番外編~文化祭①~
さて、ハロウィンが終わり、一息つく間もなく大学は文化祭である。文化の日に合わせて行われる大学祭だ。ハロウィンでの騒動があったが、予定通り開催されることになった。私は特にサークルも部活も入っていないので、出し物を出店する予定はなく、文化祭も面倒くさいので行かない予定だった。しかし、ジャスミンは行きたいようだった。
「蒼紗は学際には行く予定あるかしら。行くとしたら私と一緒に決まっているわよねえ。学際は2日間行われるけど、どっちに行こうかしら。蒼紗はどっちに行った方だいいと思う?」
「私はいかないつもりですけど、ジャスミンの言い方だと、私は勝手に行くことにされている気がするのですが……。」
いつも通り、話を聞く気がないジャスミンである。しかし、今回はジャスミンの他にも私を学際に誘うものがいた。
「朔夜さんはいかないんですか。何か大事な予定でもあるのですか。」
声をかけてきたのは綾崎さんだった。別に予定などないが、人混みが多いところには極力行きたくないだけである。
「予定なんてないわよね。だって、蒼紗は私と一緒に学際を回る予定だもの。綾崎さんは誰かと回る予定でもあるの。」
「私はサークルに入っているので、お店を出店する予定なんです。だから、もしよろしければ、私の出店するお店に来ていただけたらと声をかけたのですが……。」
明らかに私が学際に行かない雰囲気を察して落ち込んでいる。なぜ、私の周りには私の意見を聞かない人が集まってくるのだろうか。
「何の店を出す予定なのかしら。蒼紗と回るときに立ち寄ろうかしら。」
「来てくださるのですね。うれしいです。私たち『妖怪調査サークル』は……。」
私が学際を回る前提で話は大いに盛り上がっている。これではいかないといっても聞いてもらえそうにない。仕方なく、私は学際に行くことになった。
家に帰って、学際のことを九尾たちに話すと、3人は行きたいと言い出した。
「学際か。面白そうだな。我々も行くことにしようかのう。主は何か店を出店はしないのか。」
「学際なんて、久しぶりです。楽しみです。」
「俺は別に言っても構わない。」
なぜだか3人とも学際に行くことにノリノリである。私だけが行かないといっているのは、私が普通ではないからだろうか。まあ、皆が行きたいと言っていて、私も誘ってくれているのだ。せっかくだし、参加してもいいだろう。
「仕方ない。じゃあ、学際はみんなで一緒に回りましょうか。」
私の提案に3人はとても喜んでいた。こうして私は学際に行く方向で話を進めていった。
学際は土日に行われた。金曜日は学際の準備で大学の授業は休講とのことだった。話し合いを進めた結果、1日目にジャスミンと回り、2日目に九尾たちと回ることになった。
念のためと天気予報を確認すると、どうやら学際1日目は晴れだが、2日目は雨の予報になっていた。しかも雨は本降りで風も強く、雷も鳴るという荒れ模様の予報がされていた。
もしかしたら、2日目はあまり楽しめないか、最悪、中止になってしまうかもしれない。天気予報を一緒に見ていた九尾たちはじっと私を見つめてきた。しかし、私はそれを無視することにした。1日目は綾崎さんと会うことになっている。そこで、九尾たちと一緒に回っていたら、説明が面倒くさい。




