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#42 修行再開

今日から修行再開だ。

5日後には、ダンジョン訓練が始まるらしい。

姫様から戦闘スタイルの確立やパーティの作成の指示があった。

久しぶりに見た姫様は、一段と輝いてらっしゃった。

本当に久しぶりだ。

いや、昨日会えていないだけなんだが。

そんな一人乗り突っ込みをしていると師匠が訓練場に来た。

「おう、一昨日は残念だったな。」

僕は、苦笑してこたえる。

「すみません。鍛えてもらったのに。」

師匠は、豪快に笑いながら

「気にするな。負けたことから得られることもある。

今日から実践訓練をしていく。」

「今までの組手とは違うんですか?」

師匠は、真顔になり

「ああ。モンスターと戦う訓練だ。

敵意を向けられると、これまでできたこともできなくなるからな。」

なるほど、とうとうモンスターか。

魔剣とは違うのだろう。

生命を殺す。

そう考えると恐ろしくなってきた。

「まあ、こればかりは素質だ。中にはどうしてもできないやつもいる。

お前も薬師として生きる道もある。この訓練で自分の生きる道を考えてほしい。」

薬師として生きる。

それもいいかもしれない。

そう思うと同時に、

それでは誰も守れない。また、死なせてしまう。

という強烈な感情が沸き上がる。

たびたび沸き上がるこの感情は何なのだろうか。

「顔色が悪いぞ、やめとくか。」

師匠が覗き込んで問う。

「狩人も持っていますし、とりあえず訓練してみます。

せっかく師匠と鍛えた技術も活かしたいですし。」

僕は、精いっぱい笑顔を作って答えるのだった。

僕たちは森に来た。

ユウたちもここでレベリングしたそうだ。

初めのターゲットは、化けキノコ。

植物系は、一番忌避感が少ないのだとか。

ついでに薬草なども採取する。

将来漂流者ギルドで働く可能性も考えて様々な依頼をこなす訓練もしてくれるのだとか。

僕は、植物知識を使い、素早く薬草を集めていく。

「すごいな。薬師ってのは、そんな簡単に薬草が見つけられるのか。」

「まあ、そういう職業ですからね。あ!あれが、化けキノコですか。」

子供サイズの茶色いキノコを指さす。

見た目は、シイタケに近い。

大きい傘をそこら中にぶつけながら歩いている。

「お、みつけたか。」

師匠が指さしたところを見る。

「そうだ、あれだ。シイタケかぁ。松茸だと高く売れるのにな。」

いろんな種類がいるらしい。

「毒もないし、とりあえず戦ってみろ。」

「え。いきなりですか?」

「まあ、改めて教えることもないしな。」

「わかりました。やってみます。」

山歩きを使って、見通しの良い位置まで移動し、

一番軽い鉄球を握りしめ狙いをつける。

山歩きは、悪路でも疲れにくく足音も小さくなるスキルだった。

狩猟本能の影響か、気持ちが高ぶる。

投擲スキルと投石スキルを発動させ鉄球を放った瞬間、

キノコは爆散し、キノコの後ろにあった大木がへし折れた。

「やばい。やりすぎた。」

僕は、慌てて鉄球を探す。

折れた大木の根元に転がっていた。

鉄球をなくさずに安心したところで、伺いを立てる

「師匠、いかがでしょうか。」

「もう少し。威力のコントロールが必要だな。

初めてモンスターを仕留めた感想はどうだ?」

師匠は、飛び散ったシイタケを集めながら聞いてきた。

「思ったより忌避感がないです。

狩人センスの狩猟本能のおかげかもしません。」

「なら、次は野獣か魔獣を狙うぞ。鍋が食えるかもしれん」

師匠はそう言うと、次の獲物を探し始める。

僕も聞き耳を使って、獲物を探す。

しばらく森を歩いていると、

ザッザッっと草をかき分ける音が聞こえた。

その方向を見ると大型犬ほどのアナグマが歩いている。

「師匠、いました。」

「ビッグバッジャーか。そこそこ素早く力も強い。

まずは、死角から攻撃してみろ。」

師匠の指示通り、キノコと同様に山歩きを使って死角に回る。

10メートルほどまで近づき、鉄球を握り占めた時、

ビッグバッジャーは急に顔を上げ、鼻を引くつかせたかと思うと

走って逃げてしまった。

呆然としていると、後ろから師匠に声をかけられた。

「残念だったな。野獣は殺気に敏感なんだよ。

魔獣なら逆に向かってくるんだが。」

なるほど。山歩きだけじゃ足りないのか。

風向きとかいろいろ考えないといけないんだな。

その後、獲物もモンスターも見つからず初めての狩りは不漁に終わった。

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