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未定  作者: 苺タルト
2/7

第2話


明日香の母が二人を呼びに部屋に入ると、気持ちよさそうに寝ていた。

寄り添うように、まるで子供のころを見るようだった。


「あらあら(笑)」


母は笑いながら二人を起こしたのだった。


寝ぼけた顔で二人して下りていくと、豪華なご馳走が並んでいた。


「わぁぉ!おいしそう♪」


二人が席につくと、祖父の挨拶で乾杯し、大晦日の宴が始まった。



もっぱら、久々に来た啓輔の話しで盛り上がる。

ドラマの裏話しや、今度主演が決まった映画の話し。

親戚中が興味深々に耳を傾ける。


“ピンポーン”


出前の年越しそばが届いた。

えびの天ぷらが乗ったおそば。


「エビぃ〜♪」


明日香は一口で頬張ると、


「さいほー!(サイコー!)」


と言った。


「ところで、明日香ちゃんはいい人みつかったかな?」


啓輔の父が言った。


「ぶっ」


明日香と啓輔は同時に吹き出した。


「なんだ?二人して。」


啓輔の父は首をかしげた。


「おじちゃん、毎年ながら急だねぇ。」


明日香はばらまいた蕎麦を拾った。


「そろそろ結婚したっていい歳だろ。」


ガハハハハと笑う啓輔の父。


「いい歳って…」

「親父、毎年そんなこと言ってんのかょ…。」


啓輔も呆れ顔。


「お父さん以上に心配してるのさ。一人娘だからな。嫁に出したくないんだょ。」

ビールを飲みながら言った。


「まだ早い。」


明日香の父は言った。


「ほら、あのお隣りの彼は?」


啓輔の父は、明日香の父をシカトして続けた。

啓輔の箸が止まった。


お隣りの彼…。


「幼なじみですから。」


明日香は言った。




明日香が食べ終えてお風呂に行っている間、啓輔は“お隣りの彼”について聞いてみた。


「啓輔達が越してってすぐ買い手がみつかっただろ。その息子が明日香と同い年で、明日香が友達になって世話役やってたんだよ。」


「あの二人は付き合ったわけじゃないんだよな?」


と、明日香の父が母に聞いた。


「明日香は好きだったみたいですけど、一度はフラれたのよ。」


明日香の母が言った。


一度は…?


「お隣りの彼って大地くんって言うんだけど、高校生になって今度は大地君がフラれたのよ。明日香に付き合ってた人がいて。直接明日香に告白したわけじゃないから、未だに明日香は大地君の気持ち知らないんじゃないかしら?」


しかしよく知ってるな、おばちゃん。


「そのあとは仲良くはやってるみたいだけど、どうなのかしらね?」


明日香の母も気になるところらしぃ。


「今はお互いに相手がいないなら、両思いだろ?付き合っちゃぇばいいのに。」


啓輔の父が言った。


そうか…明日姉の好きだったヤツが隣に住んでるんだ。


すると、お風呂から上がった明日香が帰ってきた。


「明日香ちゃん、お隣りの彼のこと今はもう好きじゃないの?」


啓輔の父は酔っ払うと女みたいになる。


「嫌いじゃないですよ。いつも一緒にいるから。」


と言って、明日香はビールを一口飲んだ。


いつも一緒に?


「バイト先同じですものね。」


明日香の母が言った。


「あぁ、じれったい二人だなぁ。」


啓輔の父はとうとう壊れだしたようだ。


「親父(怒)」


啓輔は呆れてしまった。


「おじちゃん大丈夫?」


明日香は笑っていた。


人の気も知らないで。


そうこうしているうちに年が明けた。

啓輔は明日香にグラスを向けて


「おめでとう。」


「おめでと。」


改めて乾杯をした。


それから二時間も飲んでいると、さすがに明日香も眠くなってきた。


「あたしもぅ、れる…」


立ち上がり、フラフラ居間を出ていった。

啓輔は後を追い、明日香の腕を肩にかけた。


「大丈夫かょ。」

「じぇんじぇんらいじょうぶ。」

「大丈夫そうじゃねぇな。」


啓輔は明日香の部屋に入り、明日香をベッドに寝かせた。


「けぇすけありがろ」


そう言って明日香は寝てしまった。


「まるで酔っ払いの親父だな。」


啓輔は布団をかけてやって部屋を出た。



翌朝 1月1日



目が覚めると、自分の部屋の天井が見えた。


あれっ?なんで部屋にいるんだっけ?


