表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真っ白な白衣が血に染まる   作者: 原案:ひな月雨音/作者:菜須よつ葉
10/10

カルテ10

挿絵(By みてみん)


 病室の前に車椅子が止まり、傍らでは泉先輩が顔を伏せている。


 相変わらず声は出ないし、体を動かすことも出来ない。



(……泉先輩……起きてください。ここ……どこなんですか?)



 すると……。



 ギィィ──


 ギィィ──


 ギィィ──



 動き出した車椅子は、私がいる病室へと入ってきた。



(………………誰も押してないっ! 先輩っ! お願いだから起きてっ! 顔をあげてくださいっ!)



 ベッドサイドに顔を伏せて、小刻みに震えていた泉先輩の肩がピタっと止まった。



(……泉先輩?)



「……ずっと」



(えっ?)



「……ずっと……起きてたわよ。だって……」



 伏せていた顔が、ゆっくりと私の方を向き始めた。



(……い、いやぁ)



「……だって、あなたに見て欲しかったんですもの。私の…………顔を」



(きゃあぁぁぁぁぁ!)



◇◆◇◆◇◆◇



 『見てはいけない──』


 『答えてはいけない──』


 ふたつの約束を破ってしまった私は今、車椅子に座らせられ、永遠に明けることのない夜を、さまよい続けている。


 車椅子を押す、顔の無い女が滴らせる真っ赤な血が、真っ白だった私の白衣を、赤く染めながら──



 ギィィ──


 ギィィ──


 ギィィ──




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