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ネットニュースとコンテストをハックして金儲け  作者: 伊藤テル


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【03 喫茶店】

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・【03 喫茶店】

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 あーしの家の前の喫茶店は、外装は小奇麗にしているけども、中は実際問題見たことが無い。何故なら行ったことが無いから。

 喫茶店ってドレスコードあったっけ? と思いつつ、舞江お姉ちゃんの家に行った、制服のままでいる。

 舞江お姉ちゃんは家着そのまま、胸元だるだるのシャツとパンツがはみ出そうなホットパンツで、まともな大人には見えない。

 バイト志願って言っていたけども、さすがにバイト志願はドレスコードあるっしょ、だから舞江お姉ちゃんは門前払いの可能性もありそうだ。

 すると舞江お姉ちゃんが喫茶店の前で、

「愛華、一応スカートを極限まで短くしておいて」

「え、何でっ? 逆に?」

「この喫茶店はジジイ一人でやっている店だから、ダメそうだったら色仕掛けするから」

「えー、そういう見られる前提の動きは結構ハズいほうなんだけども……」

「いやまずはアルバイトとして潜入するから、これはマスト、つーか命令」

 舞江お姉ちゃんの助けが無くなることは、もう死というか、闇バイトを意味するので、ここは従うしかなかった。

 あーしがスカートを捲り上げるところを目視した舞江お姉ちゃんはセミロングの茶髪をかき上げて、

「じゃあ行くよ」

 と言って入店していった。自分が上げるのは、耳の上の髪の毛だけかい。いやまあホットパンツを少しでも上げたら絶対パンツ見えてしまうだろうけども。

 あーしも舞江お姉ちゃんのあとをついていくように歩いていくと、喫茶店のおじいさんが顔を見せて、

「はい、おかえりなさい。お二人様」

 と、初めてのお客であるあーしにもそう言って、何かヤだった。こういうの、何か、ホントにヤ。

 おじいさんは好々爺というよりは、気難しいジジイのように、目つきの悪いおじいさん。

 そのおじいさんはまるで品定めするように、あーしの脚と舞江お姉ちゃんの胸を眺めながら、

「好きな席へどうぞ」

 と言った。言い方はマイルドだけども、目の奥には野性が秘めているようだった。

 舞江お姉ちゃんはそのまま、おじいさんの前に立ち、深々とお辞儀をしながら、

「アタシたちをアルバイトとして雇ってください」

 おじいさんは明らかに舞江お姉ちゃんのだるだるの胸元を覗いていた。

 相当スケベそうだ。鼻の下も分かりやすく伸びている。まあ舞江お姉ちゃんは事前に下調べしているのだろうなぁ。だからまあ流れであーしにも『おかえりなさい』と言ったのかも。でもまあヤだけども。

 おじいさんはアゴに蓄えた白髭を触りながら、

「う~ん、今募集していないしなぁ~」

 と言ったわけだけども、飲食が自分の髭を触るな、汚らしい。

 舞江お姉ちゃんはあーしを見てから、また正面を向き、

「どうかお願いします!」

 と、また頭を下げたので、あーしも頭を下げることにした。

 さて、おじいさんの返答は、

「う~ん、募集していないんだけどもなぁ~」

 じゃあもう断れよ、ギャルとの会話はしていたいけども、じゃぁないんだよ。ハッキリ断って終わらせろよ。

 あーしは舞江お姉ちゃんよりも先に顔を上げて、舞江お姉ちゃんのほうを見ていると、なんと顔を上げた舞江お姉ちゃんは瞳から涙が溢れそうになっていたのだ!

