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優衣の幸せ  作者: サウス・ツイン
2/2

憂鬱な入学式

「はぁ・・・」


溜息をつきながら私は学校までの道を歩く。

おそらく、姉は車でもう学校に向かっているのだろう。

学校まではそこまで距離はないが、歩くとそれなりにかかる。

姉は、いつも予定時間ギリギリに出ていくから車での通学が多い。


(まあ、私が車でとか無理だろうけどさ・・・)


あの家で私がそれをお願いするのは無理だろう。

それ事態はいいとしても、私は学校が憂鬱だった。

本当は、全寮制の学校を希望していたのだが、姉と弟の嫌がらせで近くの姉の通っている高校になってしまった。


(あと、3年も我慢しなきゃダメなのか・・・)


今年こそは違う学校をと思っていたのに、どうやら、姉と弟は私を引き立て役として必要らしい。

心底憂鬱だ。


学校へ着くと、掲示板にクラス分けが貼ってあったので自分のクラスを確認して向かう。

同じ中学からの人もいるようだったが、どうでもよかった。

ーどうせ、いつもと同じだろうー


私はクラスに入ると、名簿順らしく、一番前の席へと座る。

周りに人が増えてきたが、私は静かに本を読んでいた。


「珍しいものを読んでますわね。」


気がつくと、目の前に物凄い美人がいた。

長く、美しい黒髪と、上品な佇まい。

全体的にスタイルのいい、大和撫子て感じの人だ。

どうやら、私に話しかけてくれたらしい。


「あ、ごめんなさいね。高校生で山田さんシリーズ読む人なんていなくて、つい・・・」

「あ、えっと・・・このシリーズ好きだから・・・」


山田さんシリーズ。主人公の山田さんが冒険したり、恋したりする物語なのだが、作者の性質なのか文章の読みずらさが半端ないので、高校生で読むひとはなかなかいない。


「まあ!そうなの!私も大好きなの!よかったらお友達にならない?私は一条朱里いちじょうあかり。」

「えっと・・・天宮優衣です・・・」

「よろしくね!優衣さん!私のことは朱里って呼んでね。」


いきなり、名前呼びされた。

アグレッシブな人だな・・・まあ、どうせいつものように姉にあったら関係なくなるかな?


そんなことを考えてながら、話していたら、いつのまにか入学式の時間になり、私たちは体育館に向かった。

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