十人抜き 一人目
ここは、何も無い、真っ白な世界。あるのは、黒い棒一本だけ。
・・・・・・ここは、何処だ?俺は、何時から此所にいる?左右を見渡してみるが、何も無い。しばらくうろうろしてみる。
・・・何も無いな・・・。
俺は、自分の体をみてみた。
細い体に、丸い頭。そうとしか表現できない。まるで子供の落書きだった。
俺は、体を動かしてみた。跳んだり走ったり、転がってみたり。
問題なく動く。そうやって体の具合の確認をしていた。
そのときだった。俺の頭上に、黒い文字が書かれたのは。
そこには、こう書いてあった。
【十人抜き】
あぁ、そうか。俺は、ここで闘えばいいのか。
体を低く保ち、ファイティングポーズをとったとき、目の前に黒い棒人間(以下黒棒)が現れた。何の前触れもなく、突然に。
黒棒は、俺と目があった途端に、殴りかかってきた。
一直線に繰り出される、単調な突き。
俺は、拳があたる直前、ほんの少しだけ身をそらした。
それだけで、避けるには十分だった。
パンチが外れ、バランスを崩している黒棒の頭に、全力で肘を入れた。
ゴキッ!!!
それだけで、黒棒は動かなくなった。
数秒後、黒棒の体は弾けとび、頭上に【一】と浮かび上がった。
残り九人、このペースでいけば直ぐにカタがつきそうだ。
そう思いながら、俺は走りだした。
今回は棒人間の視点で書いてみました。この十人抜きは、もうしばらく続きます。
なんか短かったので、次はもっと長いお話にしようかな、なんて思っています。