「どうしても……ダメですかぁ……」

 ちょっと桃色吐息気味の”かぁ”で、色仕掛けのターンに入ったんだなと思った。というか泣いている演技までするって、相当のサイコパスだし。

 おじいさんはアゴ髭を人差し指でいじいじしながら、

「まあねぇ~、う~ん、そんな雇うほどの客も来ないし~」

 ハッキリ金が無いって言えよ、あとお客さんが誰もいない時はお客さんのこと”客”って言い方するの、ホントにヤだな。このジジイ、嫌な人間の煮凝りだし。

 さて、舞江お姉ちゃんはどうするかと思って見ていると、

「ゴメンなさい。アルバイトなんて嘘をついていました。いやこの子はそうなわけですが」

 と言って、こちらをチラリと見てから、また口を開いた舞江お姉ちゃん。えっ? 乗っ取りに来たって正直に言うの? サイコパス過ぎる。

「アタシは貴方のようなオトナな男性のことが気になるんです。まずはアルバイトとしてお近付きさせてください!」

 そう言って勢いよく頭を下げると、瞳から涙が零れた。

 おいおい、乗っ取りたいが本音なのに、よくそんなことを言えるし……。

 ジジイはニヤニヤすると、

「そうかそうかぁ~、あ~、なら~」

 と何かを言いかけたんだけども、舞江お姉ちゃんはそれを遮るように、

「出来高払いというか! 最初はタダでいいので! どうかアルバイトとして置いてください! この子も、アタシほどではないのですが、貴方のファンで!」

 えー! ファンということにさせられたー! あーし、この数分間で完全に嫌いになったのに!

 ジジイはフゥッと一息つくと、

「最初はタダでいいんだな」

 舞江お姉ちゃんは嬉しそうに、

「はい! お近くにいれるだけで!」

 ジジイは腕を組んで、

「ならいいだろう」

 舞江お姉ちゃんは意味無くその場でホップして、胸をあからさまに揺らしながら、

「有難うございます!」

 と言い、ジジイは大興奮といったように、舞江お姉ちゃんの胸を完全に直視していた。

 というかタダでアルバイトって……あーしはお金が欲しいのに……ホントに舞江お姉ちゃんを頼って正解だったのだろうか。

 その日は夜七時、閉店まで、ジジイから仕事レッスンを受けた。

 民宿の手伝いをしているあーしからすると「そんなにホスピタリティ、無くていいんですか!」って感じだった。クソ楽だった。

 常連は確かにいた。ジジイは常連に舞江お姉ちゃんとあーしのことを紹介というか、むしろ自慢をしていた。常連も全員ジジイで、ずっとスケベな目で見られて、ホントに気持ち悪かった。でもあーしも舞江お姉ちゃんのことを手伝うしかないのだ。乗っ取り計画のために、ってことで。

 夜七時半に帰ることになり、あーしは即座に家で民宿の手伝い。いかに喫茶店がぬるかったか思い知らされた。あーしのちゃんとした自由時間が出来たのは午後十時半だった。

 そこから舞江お姉ちゃんに連絡すると、テレビ電話方式で、改めて作戦会議ということになった。こっからはあーしがすることをいろいろ教えてくれるらしい。

 ちなみに喫茶店は基本顔を出さなくていいという話だった。あーしは籍だけとりあえずあればいいらしい。心の中でデカめのガッツポーズをした。

 舞江お姉ちゃんからまず最初に言われたのは、

「顔出しOKのJK文学者はあんまいないからどんどんやっていけ」

 だった。

 またコンテストのコツを教えてもらった。

 応募上限が無い川柳や標語のコンテストには、自分が最高に良いと思ったものの他に、クソみたいなヤツも投稿したほうがいいとアドバイスされた。

 もうホントに、何も捻っていない、ただ言葉を連ねただけのヤツとかも全然投稿して良い、と。

 選者のセンス・レベルが分からないので、とにかくいろんな種類の投稿をしたほうがいいという話で。

 ネーミングのコンテストも、全く凝っていない、そのままのヤツも一応投稿したほうがいいみたいだ。

 何故なら、選者の中ではある程度ネーミング候補が決まっていて、それこそ宣伝のためにコンテスト形式にしているだけのコンテストもあるから、と。そういう賞は誰かから投稿があった、民意があるていにしたいだけ、だと。

