからともなく表れたキングギドラが暴れに暴れてくれたのだ。
資産はまた5,000万円になった。ガチに5,000万円ジャストだ。かろうじて割らなかった。
これは持っているとは言えない。また一日で1,500万円溶けたことに変わりはない。
ホルムズ関連では、またトラさんが空爆を始めたなんていうし、原油先物は上昇、世界の市場で半導体関連株が下落中。どう考えても月曜日に爆上げはない。というか、さらに下げそうな気配が濃厚だった。
どないしよ?
もう戦略もクソもない。まだ含み益がある状態だが、仮に含み損になっても、ここまで来たら上がるまで持ち続けるほかなかった。ガチャガチャやる余力も(気分も)ない。
そして、週が明けた今日、月曜日。
まあね、上がるとは思っていませんでしたよ。
でもね、そんなに悪材料はなかったわけ。朝イチでトラさんがまた停戦するなんて言ってたし、前日10%下げた銘柄は空売り規制がかかって、大量の空売りができなくる。
それに、韓国で大統領臨席のもと、韓国の半導体企業(サムスンとSKハイニックスはキオクシアの数倍の世界トップ企業)に大規模投資の発表をするなんて話もあって、爆下げ要素はないと思っていた。
だから、朝は普通に寄ったよ。
なんなら、少し上げて寄った。ふう、と息をついたものだ。
が、そこまでだった。わずか数分の安息だった。
もう一気にガラが来た。エグいガラ。見るのが嫌になったよね。
10時の時点で、83,000円台に下落!あっという間に8,000円ほど坂道コロコロしてしまったのだ。
あのね、感覚がおかしくなってくるよ。また1,000万円溶けたんだから。
2日で2千万。1日1千万消えていく。悪魔どころじゃないな、セーブする前にオメガと神龍にカチ合ったような気分だ。
もういいや、ってなる。
――どうにもならないことなんて、どうにでもなっていいこと。
名言だ。どうにもならない。だがね、どうにでもなっていいわけないんだよ。
こんなことは今までなかった。一日で10,000円もボラがあるトンデモ銘柄ではあったけど、ここまで掘られたことはない。
それから乱高下を繰り返す。というか、今日はほとんどチャートを見ていない。
まだ含み益があるにせよ、塩漬け状態で売るつもりはないし、笑えて来るからだ。精神が崩壊する。
結局、85,000円あたりで上下しながら、午後2時頃には最安値を更新し、82,100円をつける。
ああ…終わった。マジでそう思った。
資産が減りに減って、4,000万円すら割りそう。まあ、いい夢見れたからもういいや。って感じで、悟りを開いていたほどた。
外はまるで梅雨が明けたような青空。俺の悟りに天が祝福してくれている。
世代ではないのだが、「普通の女の子に戻る」と言って、ステージにマイクを奉納した山口百恵の心境だ。いや、キャンディーズだっけ?
まあ、とにかく。スマホをぶっこわ…じゃなかった、電源を切ろうとした。
その時だった。株価が反転し、急上昇を始めたのだ。
グングン上昇していく。俺はスマホと凝視していたよ。大引け(後場の取引が終了する最後の売買)までに、約6,000円戻してしまったのだ。
アレ?もしかして、俺まだ生きてもいい?
女神か悪魔か知らんが、蜘蛛の糸を降ろしてくれたんだよね。
というわけで、500万円ほど凹み、資産は4,500万円になったが、なんとか精神は保たれた。
しかし、ポジションは買い1,200株のまま。明日も下落すれば、重大な判断を迫られる。
すべて損切りして、資産4,000万円を死守するかどうかだ。ここでボケっとしていると、一気に3,000万円まで割ってしまう。
もはや、完全に潮目が変わったと思わなければならない。
株価が10万円を超えたことで、大量の利確が入り、売りが売りを呼ぶ展開になっている。
Yahoo掲示板も悲惨なコメントの嵐だ。業績がいいのは誰しもわかっているから、なおのことタチが悪い。さすがにちょっとやそっとじゃ回復しないと思う。
言われているように、俺としては半導体バブルとは思っていないのだが、急上昇しすぎた感はある。なんかメモリーの高騰で、メモリー関連会社が悪者のように言われているっぽいし。
マジに撤退を考えるところまできているのだ。
明日は、6月の最終日。
明日の今頃は、僕は汽車の中…じゃなかった、俺は何を思っているだろう。
良い報告ができることを期待してくれ。




