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未来転生~令嬢、前世で一番苦手なゲームの世界で生きぬく!  作者: 芝高ゆかや
フラグ撲滅編 さらなる船旅

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奪う代償に

 フィリーオ兄様に「2人が僕のことをどう思っているのか、よく分かった」と言われ、私とカナルが激しく落ち込んでいると、「冗談だよ」と笑って赦してくれた。お兄様曰く、涙目でじっと見る姿が、まるで捨てられたカナルワタシのようだったらしい。カナルとセットにされるのは納得いかないが、反論できるワケがなく、「そうですか」とだけ相づちをうった。


「ルナ、拗ねてる?」


 キャビンに戻り、面白そうに聞くお兄様と目を合わせるのが癪で、私はソッポを向いた。


「私もカナルも、お兄様のことが大好きなんですから、そういう反応になるのは仕方ないです」


 ブツブツと文句のように言うと、背中でフッと笑う声がして「悪かったよ」と、頭を撫でられた。


「旅行も残り半分しかないし、こんなに一緒に長くいられるのは、しばらくないんだから、機嫌をなおしてくれないかな」


 そうだった。お兄様の言う通りだ。あと数日で、この船旅も終わり、サバンナにあるロークス邸に着いてしまう。カナルのスカスカな未来の歴史書(ゲーム)で得られた知識を使って行動した結果、奈月さんが撮影する予定の写真フラグはなくなったが、まだ桐谷さんの写真の件があるので安心できない。そもそも、フィリーオ兄様がキメラ研究に関わる研究をしなければ、こんなにチマチマと対策なんてしなくていいのに。



 ――お兄様が……研究をしない?



 なぜ今までソコに気がつかなかったのだろうか。むしろ大学に入ること自体、阻止すれば良かったのではないだろうか。まぁ、お兄様の大学を見るまで記憶が流れて来なかったから、仕方がないのだが、今からでも転部させてしまうことは可能だ。お兄様とは頻繁に会うのだから、チャンスは山ほどある。


「そうですよね……お兄様。ところで、お兄様はこの旅が終わったら、大学に戻ってしまうんですか?」


「うん、休暇が終わるからね」


「確か、休暇明けには研究テーマを選んで研究室に入るっていう話でしたっけ? もう、お兄様は、どの研究か決めているのですか?」


「まだ漠然としか決めてないかなぁ。できれば、生命の根幹に関わる……」


「それは……ダメですよ? お兄様」


 話を途中で遮り、ニッコリと否定した。そして、ゆっくりとフィリーオ兄様の首に両手をかけた。


「そうなると、数年後には、私のライバルになってしまいます。お兄様の研究成果を全て私に譲ってくださるなら良いですけど、そうではないなら、私の研究成果となる予定なんですから、そのテーマは選ばないで?」


「それは……」


「お願い、お兄様」


 私はフィリーオ兄様の唇にチュッと軽く自分の唇を重ね、「約束です」と顔を近づけたまま呟いた。


「ルナ……今のはズルいよ。まったく、君みたいな女の子のこと、世間では何て言うか知ってる?」


 フィリーオ兄様の両手に私の頬が包み込まれたが、お構いなしに首を傾げて「知らないです。なんでしょうか?」と、聞いてみた。


「昔から、そうやって表舞台に立たずに、男達の意思や信念を変えていった女性を『傾国の美女』とか、『傾城の美女』っていうんだ」


 この日、10歳のイタイケな少女であるにも関わらず、お兄様によって悪役の代名詞の1つと言える「傾国の美女」と認定された。悪役になると決意したが、私が思い描いてた悪役の方向性と違うので、納得いかない。


 ――どうしてこうなった!?


 そんな風に思いながらも、お兄様が私の掠めるぐらいのキスと引き換えに「ルナが言うなら、違う研究テーマにするしかないな」と、アッサリと研究テーマを変更したことが引っ掛かった。学校での研究は、お兄様にとって「重要、且つ、どうしても必要な研究ではない」ってことなのだろうか。

 お兄様の核心に触れなければ、重要なことが引き出せないような気がしてきた。

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