2話「逃げと後悔」
ドルヴィンとレギも合流し、腕に覚えのある冒険者も数人集っていた
「ピルスル…どう思っているか教えてくれるか?」
俺が聞くとピルスルは正直にわからないと答えるのだった
「だが、可能性としては…あの大精霊が溜めていた魔素が急激に解き放たれ周囲の環境を大きく変えた、あるいは別の何者かの仕業である可能性…」
俺たちには思い当たる一人の少女の存在もある
正しいかどうかはさておき…このままでは一帯が魔物によって滅ぼされてしまうかもしれない
ダンジョンが誕生して100年、これまで魔物が出入りする事はあれど
今回のように次々と溢れ出すことなどなかった
しかもそれは、新しくできたダンジョンだというのだから
考えられる事は魔素の急激な増加とバランスの崩壊による…暴走だという
暴走については戦時代に伝えられていた話があり、起こさない様注意喚起がなされていた
そしてそれは
一度暴走が起きると、周囲の魔素をも巻き込み
より増大により濃く、そして後に残るものは生み出された大量の魔物達と
荒廃した土地なのだということ
「嘘や、せっかく大精霊倒したっちゅうのに
結果なんも変わっとらんやん!
どうしたらええんの?」ローズが問いかけるが誰も答えない
静まり返るギルド内
「きっと…無理でしょうね…」
ミドが何かを知っているようだ
「…現実的な方法だとは思えないゎ…
この地は捨て、別の地へ逃げるべきです!」
知っていることならなんでも良いから教えてほしい、だがミドは決して教えてはくれなかった
「余計なことを言ってしまったわ、ごめんなさい聞かなかった事にしてくれないかしら…」
もし教えたのなら、それを聞いた俺たちが絶望し
あげく命を落とす事になるだけだから…と
「そんなん卑怯やん、そこまで言ったんやったらちゃんと説明してや!
ウチら守れたもんも守れんまま悔しがれっちゅうんか?」
珍しくローズが激昂している
それを見てピルスルもまた何か思うのだろう
「儂は…一度、守るべきものを守れず失っておる
事もあろうに儂は、身を賭してでも守らねばならなかった存在に守られてここにおるのだ
正直何かができたとは思えんが…それでも儂はその場で行動できんかった自分を悔やんだ
その気持ち、少しでもわかってくれるのなら…
儂らに何をすれば良いか教えてはくれんか」
この街は、ローズやピルスルにとって他には変え難い宝物のようなものなのだ
もちろんレギやドルヴィン、武器屋の親父、宿屋も雑貨屋も他の冒険者たちにとっても同じのはずだ
簡単に見過ごすなんて事はできなくて当然のはずだ
俺にとっても、もうここは故郷なのだから
「でしたら、もう私も止めませんわ…」
一呼吸おいてミドが説明を続ける




