7.こ、溢れて!?
すずの脳内発言によるフリーズはデ〇ステのssr無しガシャのロード並みなので案外会話速度は遅くないです。
……っは!?ギャップ萌えのギャップを塗り潰したらドッペルゲンガーと共依存関係になって実は全人類ナルシスト計画の陰謀でカタツムリは生き残った……!!
おはようございます。「寝るなら脳を休憩させてくれ」鹿野木すずです。夢はいつも意味不明なのに辻褄合ってるような顔して進むから訳わからん。でも、夢の荒唐無稽さを思えば今の夢みたいな現実がちゃんと現実なんだと実感するよなぁ。例え推しが恋人になっても、例え推しに名前呼びされても、例え推しが家まで送ってくれても、例え推しが今から迎えに来るとしても…………。はははっ、あるあr、ねーyあるんだよ!!!
ポポン♪
!?び、びっくりした……。実里ちゃんかな、昨日の夜の続きとかもう無いよ?
『(椎名雪慈)
おはよ
着いたら連絡入れるけど、こっちの電車の都合だし急がなくていいから
寝坊してないよな?笑』
ほあああああああっっ!?
現実すげぇっ!?
辻褄合ってるのに乙女ゲームばりに現実感ないなっ!!
むしろ現実だから現実感がないのか!?
あ、早く返事しなければ!!
10回は読み返しもちろんスクショ保存してベッドの上でゴロゴロ転げ回りながら何とか返信する。
『(鹿野木すず)
おはよう!
わかったよ!ありがとう!!
ちゃんと起きてたよ!
道中気をつけてね!!』
短時間で一生懸命考えた文章力の無さよ!あと、敬語使えないの凄い難しい……。難しいというより違和感か?心から崇めてるし拝みたい気持ちが敬語を使わせてくれと訴えてくる。ゆ、雪慈さんの要望に出来るだけお応えしたいから頑張るけどね!
よし!手早く支度して絶対にお待たせしないようにしなければ!!
ポポン♪
『(椎名雪慈)
登校も早かったしすずは朝が強いんだな
ありがとう。すずも支度で慌てるなよ』
エスパーまで使えるとはやはり神っ……!?
何気なく2回も名前を書くとか朝から豪華だな!!
記録に残したら逃げられないのに本当にいいのか……!!
背水の陣で攻撃するとか雪慈さんはヤンデレ育成の素質があるのでは??
一先ず語彙力の欠片も無い返事で平静を装い、黙々と制服に着替えるとする。顔を洗って歯を磨いて髪を梳かしてごはんをモグモグ美味しい……。
ポポン♪
『(椎名雪慈)
着いた。家の前で待ってる
急がなくていいからな』
はい!急がない訳がありませんよね!!
概ね支度も終わっていたので鏡の前で最終確認をして玄関で靴を履く。お母さんには言ってないけど一昨日からニヤニヤして見られてたから絶対バレてると思う。だから今も「朝から青春よねー」とか言ってる。親の冷やかしがこんなにいたたまれない何て初めて知ったよ。
そんなことよりこの玄関を出たら雪慈さんがいらっしゃるのか。お待たせしたくないのですが、自分から行くのって何でこんなに勇気が居るのですかね?いや、ホント。考えてみれば今まで事故を除いて自分から雪慈さんの前に出たことなかったのか……。
よし、よし、うん。開けます!
開けました!
「あ、お、おはようございm…おはよう!!待たせてごめんなさい!」
「ははっ、おはよ。タメ口まだ慣れないな?あと全然待ってないから謝るとか無し無し」
まぶっ眩しい!!
朝から笑顔で挨拶なんて標語のポスターにされてしまいそうな爽やかさ!!
待ってないってほどよく砕けて言ってくれるの最高っ……!
初撃失敗からのカウンターで打ちのめされながら学校へ向かって歩き出す。さりげなく道路側に立って手を繋いでくださる雪慈さんの彼氏力に慄くしかない私は、立ち止まらないように必死に足を動かす。足に動けと命令を出しながら何とか会話を続けようと言葉を紡ぐ。
「は、うん。どうしても気持ちに釣られるというか……、タメ口だと言葉使いがおかしくなりそうで……」
いや本当に、敬語を外して暴走したらって考えるだけで恐ろし過ぎる。今は、かっかか、彼氏ですけども、推しであり神であることが揺らいだ訳ではないからね。
「そうか。別におかしくても、すずが言いたいように言ってくれていいよ。敬語が嫌だって言ったのも俺の我侭だから、すずが敬語の方が話しやすいって言うなら戻してもいい。」
「わ、我侭だなんて!?私の方がずっと我侭な状態だから全然!!ゆ、雪慈さんが、つつ付き合ってくださってるなんて贅沢の極みで……!!」
何でこんなに優しさの塊なんだ!?
我侭って何!?
私の知ってる辞書に載ってる我侭と違う我侭なの!?
やはり仏の慈愛が備わってるってことなんですか!!
私なんて推しと相思相愛の世界線に存在してるという世界一の贅沢者なんだが??
ハッピーエンドの先は不幸とかありがちだけど、むしろどれだけの不幸を積んだら、この幸せと釣り合いが取れるのかわからないくらいの幸せ者だからね??
「贅沢って、俺だって同じくらい贅沢だ。すずが俺を好きになってくれて彼女になってくれたんだから」
「あっ……、ぅうう……」
あああああああああああああああ!!!!!!!!!
凄いぞ!!
公式の予想を遥かに上回る供給過多で私は!!
私は!!!!!
「すずって俺のして欲しいって言ったこと全然否定しないからさ。俺だけじゃなくて、すずのしたいこととか、して欲しいこととか、もっと聞きたいんだよ。気づかない間に愛想尽かされてたなんて笑えないだろ?」
さらに優しい声音でそんなことを言われた私は、興奮で限界まで張りつめた理性の糸が……切れた。
「全部好き過ぎる……嫌いな要素が見えなくて怖い……現実だと思ってたけどやっぱり私の妄想だったの……!?私の妄想よりかっこいいとか誰が二次創作してるって言うのっ……!?」
一度目の混乱で意識を飛ばし、二度目の容量不足で呻くゾンビになり、三度目の上限突破で心の声をボロボロと溢し始めた。今まで頭の中で爆発させていた変態発言をよりによって雪慈さんの前で暴露した。
残念ながら、早朝の通学路は静かで相手の声を聞き逃すようなことはない。加えて、雪慈さんはパーフェクト彼氏様であって、鈍感な難聴系ラブコメ主人公ではない。つまり、綺麗に筒抜けである。
「すず……?嬉しいけど、さすがに恥ずかしいんだが。って、すず!?」
流石におかしいと気づいた雪慈さんは足を止めて私の様子を伺う。その間も私は遠くを見ながらぶつぶつと雪慈さんへの暴走した愛を吐き出していた。雪慈さんが肩を揺さぶってくれてやっと意識が戻ってきたのだが、意識が戻った途端に目の前に、推しで神で仏な彼氏様が天使のように純粋に小悪魔のような上目遣いで顔を伺っていたので、今度は完全に意識を無くした。
目の前で失神の天ドンとかいらない。絶対いらない。
まぁ、そんなことを考える為の意識が戻ってきたのは学校の下駄箱で、さらに言えば雪慈さんの背中の上だったのだけど。羞恥に塗れた謝罪を苦笑しながら許してくれた雪慈さんは本当に崇めるしかないと再度堅く誓ったのは当然のことだろう。
読んでくださり、ありがとうございました!
次は、すずの暴走した脳内発言を聞いた雪慈視点の予定です!




