るー14
騒音トラブルについてうちの会社の別部署に相談があったという事はその部署は交渉課だろう。
営業成績の悪い会社も彼らに依頼すれば前年度の三倍は営業利益を出すことができるほど交渉が上手く、個人間のトラブルもそこら辺の弁護士に頼むより圧倒的に解決できるというやばい集団だ。そこに依頼されればきっと問題は解決していたしもしかしたら今回の事件も起きなかったかもしれない。
なぜ依頼は取り下げられたのかを考えているとスマホが鳴った。
『もしもし、私は彦根警察署の鈴木と申します。
タモンさんのお電話で間違いないでしょうか?』
「はい、大丈夫です。なぜ私に電話を?」
『同僚の松木さんからこちらにお電話をして欲しいと言われましたので。実は高田さんの家からお預かりした犬の遺体なんですが高田さんからうかがっている状況と違う事が多すぎて困ってまして。』
「具体的にはどういう事ですか?」
『まずナッツちゃんはメスだと聞いたのですがこの遺体はオスでした。死因等も調べたのですが毒物や致命傷となるものは発見できませんでした。』
「そうなると死因は何だったんですか?」
『詳しくはわかりませんが年もとっていたようなので老衰だった可能性もありますね』
「この情報は松木にも伝えてもらえましたか」
『犬の性別の確認はさせてもらいましたが死因の方はお伝えしてません。』
「そうでしたか、ありがとうございます。他に何か変な事ありましたか?」
『そうですね、今お伝えした事くらいですね。また何かありましたらご連絡します。』
「ありがとうございます。」
警察の方の電話を切り、色々と考えると謎な事が多すぎている。
確かナッツちゃんは飼い始めて1年も経ってないくらいらしいので、老衰で死亡したとするならあの犬はナッツちゃんではない可能性がある。しかもメスだと聞いていた犬がオスだったというのもあるのであの犬の遺体が違う犬であるというのが現実味を持って来る。もしも違う犬だったとするなら本物のナッツちゃんはどうなったのかという問題も出てくる。半年前に近所迷惑の相談が来ていたのにそれが取り下げられたというのも考えると一つの可能性が出てきた。色々と調べないといけない事があるし、誰が仕組んだ事なのかというのも気になる。もしも高田さんの周りの人間なら誰がしたのかというのが気にあって仕方がなかった。とりあえずこの考えがあっているのかを確かめるためにも確認を進めていこうと思った。