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勇者パーティーの背景係  作者: 真咲


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40話 触れかけた真実

「そろそろ、本来の仕事でもするか」

 

 ノアが召喚者ではないのにも関わらず、勇者パーティーに選ばれたのは意味がある。

 賢者は戦闘要員ではない。導くものだ。


 ガイド役とでも言うべきか。ルートを作り、配置を整え、パーティーが無事に魔王の元へ辿り着けるように導く役割。

 それはこの世界の者にしか出来ないことだった。


 いつも通り、魔力の揺らぎを確かめ、最適な行軍ルートを緻密に計算する。

 

 しかし、


「これは……」


 魔王城付近を探ろうとした瞬間、違和感が走った。

 防壁。いや、違う――拒絶だ。


 魔力の流れが、まるで何かを隠すかのように、断絶している。

 以前ここを調べた時には、こんなことは起きなかった。


「我々が、近づいているからか?」


 ノアは分析する。魔王城に近づけば近づくほど、魔力の流れは明瞭になるはず。

 だが、今は読めない。読みたくても、何かに阻まれている感覚。


 隠された"何か"があることは明白だ。単純に考えれば、ただの目眩しか時間稼ぎだろう。


 だが、確かに――今、触れかけた。"何か"に。


「馬鹿らしい」


 しかし、ノアはその感覚を放り捨てる。

 感覚論など、論理的ではない。

 ノアが信じるのは、あくまでも事実とそこから導き出される推論のみ。


 ペンを取り、手帳に書き留める。


 ・魔王城付近の魔力の流れが不明確となった

 ・何かを隠している疑い有り


 隠された"何か"を知ることさえできれば、推論は立てられる。

 しかし、今のままでは情報が不足している。現象の説明はつけられない。


「だが、」


 胸の中に残る感覚が消えない。

 何かを掴みかけたような、確信に触れたような奇妙な感覚。


 そして――今まで積み上げてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れ落ちるような違和感。


「私は……どうすればいい」


 その呟きを聞く者はいない。

 ランタンの灯りが揺れ、ノアの横顔に暗い影を落とした。

 




 灯りのない玉座の間。暗い影が座す。


「気付いた者が、いるな」


 声は淡々としている。感情の色はほとんどない。

 だが、微かに、楽しげな気配が混じっている。


「さて――この世界に君はどう出る?」


 玉座の影が微かに身を沈める。

 何者かの動きを待つ、静かな余白が、部屋を支配していた。

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