6話「圧倒的な存在①」
3話に分割して、ちょっと長い説明が続きます
面倒くさい方は3話飛ばしてから
なんとなーく話を理解してください
ダンジョン8階層目、大きな空間に出てくると
奥の方から時折強い風が吹いていた
「なんや生暖かい風やな、ちょっと臭うし嫌やわ」
ローズの言う通り、風に混じって腐敗したような匂いもする
「もしかしなくても…絶対アレですよねぇ…」
そうだなレギ、あれだ…口臭!
なんとなく風の正体は分かってしまった
「みんな慎重にな、ミドはドラゴン対策を考えておいてくれ」
俺は剣に身を委ねる、そうすることによって俺の動きは何倍も良くなる
この魔剣の魂であるキルディクスは、きっとピルスルよりも剣の扱いが上手かったのだろう
ちなみにこれをすると、俺の筋肉がついて行けずに後で痛い思いをする事も分かっている
レギはリドラにギフトを与えてから、自身は獅子のルティと共に下がっていた
ドルヴィン?
オークに擬態して歩き出したから、みんなから『静かにして!』って怒られてしょんぼりしてる
近づいて行くと、やっぱりドラゴン
「おぉ…まさにドラゴン、こんなにも倒したくなるドラゴンは他にあるまい」
「何言っとんのやシュウ」
[暗黒龍シズク:世界に残ると言われる九龍が一、亡者の魂を喰らうとされている]
幸い眠っているようで、通り過ぎることも出来そうだ
ここは無理に戦う必要も無いだろう
「よし、起こさ…
ヒュン!
ミドの射つ矢がドラゴンに刺さる
ドラゴンは一瞬ウロコを逆立て、周りに不思議な力を放っていた
油断した…まさか急に攻撃を開始するとは思っていなかったのだよ
「…どうなったんだ?」
ドラゴンはゆっくり身体を持ち上げこちらを見る
俺は近寄ることも出来ず、構えながらじっとドラゴンの動きを見ていた
その間にも次から次へと矢が刺さるのだが、ダメージが通っている様子も無い
「状態異常どれも効かないみたいです!」
ミドは色々な矢を作っていたのだが、そのどれもが効果が無いのだという
俺が動かないものだから、ドルヴィンが擬態しその巨体で武器を振るった
巨大な槌はドラゴンの前脚を捉えるのだが、微動だにしない
周りを飛ぶ小蝿のようにドラゴンの尻尾で吹っ飛ばされるドルヴィン
次の瞬間、ドラゴンの口に漆黒の炎が集まる
ヤバイ!ドルヴィンがアレを受けたらひとたまりもない!
「リドラ!」
ドラゴンのはきだす黒い炎は真っ直ぐドルヴィンへ、それを遮るようにリドラが立ちはだかり
青白い光を炎にぶつける
間一髪どうにか無事の様だ…
俺はエーテルポーションと霊薬を一つ使い、ミドとローズにも渡す
「わかりました!弱点は光、雷です、状態異常や能力減退無効です!」
となれば頼りになるのは…誰だよ!
雷は風魔法の上位互換だとか聞いたことあるけど…
そうこうしている間はリドラが全力で攻撃を防いでくれているのだけど
俺は魔力を持っていかれて、それを回復して
今にも吐きそうだった