 また、ネーミングのコンテストはある程度受賞派閥が決まっていて、そのままか、全部ひらがなか、お洒落過ぎるヤツしか受賞しないと言われた。あとはめっちゃ運だと。

 そのままはそのまま、全部ひらがなは出来るだけ可愛く、お洒落過ぎるヤツはフランス語などに言い換えて、それを由来にする、と。あとはめっちゃ運だと。

 結局ネーミングはめっちゃ運だと言われた。何故なら第何回と積み重ねる賞じゃないので、選者もセンス云々よりも、まず選考することに慣れていないから、と。

 第何回とか回数を重ねている川柳のコンテストには時事ネタもアリだと教えてくれた。特に大谷翔平が良いらしい。大谷翔平は万能越えて、全能らしい。

 回数を積み重ねていない川柳コンテストには二刀流を投稿することが義務らしい。ハッキリと国民の義務と言った。

 小説や詩や短歌のコンテストは、一応していてもいいけども、あんま時間を割き過ぎるな、とは言われた。

「舞江お姉ちゃん、最初に顔出しOKのJK文学者って言っていたけども、文学って基本小説とか詩とかじゃないの? それこそってヤツ、そんなしなくていいの?」

「しなくていい。というか受賞しない。小説とか詩とか短歌って選考委員全員センスあるから難しい。特に出版社主催は会社の命運かかっているから、付け焼刃じゃ受賞しない」

「じゃあ一切しなくていいってこと?」

「でも自治体主催の文学賞は狙ってもいいと思う。何故なら自治体主催は若い投稿者が好きだから。とにかく若ければ若いほど加点してくれるよ。まあ出版社系でもそうだけどね、実際アタシがもうちょい若い時は一次通過程度でも直接電話くれたコンテストも大手出版系であったし。ハッキリ若いですねって言われたよ」

「そうなんだっ、じゃあ一応書いてみるのもいいのかな」

「そうだね、小説と詩と短歌なら、詩が一番やってみる価値あるかもね。詩が一番若い人が少ないジャンルだから」

 年齢というのも結構関係するんだなぁ、と思っていると、舞江お姉ちゃんが、

「じゃあ町おこしの話もしていくか」

 と言った時に、町おこしというジャンルもあるんだったと思い出した。民宿に直結するのも大事だし、ちゃんと聞いていこう。

 舞江お姉ちゃんはさっきよりも堂々と、こう言い切った。

「町おこしはネットニュースをハックするぞ」

「ネット、ニュースを、ハック……?」

 あーしはバカみたいな疑問声を出してしまったわけだけども、舞江お姉ちゃんは気にせず続ける。

「ネットニュースはドーパミンが出るモノしか見られないから。だからとりあえずお手軽に出来ることとして、性欲を刺激するコンテンツをアタシと愛華の二人で、SNSメインで一緒に投稿していこう」

「ドーパミンが出るモノしか見られないってバチクソ偏見だ!」

 ついあーしは大声を出してしまった。というか偏見もそうだけども、性欲を刺激することもやっていかないといけないってこと……?

 舞江お姉ちゃんはうんうん頷きながら、

「いや偏見でもなく事実だ。性欲を刺激するモノや、ランキングモノなどドーパミンが出るモノしか本当に見られないんだよ」

「偏見であってほしかったし……」

「で、性欲を刺激するSNSをやっていくわけだが、まあ愛華はギャルファッション好きだし、少しくらいは大丈夫だろ? ビッチだし」

「ビッチ・ファッションね! ファッションが好きなだけ! ということは、強く言わせてもらうけども、まあ、お金を得るためなら、ちょっとくらいなら……でもネットニュースってSNSやってれば取り上げられるの?」

「そんなことはない。SNSは二の矢とか三の矢だ」

 あーしは小首を傾げながら、

「じゃあ何でSNSするの?」

「まずはネットニュースの仕組みの説明からだ」

「そっ、そかっ」

「ネットニュースは基本一部の媒体しか発信を許されていなくて、有象無象と思いきや、ちゃんと許可を取っている業者しかネットニュースって流せないんだ。あんな釣りだけのクソ見出しなのに」

