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ブロークンハーツ  作者: 橘光
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第8話 逃したものは

大分遅れました。申し訳ありません。

人々で賑わう学校の食堂。そこで遥はラーメンを持って移動していた。

「はあ…最悪かよ…」

唐揚げ定食が売り切れていたのだ。ここに来る前、校外学習の役割を先生に報告しに行っていた。だが、そんな時間で売り切れるとは思ってもいなかったのだ。

「15分で売り切れるか…?」

「今日は最初から少なかったんだとよ。」

横から焼肉定食を運ぶ修也が告げる。2人はテーブルに料理を置き、席についた。

「まあ、とんこつも好きだけどさ……」

「うん、ここの美味しいよね。」

後ろから、同じとんこつラーメンを持ってきた晴之が言った。確かにここの食堂の料理は何をとっても美味しい。麺を口に入れた瞬間に、濃厚でコクのあるスープの香りが口いっぱいに広がる。しっかりとした太麺を一度すすれば、頭が二口目を要求する。どんぶりに添えられている海苔と一緒に麺を食べれば、相性は抜群である。量が多いのに、飽きさせないトッピングと味付け。なるほど、晴之が好きなのもよく分かった気がする。

「……うん、たまにはいいかな。」

ここが本当に高校の食堂なのかを疑いながら、そう呟いた。


場面は変わって鉄塔の上、時刻は午後6時47分。遥は、今日も次人種を狩りに来た。鉄塔から辺りを見回してみると、マンションの近くに次人種を見つけた。スプレーの表示は1、さっそく鉄塔から降りて次人種を目指す。しかし、マンションに着いたとき次人種の姿は無かった。

「…どこに行った?」

辺りを見回す遥だが、突然強い衝撃が遥の後頭部を直撃した。

「ぐあっ!?」

地面に体を叩きつけられるも、状況を把握しようと立ち上がった。衝撃が来た方向を向いてみると、マンションの影から次人種が出て来ていた。完全な不意打ちを喰らい、かなりのダメージが体に残っている。

「待ち伏せか…賢いやつが出てきたな…」

そう呟いた時、次人種の右腕が飛んできた。その腕をライトニングで斬りつける。次人種の右腕は煙となったがその刹那、次人種の左足が飛んできた。ライトニングでガードするも、大きく後ろに飛ばされる。まだ不意打ちされたダメージが残っていて、少し目眩がする。

「…こりゃ…相当まずいな…」

いつものように素早い動きは出来ないかもしれない。ならどうすればいいか…。そんなことを考えさせまいと言わんばかりに、次人種がこちらへ向かってくる。右腕が段々元に戻っていくのが分かる。

「ノーリスクは無理か…」

遥は決心した。この作戦はあまり好きではないのだが、死ぬより100倍マシだ。

『Radiation!』

気体がライトニングに吸い込まれる。ライトニングはやがて光を帯び、向かってくる次人種に反抗の意を示す。

「お前を倒して、救われるやつがいる!」

そのために俺は……。次人種の左腕が飛んでくる。遥は、光を帯びたライトニングをアスファルトに突き刺し、固定した。正面から次人種の左腕が遥を直撃したが、地面に固定したライトニングを遥が掴み、必死に踏ん張る。凄まじい衝撃が遥を襲う。吹き飛ばされずに、しかし逃がすまいとすかさずライトニングを引き抜き、両腕で左上へ振り上げる。

「肉を切らせて…骨を断つ!」

『Rightning Attack!』

ライトニングはアスファルトを大きく割り、左腕から体へと斬撃が次人種を襲う。それにより左手と下半身を失った次人種は、遥に対しての戦意も消失。逃げようと必死に消えかけた両手を動かす。だが、そんな状態で大したスピードが出るはずもない。遥は次人種にゆっくりと近づき、コアをライトニングで突き刺した。その場で一気に煙が生み出され、滞留する。

「はあ…はあ…」

遥はすぐにその場に座り込んだ。体力を元に戻すには、まず一度変身を解いて再変身する必要がある。しかし、遥は呼吸を整えたい衝動にあった。頭のダメージを受けてから、ほぼ極限状態と言っても過言ではない状況の中の策があれだったのだ。少し休憩したい、少しだけ。しかしそのとき、遥の体は何者かに掴まれ投げられた。

「なっ…!?」

まだ変身状態だった為、かろうじて受け身をとることが出来た。投げた相手を確認すると、その次人種は明らかに他の次人種と違っていた。しかし、この次人種に似ている者には会ったことがある。人間そっくりの体で、スプレーに感知されない。おそらく、ガストと同じくくりに入るタイプだと理解した。

「誰だ!」

声を上げても大した反応はしなかった。こちらをずっと見たまま、煙が滞留してる場所へ近づいていく。やがてその次人種は黒く染まり、その黒は辺りに広がっていく。その黒が滞留する煙まで飲み込むと、球体のように包み込み地面に沈んでいった。

「…逃げ…た…?」

おそらく逃がしたのはとてもまずい。煙を回収しないと、その次人種はやがて復活する。しかし、遥にとってはあの新しい次人種も新たな脅威となった。中途半端に手を出せばどうなるだろう。

「潰すしかねーか…」

そう呟いて、一度変身を解除するためにスプレーを胸元に当てた。

『Absorption』

【次回予告】

「はあ…」

『ごめんね…』

『このこなまえなーにー?』

『かわいいわよね。』

『いっぱいあそぼうね!』


第9話 記憶の家族

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