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――竜賢さん曰く。
『神聖力』とは、『世界樹の女神』が「生」在るもの全てに”癒しと祝福”を等しく与えた『恵み』。
対して『魔力』、こちらも『世界樹の女神』が「生」在るもの全てに”生きる術”として等しく与えた『知恵』なんだとか。
そもそもこの世界は、『魔力』と『神聖力』という二つの力が、対立するのではなく、互いを補い合って世界の調和を保っていたらしい。
けれど、いつからかその均衡が崩れ、今では『魔力』が増大し、『神聖力』はほとんど見る影もないのだという。
どうして均衡が崩れたのか、竜賢さんに訊いてみたら「…昔過ぎて皆忘れおったわ」って…
竜賢さん、ここ、シリアスな場面なんですけど?
肝心なところで耄碌すんな、じじぃ。
もともと『世界樹』は神聖力寄りだったから、その守護をしていた竜賢さんは私の『聖水』を飲んだことで、私が持つ力が”魔力”ではなく”神聖力”だと気づいた――というわけだ。
「おそらく本来『聖杯』は片方で”魔力”を、もう片方で”神聖力”を測るのであろう」
――それは分かった。
そりゃぁ、魔力がない人間が、魔力を測る方で魔力を測っても結果が出ないのは当たり前である。
…謎かけみたいな言い回しだな。
じゃぁ、なんで「次、神聖力測ろうぜ」って話にならなかったのかってことよ。
「わしがこの森へ来る以前より、神聖力を見かけるは極々稀であっての…この森に来てからは尚更のこと…」
「――…で?」
「そも、わしらドラゴンは己が力量を”競う”ことはあっても”測る”ことはないしの…」
「ほぅ?」
それってつまり…
「…竜賢さんが”神聖力”の存在をすっからかんに忘れていて、しかも『聖杯』の正しい使い方を知らなかったから、神聖力測ろうぜって話にならなかった、ってことですか?」
「うむ」
だから…「うむ」じゃねぇのよ。
竜賢さん……そんなドヤ顔で言われても……
――…やっぱり、こいつ、ぶん殴っていいですか?
――結局。
私には魔力は全く無く、代わりに神聖力がある事が判明しました。
(なんか、後ろで「痛いのぅ…」って言ってるけど知らない)
じゃぁ神聖力は何が使えるのか、といえば――なんと!
スキルが使えるんだとか。
やったね!
そのスキルも『聖水』を飲み干すことで一度だけ授かる可能性があるらしい。
ただし、どんなスキルを授かるかは、これまた運次第…
くじ運もそうだけど、ガチャ運も悪い私にとっては無理ゲーしかありません。
せめて30連ならなんとか……ならないか。
ちなみに、竜賢さんなら何のスキルが貰えたか鑑定できるかな?と思って訊いてみたんだけど。
「神殿で鑑定してもらわんとな…」
「え。鑑定のスキル、持ってないんですか?」
「持っておらぬよ」
「…ドラゴンなのに?」(←偏見)
「……」
念の為「ステータスオープン!」的な事をやってみたら、竜賢さんから「…主は、一体何をやっておる…」と真顔で呆れられました。
本気でハズカシかったデス…
一応、ステータスプレート的なモノはないか訊いてみたんだけど…
「そのような便利なモノがあれば、さぞかし苦労はせぬであろうなぁ。そも、人というのは…」
と、なにやら説教が始まりました。
すみません。ホントごめんなさい。勘弁してください…
魔法やスキル関係は神殿の管轄らしく、どれも専用の道具で確認しないと分からないんだそうです。
(なんか後ろでまだブツブツ言ってる…長くなりそう…)
その神殿を管理・運営しているのがみんな大好きエルフさんなんだとか。
彼らは大昔から『世界樹の女神』を信仰していて、各地に神殿や礼拝所を建てているんだって。
エルフが建てた神殿……響きだけで分かる。
絶対きれいなやつだ。
竜賢さんの(説教の合間の)話では、前に来た『迷い人』の記録も彼らが管理しているらしい。
そういう意味では、彼らが帰れる方法を知っているかもしれないので、スキルの鑑定を含め、神殿には行かないといけないみたいです。
スキルはともかく、帰る方法はすんなり教えてくれるかなぁ…教えてくれないだろうなぁ。
ただ、この世界のエルフさんは人嫌いで滅多なことでは表舞台に出ないんだとか。
竜賢さん曰く、不老に近い長寿で、他種族と距離を置く孤高の存在。
――うん。知ってた。
エルフって、だいたいそういう設定だよね。
やっぱり、そう簡単には会えなさそうです。
「主、聞いておるのか?」
あー…ハイハイ。
聞いてます聞いてますよ~
じじぃの説教は永い…
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