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クォーター  作者: トーニ
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遅れて登場するものは?

エピソード6


前が見えないほどの濃い霧が立ち込める、とある森に一人の少女が迷い込んでいた。



少女は、縄で腕と体幹を縛られていた。動かすことの出来る足だけを使い、器用に森を走り抜けていた。


「はぁはぁ…」「あれが神隠しってやつね」「とにかく今は、一人で何とかするしか無いわ」



少女は息を切らし、ある場所から逃げ出して来た最中であった。



そんな中、少女は太い木の根っこに脚を引っかけてしまった。

「キャア〜」濃い霧の影響で前が見えづらく、尚且つ上半身が縛られている少女は。見知らぬ森で勢い良く転んでしまった。


「イッター」「ど…どうしよう?」「起き上がれない?」「どうしよう?霧が濃くて前も見えないし」「体が縛られてるし」「絶体絶命よ」「うー…誰か」


「誰か助けてーー?」


少女が大きな声で助けを求めた…しかし誰も何も返事が無かった。


一向に事態が解決せずに、30分が経過していた…


すると少女の周りに何者かの気配がした。「ガルルー」「やな予感がするよー」


何かの鳴き声が、徐々に大きくなって来た。すると、さっきまで濃かった霧が徐々に晴れてきた。


霧が完全に晴れた時には、少女の周りには6匹の野犬に囲まれていた。


「ど…どうしよう?」「私食べられちゃうの?」「食べても美味しくないよ!」「お願い!どっか行って」「しっ!しっ!」


少女は野犬達を大きな声で、追い払おうとしたが全く効果がなかった。


次の瞬間!6匹の野犬が少女に向かって一斉に飛び掛かった。


「わん!わん!わん!」『どん!』「キャィィン」そこには3匹の黒いダックスフンドが見事な連携で野良犬達に強烈なタックルを仕掛けた。ダックスフンドの攻撃をモロに喰らった6匹の野良犬達は、慌てながら森の奥へ消えていった。


「い…一体何が起きたの?」うつ伏せに倒れていた少女の周りに3匹のダックスフンドが集まってきた。


「ありがとう!あなた達のおかげで、奴らの食事にならずに済んだわ」少女がダックスフンド達にお礼を伝えると…

茂みから、青い頭巾を被ったの少女が現れた。「何とか間に合った!」


「おねーさん!大丈夫ですか?」


「何とかね!」「このワンちゃん達は、あなたのペット?」


「ペットなんかじゃありません」「この子達は、れっきとしたこの森の救助犬ですよ」


「ごめんなさい!」「失礼な事を言って悪かったわ」「…またまた悪いんだけど」「縄!解いてくれない?」


「こちらこそ」「助けが遅れてゴメンなさい」「今すぐ縄を解きます」

少女は縄で縛られた少女の縄は解いてあげた。


「助けてくれて、ありがとうね」「私の名前はチョコ!」「あなたの名前は?」


「私の名前はチャチャ」「この森でレンジャーをやってる両親の手伝いをしてるの」


「へー!レンジャー?」「そういえば、レンジャーの人に助けて貰うのは2回目よ」チョコは数年前、ジャンブル探索を保安官の息子に手伝ってもらった過去があった。


「この世界では、レンジャーは名誉ある職業で」「国から認められた10の職業の内の一つなの」


「そうだったのね?」「そんな由緒正しい職業とは知らなかったわ」


「この世界には人間が敵わない動物が多く生息するから」「そんな動物が暮らす場所や動物達を私達ゲーム・レンジャーが管理しているの!」


チョコは、自分が2年間暮らしていたドーナツ島のことを思い出していた「確かにこの世界に生きる動物達との共存は、この世界で生き抜くためには避けては通れない問題よね」


「そうなんですよ!」「よく分かっていらっしゃる」チャチャの褒め言葉にニヤニヤが止まらないチョコであった。



「!!そういえば」「何で危険な森で倒れてたんですか?」「しかも縛られて?」


「話すと長いよ?」


「それなら、私の家で話を聞かせてください』「ここじゃ危険なので」


「分かったわ」「よろしくね」チョコは、助けてくれたチャチャ達と一緒に彼女の家にお邪魔する事にした。


森の中にある湖の畔に佇む一軒のログハウス。そこにチョコはチャチャに連れてこられた。


「どうぞ!ゆっくりしてって下さい」「ありがとう!お邪魔させて貰うわ」

チャチャは台所でホットコーヒーを作り、来客のチョコに差し出してくれた。


「所で一体何があったんですか?」チャチャは一人縛られ、逃げていたチョコに疑問を投げ掛けた。



「今私は旅をしてるの」「その旅の目的地がある場所までの近道がこの森らしいの」「仲間数人とこの森に入ったんだけど、濃い霧の影響もあって知らないウチに仲間が一人また一人と消えていったの」


