#25 ミストレス
魔無しの先輩を訪ねたら、ロリババアだった。
「で?」
ロリババアは尋ねる。
「で?」
意味が分からず、あほの子みたいに繰り返してしまった。
「あんたは誰だい!」
「あ、僕は、今回の漂流者のハイバラ…アッシュです。魔無しの方がいると聞きまして、お話を聞けたらと思いまして。」
ジイさんから預かった手紙を渡しながら、自己紹介をする。
ケイは、その手紙を読みながらにやりと笑った。
「ひっひっひ。あんたも魔無しかい。それは、大変だね。」
おそらく手紙に才能についても書かれているようだ。
「はい。魔無しのステータスに書かれていることについて、確認したいのです。」
「ひっひっひ。そうさね。闇属性かい?」
「やっぱり。そうなんですね。」
「そうさ。魔無しにとっては、漂流者、現地人共通の秘密さ。まあ、現地人の魔無しはほとんどステータスを開かないがね。漂流者もあたしの前の魔無しは5年前に亡くなっている。このことを知っているのは、あたしとお前以外ほとんどいないのさ。」
そうか。現地の人は、あの痛いのを受けないのか。
そうだよな。畑を耕すのにスキルは別に要らないし。
「霊力がとんでもないことになっているのも同じですか。霊力が上昇するスキルは確認されていないと聞きましたが。」
「そうさね。常に魔素を破壊する霊力を振りまいているようなもんだ。霊力が高くないとあっという間に死んじまうよ。現地人は、霊力強化のスキルが発現せずに死んでいくことも多いだろうね。」
「霊力強化?霊力特化ではないんですか?」
「霊力特化とは、なんだい。聞いたことないね。」
「強化のスキルだとMAXまで上がっても、中までですよね。特化では、特まで上がります。」
「なっ。あんたのレベルと霊力はどの位だい。」
「ステータス上昇系のスキルの上げ幅を増やすスキルもあるので、
レベル11で、霊力6000を超えています。」
「6000!霊力強化を持っていてもレベル400、持っていなければレベル1200。あんたバケモノだね。」
「そう聞くと。そうっすね。まあ、高くても使えないんですけどね。でも、おかげ死なないと思うと、急にありがたくなってきます。」
「ひっひっひ。安心をし。わたしが、魔力を扱えるようにしてやるよ。事実、私は呪術師としても働いているしね。」
ぼくは、固まる。
「・・・え?魔法使えるの?」
「ああ、そうさ。ちょっとコツがいるがね。」
ぼくは、下をむく。
「や」
僕の口から声が漏れる。
ケイは僕の顔を覗き込んで尋ねる。
「や?」
「やったーーーー!」
ケイは、ひっくりかえるほど驚いた後、意地悪な笑いを浮かべる。
「これだけ喜ばれると、ただで教えるのも癪だね。」
「くっ。」
やはり世の中は、甘くないな。
「どうしたら教えていただけるでしょうか。」
「あんた薬師の才能があるんだって?毎日午前中は、うちの店を手伝いな。そうすれば、暇で気が向いたときに教えてやろうじゃないか。」
「それは、こちらが望むところですけど。薬師の才能は、まだLv3で役に立たないかと思います。」
「まあ、初めは薬師とは関係ない手伝いでもしてもらうよ。あんたは、魔術を学べて薬師としての経験を積める。あたしは、店の手伝いがタダで手に入る。どちらも得をするってわけさ。ひっひっひ。」
なるほど、こちらには損がないのはもちろん。ケイさんにも利があるのか。
「では、お願いします。ケイさん。」
「ミストレスとお呼び。」
「はい、ミストレス。」
こうして、先生が増えた。