明日香は体を起こすと猛烈な二日酔いで目が回り出した。


今何時ょ…10時。


下はもぅちびっ子たちが暴れ回っているようだ。

重たい体をベッドから出して、エアコンを入れて、お決まりのコーヒーをセットして、下におりていった。

下におりていくと、母がすでにキッチンに立っていた。


「おはよ…」


明日香は冷蔵庫を開け、二日酔いに抜群に効く液キャベを取り出した。


「あら、珍しく早いじゃない。」


母は、朝ご飯を作っていた。


「みんなは?」

「啓輔くんはまだ起きてきてないけど、お父さん達はもぅ始めてるわよ。」


居間を覗くと、父ゃ啓輔の父はすでに飲み始めていた。


「じじぃのくせに、タフだね。」


液キャベを一気に飲んだ。


「おはょ」


啓輔がキッチンにやってきた。


「おはよ。」


「明日姉、顔ひどっ」


明日香の顔を見て言った。

二日酔いで顔がひどいことになっているらしぃ。


「失礼ね。」

「明日香はいつもこんなんですよ!」


母が笑って言った。


「シャワーでも浴びてサッパリしてらっしゃい。」


母は言いながら、お茶碗に山ができるほどご飯を盛った。


誰が食べるんだ…?


「そうする。コーヒーおとしたけどくる?うっぷ…だぁーゲップが液キャベの味するぅ(涙)」


明日香は部屋に向かった。

啓輔は遠慮なくコーヒーをいただくことにした。

明日香は啓輔にコーヒーを入れてやり、


「すぐ戻るから。」


と言って、タオルを持って風呂場に行った。

ほんの5分で明日香は戻ってきた。


「ホントに早いな。」

「うん、カラスの行水だもん(笑)」


明日香は笑って答えた。


「今日は何してる?」


啓輔は砂糖と牛乳をたっぷり入れたカフェオーレを飲みながら言った。

「特にないなぁ。」

「神社に初詣行かない?」

「いいね!行こうよ。」


明日香たちは、朝ご飯を食べた後、地元の神社に向かった。

出店が出ていてお参りする人や出店の食べ物を買いにくる人で賑わっている。

お参りするのに一時間以上も列んでしまった。


「何お願いしたの?」


啓輔が聞いた。


「言っちゃったら叶わなくなるかもしれないじゃない。」


明日香は言った。

すごい人混みを神社の入口に向かって歩いた。

明日香は、気付いたら啓輔とはぐれていた。


「啓輔」


どこを見ても人だらけ。

入口で待つことにして、鳥居へ向かった。

人を掻き分け前に進むが全然進まない。


「明日姉!」


後ろから手を掴まれた。


「啓輔!よかったぁ、いなくなっちゃったかと思った。」

「こっちのセリフ。勝手にいなくなるなよ。」

「ちょっと待ってよ、あたしが悪いの?」

「オレは真っ直ぐ歩いてたもん。明日姉は?」

「…イカ焼き見てた。」

「ほぉらぁ(笑)イカ焼きって。」


啓輔は笑い出した。


「何よ。」

「似合いそうだなって思って。」


ゲラゲラ笑い出す啓輔。

明日香はむくれて、


「知らない。」


と言って歩き出した。


「明日姉!ごめん。またはぐれちゃうょ。」


明日香の手を握った。


「はぐれたっていいわよ。一人で勝手に帰るから。」

「スネるなょ(笑)」

「スネてない!」

「ごめんって。」

「もぅ、バカにして。」


むくれながらも、無事入口に到着した。

鳥居を出ても手を離そうとしない啓輔。


「ねぇ、もう迷子にはならないけど。」


明日香が言うと、


「いいじゃん、このままで。寒いし。」