 あーしは目を丸くしながら、

「え、ただのネットにアップロードされる記事とは何か違うの? そういうのがランダムで勝手に配信されてるんじゃないの? あんなクソなのに」

 舞江お姉ちゃんは深く頷き、

「そう。ただ個人がブログに記事をアップロードしただけではネットニュースで配信されることはない。ネットニュースは一応信頼された情報媒体からしか発信出来ない仕組みなんだ。あういうネットニュース系のアプリとか、ネットニュース系のサイトに載る記事というものは」

「そうだったんだ……誰でもすぐに配信出来ると思っていた……」

「だからネットニュースへ記事を掲載する権利を持った情報媒体からしかネットニュースは配信されず、まあ今回狙うのは地方新聞社、特に地方スポーツ新聞社だな。地方スポーツ新聞社に取り入って、アタシたちが書いた記事をそちら名義で配信してもらわなければならない」

「取り入るってどうするの?」

 舞江お姉ちゃんは怪しく微笑むと、

「健全な接待」

 と言った。絶対健全な接待じゃないことは目に見えていた。

 舞江お姉ちゃんは「はいっ」と編集点みたいな言葉を挟むと、

「まあ簡易的なネットニュースの説明は終わりっ、んでもってSNSをすることだが、勿論自ら発信力を持つということも大切だが、基本は地元スポーツ新聞社に取り入るための布石だな。地元スポーツ新聞社は自分たちで価値を判断する能力が無いから、とにかくSNSのフォロワー数が多ければ気にしてくれる。だから女性が手っ取り早くSNSのフォロワーを増やすなら、水着を着て胸を揺らす。これに限るということだ」

「そ、そうなのか、な……」

 半信半疑ではあるけども、確かにそうかもといった部分もある。

 舞江お姉ちゃんは何だか満足げに、

「まあ説明はこんなもん。明日も暇だろ? 家にある水着全部持ってきて、アタシの家へ来なさい。撮影会やるから」

 そっか、水着を着て胸を揺らす動画を撮らないといけないわけか。何この用事。クソ女の人生過ぎるし。

 でも舞江お姉ちゃんの言っていることに破綻は無いので、言われるがままにやるしかない。相当偏見が過ぎるような気はするけども。

 というわけで、次の日の放課後、今日は民宿に誰も来ないという話なので、手伝いは無く、水着を持って舞江お姉ちゃんの家へ行った。

 そこでアカウントを作ると、舞江お姉ちゃんが、

「さて、オープン初日のラーメン屋で一番大切なことは何だと思う?」

 急に何の質問? と思いつつも、

「接客かなぁ」

「おい愛華、ちょっと風俗過ぎるだろ」

「そんなことないでしょ!」

「もっと普通に考えてさ」

 普通に、と言われても、あとはシコシコ麺とかシコシコとか、逆にもっと風俗な言葉しか思い浮かばない。

 すると舞江お姉ちゃんはフフッと笑ってから、

「正解は味だ。最高に美味しい味を開店直後から提供しなければならないんだ」

「いやクイズにするほどのことじゃないし、普通過ぎた」

「でもそれが一番なんだ。のちのち美味しくなったところで、最初のイメージが悪ければ誰も行かないだろ?」

「あぁ、なるほど。のちのち良くなるじゃダメってこと? あーしたちのSNSも」

「そう、つまり最初が肝心だから、最初こそ少しキワドイ動画も掲載しておくんだ」

「それはホントにそうかもっ」

 というわけで、あーしと舞江お姉ちゃんは胸を揺らすだけじゃなくて、舌を出したり、舞江お姉ちゃんは棒を咥えたりした。あーしにそこまで強要してくることはなくて、そういうところはちゃんとしてくれるんだな、とは思った。いや一緒に胸揺らせと言ってくる時点でちゃんとしていないかもだけども。


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