表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/264

早朝のコドモ作戦会議

 お兄様は典型的な夜型で、あまり早起きできない。私が起こしてあげないと寝続けるので、ヒミツの用事があるときは好都合だ。今朝もお兄様をワザと起こさずに、服に着替えて顔を洗い、3階の寝室から2階のソファのあるリビングに降りた。


「カナルさん、おはようございます」


「おはようございます。兄さんは?」


「まだ寝てます。昨日は遅くまで作業していたようですから」


 カナルは「そうですか」と静かに言って、ワゴンから取り出した軽食を、私の前にあるローテーブルに並べていく。私もカナルからカトラリーを受け取り、セッティングしていった。


「お兄様が寝ているうちに話しておきたいのですが……」


「あぁ、ジン対策ですよね?」


「ええ。今日、『天使の虹』が出た島に入るなら、ジンとの遭遇を考えておく必要があります」


「あの島の上陸できる場所は限られています。そこさえ気をつけていれば、ジンとの遭遇はないですね」


「いえ、そうではなく……。カナルさんはヒトに気づかれないような小型の発信器は持ってないですか?」


「……まさか」


「ええ、その『まさか』です」


「無茶苦茶ですよ!! 何言ってるんですか!?」


「静かに! お兄様が起きてしまいます。守るばかりでは攻め込まれますし、私の性に合いません」


「合う、合わないってことじゃないですよ? ジンに発信器をつけてどうするんですか!」


 私の注意を受けたカナルは、声のトーンを落としつつも、声を荒げて言う。


「ジンは必ずフィリーオ兄様に接触しようとしますから、ジンの居場所を事前に知ることができれば対策しやすくなります」


「ええ、わかりますよ? とってもシンプルで明快だけど、無茶苦茶だって分かってます? 相手は諜報員ですよ!?」


「諜報員ですが、人間です。油断を誘って攻めるんです!」


 カナルは頭を抱えてソファに座り、「反対しても、言い出したら自分でやるって言いそうなので、これ以上言いません」と、ため息をつくだけだった。私はカナルの返事に満足し、「このことは、お兄様にはヒミツですよ?」と、念を押す。すると、カナルが顔をしかめながら、「ルナさんの方こそ、ウッカリ兄さんに話さないように気をつけてください。兄さんの添い寝は続いてますよね?」と言い出した。


「そのことですが、添い寝禁止は断固拒否されてしまいました。『自分が把握しなかった情報があったがために、私がトラブルに合って大ケガでもしたら』って恐れているみたいです」


「確かに、今はルナさんの保護者の役割もしてますからね。兄さんの性格を考えると、そんなことになったら一生自分を責め続けそうだ。兄さんは、ルナさんの状況を全て知っておきたいと?」


「ええ。そう言われしまったので、何も言えないです。根本的な解決にはならないけど、ジンの情報は流さないように気をつけます」


 私はカナルと二人で少し早めの朝食をとり始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