私は何故、創作をするのか
ここまで、なぜ拙作「chocolate shot bar」がダメなのか、自分なりに考えてきました。
その結果、一般論から外れたことをしているために、読者にストレスを与えるような文章かわからなくなってしまっている上に、クライマックスが無いため、読了後に何も残らない話になっていると、そんな結論になった訳ですが。
ここで、最初に自問した問いを、再び考えたいと思います。
これまで私は、自分の作品を分析する中で、せっかく自分が作った物語なのだから見てもらいたいとか、自分の表現したいものを表現できた時に満足すると、そう言った言葉も書き連ねました。
その言葉に嘘はありません。ですが、「私は何故、創作をするのか」という問いの根本でも無いと、そんなことを思います。
私はきっと、何かを残したいのです。
そして、その残したものに、自分を込めたいのです。
今まで私の読んできた作品の中には、既に絶版になった作品もあります。この作品は、世の中から消えて無くなったのでしょうか? 私はそうは思いません。今、世の中に残っているかどうかに、本屋に並んでいるかは、あまり関係ないと思います。……まあ、本屋に並ばなければ、いずれかは消えてしまうのだとも思いますが。
それでも、過去に読んだ誰かの心に残っていれば、それはきっと、今の世にあるのだと、そう信じたいのです。
きっと私は、誰かの心に残る作品を生み出せるようになりたいんだろうなぁと、もっと正直に言うと、自分のことを「誰かの心に残る作品を生み出せる作家だ」と思えるようになりたいのかなぁと、そんなふうに思います。
だからこそ私は、「読了後の余韻」というのを大切にしたいと思う、そんな作家を目指してるのでしょう。
ですが、同時に私は趣味作家でもありたいとも思っています。
今回私が執筆した「chocolate shot bar」という作品は、誰の心にも残らない作品だと、自分でも思います。……そもそも、この作品を書き始めた切っ掛けは、「バレンタインデーも近づいてきたことだしと、チョコレートにちなんだ作品でも書いてみよう」です。動機からして、自分が創作をしている理由から、かけ離れています。
それでも、この作品の楽しみながら、(自分で言うのも何ですが)真剣にこの作品を執筆し、一つの作品として仕上げました。最終的に、あまり読まれない、問題のある作品になりましたが、例えそんな結果に終わったとしても、楽しい時間でした。決して無駄に時間を費やしたとは思っていません。
趣味とはそういうものだと思うのです。
趣味は、人生を豊かにするものだと思います。ですが、ゲームとかの娯楽は、いわば誰かの接待を買っているようなものだと思います。お金を払って、誰かに楽しませてもらっているのです。
そうではない、自分で楽しさを見つけ出す、そんな趣味も世の中には沢山あります。そういった趣味の方が、より人生を豊かにすると、そんなことを私は考えています。
創作は、自分で楽しさを見つけだす趣味の一つではないでしょうか。
少なくとも創作は、面白さを与えられた娯楽とは違います。こうすれば上手くいくとか、こうすれば達成感を得られるとか、創作が面白いと感じるために必要なものは、誰も与えてくれません。
だからこそ、はたからみたら取るに足らないような小さな評価でも、大きな喜びになるのです。その喜びは、受け身の娯楽で得られるものよりも、はるかに価値があるものだと、自分は感じています。
そして、例えそういったものが無くても、作者自身が好きでいられるような作品を創り出すことが出来れば、それで構わないと、そんな風に思うのです。
失敗があって、成功があって。「誰かが読んで、その誰かの心に残る作品を創る」という目標からもかけ離れて。評価が無くても良いなんて言いながら、少々諦めが悪く、続きを書こうなんて決意もしたりして。それでも、この作品を執筆した分、私の人生は豊かになっているのだと、胸を張って言うことが出来ます。
少なくとも私は、この作品を無かったことにはしたくありません。何より、この作品は、誰かに頼まれて書いた作品ではありません。私が、自分の意思で書いた作品です。だからこそ、私は、自分が満足するまで足掻くべきだと、そんなことを思い、もう少し話を続けようと決意しました。
このエッセイで語ろうとした創作論も、もう少し詳しく語りたいと思う部分もあります。まだ他にもダメ出しできる部分もありそうです。が、そうすると、あまりに論点がぼやけそうでした。
なので、まずは「chocolate shot bar」という作品の最もダメだと思う点をダメ出ししつつ、この作品に対する自分の想いと、なぜ自分が創作をしているのかを書き連ねてみました。
いずれ、他のダメな点や、今回ダメ出しするときに言葉として出した、「筋のある物語」について、自分の思う所を書き綴ってみたいと思います。ですが、それは先の話として、まずは一旦、ここで筆を置こうかと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。