表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/4

第4話

 

 俺の名前はアシベ・ヒロ。

 ──運び屋だ。

 報酬次第でどんなにアブナイモノでも運んでみせる。

 裏社会の住人に俺の名を知らない奴は居やしない。

 プロ中のプロ、超一流のプロである俺は、日々の体調管理を怠らない。

 依頼の遂行ミスに、体調不良など言い訳にはならないのだ。わかるだろう?

 そんな俺の体調管理法は、ランニングだ。

 ふっ。そんなことで……などと侮っているのだろう?

 ちょうどいい。これからこの俺が、実際に走って教えてやろう。

 裏社会で生き抜く力。それを養う走り方を。

 まずは軽く体をほぐす。

 いきなり走り始めるなど、イキった坊やのすることだ。そうだろう?

 ほぐれたらゆっくりと走り始める。

 大事なのはここからだ。俺は走り出したらもう、止まらない。

 もう誰もこの俺を止めることなど、できはしないのだ。


 ーーにゃぁん……ゴロゴロ……

「ん〜?ここがきもちぃんでしゅか〜?そうでしゅかぁ〜」

 

 俺は、ネコが好きだった。

 足元に絡みつきながら、時折へそ天で転がるもふもふ……わかるだろう?

「ふふっ。ごめんにゃ〜?今ちゅ〜る持ってにゃいのだ〜」

 俺は無闇にエサを与えたりはしない。それが裏社会の、ルールだからだ。


 ゴホン。さぁ、ここからだ。

 俺のランは今ここから始まる。そうだろう?

 もう誰も!この俺を止めることなど、できはしない!


「こちらの用紙にご記入、お願いいたしまぁ〜す」

「あぁ、えーと、ア・シ・ベ・ヒ・ロ……電話番号は……ゼロ・きゅうーー」


 俺はモニターアンケートが好きだった。

「ご協力ありがとうございまぁす!こちら記念品で〜す」

 ポケットティッシュももらえた。

 一流の運び人たる者、不意の鼻血にだって、もう慌てない。


 さ、さぁ!ここからだ!ここからが本当のスタートだ!

 本気モードの俺が止まることなど、あり得ない!


 ーーピッポー、パッポー……

「あらら、おばあちゃん、危ないよ?荷物持ったげるからーー」

 

 俺はお婆ちゃん子だった。

「ん〜?あんた見ない顔だね?いいのかい?」

 ふ。プロ中のプロである前に、一人の人間だ。そうだろう?


 俺は見ず知らずの婆さんと一緒に、ゆっくり横断歩道を渡る。

 手を繋ぐことも当然、忘れはしない。

 歩行者信号は赤だったが、裏社会に生きる俺には、関係ない。


 渡りきった婆さんが飴ちゃんをくれた。

 俺は甘い物が、好きだった。


 ふと見上げれば、目の前には俺の住むマンション。

 あれ?何のために外出たんだっけ?……まいっか。


 俺の名前はアシベ・ヒロ。

 ──運び屋だ。

 報酬次第でどんなにアブナイモノでも……運んでみせる。



 つづく?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