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赤い花

読書家のマリア

 ――立派な魔女になるまで外に出てはいけないよ。
 祖母の家に住むマリアは屋根裏で一日中、本を読んで過ごしていた。外への憧れを募らせながら、あらゆる世界を文字と挿絵で満喫する。そして時折、魔法の練習を続けるのだ。
 いつか立派な魔女になって、家を出て両親を探そう。優しい家族に見守られながら、素敵な本の世界に囲まれながら、マリアは未来に憧れていた。
 そんなある日、いつものように魔法の練習をするマリアのもとに現れたのは、影だけの男の子だった。
 ――もっと魔法を見せて。
 無邪気に笑いながらねだる彼との出会いが、マリアの成長を促した。

※全5話
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