結婚式
国の第一王女の結婚式にしては少ない出席者。
勿論、一番前には陛下を差し置いて王太子と聖女。
しかし、何故か聖女様はベールの下に目隠しをしている。
それは正装した優希に聖女様が惚れ直すと困るからだ。
柔らかなサラサラの黒髪。
短く切られた襟足が滅茶苦茶色っぽい。
長い睫の下から覗く瞳はアーバンで、整った顔は舞台役者にも劣らない。
白いテールコートのイケメンが司祭の前で待っている。
多分、こんなイケメンと結婚出来たらと思う女性は多いだろう。
何せ、聖女様でも王太子そっちのけで告るくらいなのだから。
身長は私より少し大きいだけ。
後、数年したら多分私が優希を追い越すと思う。
バージンロードを行く私に余裕の微笑みを向ける優希。
『絶対こいつ手慣れている』
そう思ってしまう。
隣まで来ると優希は私の手を取りそっと腰に手を回した。
「大丈夫。貴方を困らせる事はしませんよ」
そう言って司祭の方を向く。
横目からでも思わずため息が出てしまう程、綺麗な優希。
長い儀式の後に誓いのキスをして式は終了。
司祭の「誓いの口付けを」の言葉に優希私のベールを上げてそっと口付けた。
触れるだけの口付けは不思議な事に気持ち悪くなかった。
って……。
普通ここは振りだろう?
いや、結婚するんだから普通に接吻するのだろうか?
いや……どっちが本当だ。
そして、優希の顔を見れば何故か恥ずかしそうに顔を赤らめている。
そんな優希の顔を見た貴婦人達が一斉に黄色い悲鳴を上げたのだ。
「キャー!!ユウキ様わたくしにも」
「いえ、わたくしに」
「夫と別れますわ」
と、静粛に開かれていたはずの結婚式は一変、半狂乱のご婦人方が卒倒したり乱入したりと大変な式になってしまった。
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