と言って、啓輔は握る手を強くした。


大きくて温かい手に、明日香は不思議な胸の感覚を覚えた。

段々鼓動が速くなっていく。


なんだ?この感じ。


疑問に思いながら、それも手を離すことないまま家に帰った。


帰ると、母がお雑煮を作って待っていた。

二人は居間でお雑煮を食べ始めた。

もぅ、おじちゃんと父はできあがって寝てしまっていた。


「親父たち飲み過ぎ。」


啓輔は呆れて言った。


「毎年そうだょ。」


明日香は汁をすすった。


“ピンポーン”


チャイムが鳴った。

母がパタパタと玄関に向かう。


「あら〜!おめでとう。明日香なら居間にいますよ。」


母が来客に言っている。


「明日姉に客みたいだな。」

「うん。」


構わず食べ続けた。

客人が誰だかわかっていたからだ。


「よぉ!あけおめ。」


居間に入ってきた客人は身長が180センチもある巨人。

隣に住む噂の彼、“大地”


「おめでと。私に用?それともママのお雑煮食べにきたの?」

「両方(笑)親戚?」


聞いてもいないのに察しがついた母が、大地のお雑煮を持ってきた。


「おぉ!おばちゃんありがと。いたたぎます!」


大地は機嫌よく食べ始めた。


「従兄弟の啓輔。」


啓輔と大地は互いに会釈した。


「そんで、私に用って?」

「ふん、ひーふぃひーかひにひた。」

「あぁ、DVDね。サブデカの映画でしょ?」


すげ・・・俺にはわからなかったぞ。


啓輔は関心した。


「ほぉ!」


餅を頬張り飲み込むと、


「ダカとヨウジが久々にみたい。」


と、言った。


「おもしろいよね。啓輔、蒲鉾あげる。」


明日香は、啓輔のお椀に蒲鉾を入れた。


「じゃ、人参食べて。」


啓輔は人参を明日香のお椀に入れた。

すると、たまたま居間に来た母が


「10年経っても、相変わらずね。」


笑いながら言った。


「なにが?」

「小さい頃、この子たちいつも嫌いなもの交換してたの。啓輔くんは10年ぶりにきたんだけど、あの時のままおっきくしたみたぃ。昨日二人が昼寝してたときも懐かしく思っちゃった。」


嬉しそうに話す母。


「ふーん。」

「啓輔見て何も言わないあたり、相変わらずテレビ見てないわね?」

「ん?」

「言わなかった?従兄弟に芸能人がいるって。」

「言ってた。えっ?じゃぁ…あぁ!」


思い出したようだ。


「君があの『国の中心で愛を吠える』とか出てた俳優さんか!」


大地は目を輝かしている。


「はぃ。」


啓輔は控え目な感じで言った。


「ご馳走様。大地、部屋行くよ。啓輔も来る?」

「俺はいいよ、もう一杯食べるから。おばちゃん、おかわり!」


母にお椀を渡した。


「わかった。」


明日香と大地は部屋に行った。


あれが恋敵かぁ。

悔しいけど、長身でカッコいい。


「心配?」


明日香の母がお椀おいて言った。


「何が?」


汁をすすった。


「明日香と大地くん」


明日香の母が言うと、啓輔は汁を吹いてしまった。


「あちぃ〜。」


明日香の母は笑いながらフキンを渡した。


「明日香は一度フラれてるからわからないけど、大地くんは明日香のこと今でも好きね。」


まるで啓輔の気持ちを見透かしたように明日香の母は言った。


「頑張んなさぃ!」


明日香の母は台所に行ってしまった。


おばちゃん…気付いてる?



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