「そうだったんですか」「…もしかすると人攫いですかね?」「最近よく聞くんです」チャチャはチョコの発言を元にある仮説を立てた。


「この森は一年を通してほとんどの霧で覆われている『ブロッケンの森』っという名の、この大陸では有名な場所なんです」


「それを知った人攫いがこの森にやって来ているのかも知れません」


「きっとそうに違いないわ」チョコには思い当たる節があった。


「仲間と逸れて一人ぼっちになった私は」「気付いた頃には、誰かに背後から攻撃され気絶させられたの」「目覚めた時には、一人森の中でロープで縛られて横になっていたわ」


「…なるほど!よく分かりました」「けど、最後に不可解な出来事が起きていますね」


「そうなのよ」「人攫いなら、なぜ私を森に放置したのかしら?」「全然理解できないわ」

「…」


「ワン!ワン!ワン!」チョコがチャチャに近況報告をしている途中で、ロッジの外からダックスフンドの鳴き声が聞こえて来た。


「ん!?」「もしかしてパパが、森のパトロールから帰ってきたのかしら?」チャチャは飲んでいたコーヒーのカップをテーブルに置くと、玄関に向かった。


『ヒュー!バタン!?』


玄関と扉が開くと、そこには見知らぬ赤髪の男性が立っていた。


「どちら様ですか?」チャチャは、見知らぬ男性に対して警戒心を持って対応した。


「ちょっと聞きたい事がある」「この家に薄緑色した髪の女は居ないか?」そう話す男性は、赤髪でボーズ姿、顔に無数の傷があった。


「見知らぬ貴方に教える事はありません」「お帰りください」チャチャは、怪しい男性をロッジから出て行くように促した。


「はははぁ」「それが見知らぬ!じゃないんだよ」すると男性は徐に、首からぶら下げたいた『銀の星形のペンダント』を見せ付けた。


「……は!?」「星のペンダント!赤髪!顔の傷!」


「パパから聞いた事ある」「もしかして?レンジャーのトップ」

「テイマー・ロクト?」


「ああそうだ!」


「す…すみません」「失礼な態度をとって」「パパから聞いた事はあったんですが」「まさか、こんな突然いらっしゃるとは」ロクトと名乗る男性の登場により、チャチャは急に恐縮し出した。


「驚かせて悪かった」「こっちも急な用事なんでな」「…」部屋の奥へ視線を移すロクト。

チャチャは、ロクトがチョコを探している事に気づいた。「ロクト様は何故その少女を探しているのですか?」


「アイツはこの国の指名手配犯なんだ」「俺はそいつを追ってる!」


「え!?そんな凶暴な人がここに?」「…すみません!知りません」チャチャは何かを察知し、咄嗟に嘘をついてしまった。


「ここには居ないか?」「…お前嘘をついてるだろ」


「え!?」「なんで?」

「お前!俺が『女を出せ』って俺の問いかけに」「少女って返したな」「何故少女だって分かる」


「…すません」「嘘をつきました」チャチャは、ロクトのオーラに圧倒され直ぐに嘘を釈明した。


「だべ!」「なら奴の所まで案内しろ」チャチャは渋々、チョコいるリビングにロクトを通した。

するとそこにはチョコの姿が無かった。「チッ!」「話している間に、逃げられたか」


ロッジにチョコが居ない事が分かると、ロクトは直ぐその場から消えてしまった。『シュッ』


「え!?」「一体何が起きなたの?」チャチャは、チョコがこの場にいる事教えてしまった事を悔いていた。



一方その頃、霧が晴れたブロッケンの森を全力疾走しているチョコの姿があった。


ー 私達って指名手配犯だったの?もしかして、タロウくん達!奴らに捕まっているんじゃないの?


ー でも、あんなに強い3人が捕まるなんて考えられない。みんな一体どこで何してるの?

チョコが走り続ける事15分…チョコの目の前に小さな古屋を見えてきた。チョコは足を止めると、ゆっくり小屋へと近づいた。


するとそこに!「やっと見つけたぞ」チョコの目の前に赤髪のロクトが立ち塞がってきた。


「もう見つかっちゃったのね」「だいぶ撒いたつもりだったんだけど」チョコは予想よりも早く見つかってしまった事に驚いた。


「あの場所にお前の痕跡があった」「だから逃げたお前を追いかけるなんて、容易いモンだよ」

「しょうがない」「…きっと私は貴方に捕まるわ」「だから最後に貴方の事教えてよ」「貴方!プラヴァス社の人間でしょ?」


「随分強気だな?ねーちゃん」「…まーいい!特別教えてやるよ」「その質問の答えは!半分正解!半分不正解だ」


「どういう意味?」「素直に教えてよ」ロクトのなぞなぞの様な返答に少しイラついたチョコであった。


「口が悪い女だな」「いいかよく聞け」「俺の属するレンジャー部隊はプラヴァス社と同等の権力を持ち」「この世界を影で動かす10の組織の一つだ」「俺はその中の頂点に君臨する最強の10人の一人」


「ビーストマスター」「テイマー・ロクトだ」


「もしかして貴方が赤スーツが言っていたシーファントムの一人なの?」チョコはドーナツ島でのカーさんと赤スーツの会話を思い出した。


「お前赤スーツにあったのか?」「よく無事でいられたな?」「まーいい!アイツらにも考えがあるんだろう」


「そうだ!俺はシーファントム」「この世界の本当の王だ!」


「何ですって?」「もしかして、貴方達が噂の秘密結社だったのね?」「でも秘密結社がこんな大事な秘密教えてくれてよかったの?」



「別に構わない」「だってお前はここで俺に捕まり」「明日プラヴァス社に引き渡されるんだ」「だべ?」


「…言っとくけど捕まる気はないわ」


「はぁ?」「何でそんなに強気でいられる?」「普通の女のお前が?」


「あのねー?女!女って言わないでくれる」「私の名前はチョコ」「シーワンの一人!チョコよ」「貴方には痛い目に遭ってもらうわ」


チョコは腰のベルトに付いている、何かの専用のケースから角笛を取り出した。


『ピーヒャラピ』


チョコは徐に角笛で変わった音色を奏でて見せた。


「何だこれは?」「あの女何をしやがった?」ロクトがチョコの行動の意味が理解出来なかった。


『ガタガタガタ』『ドッカーン』何と近くの古屋の天井に大きな穴が空いた。その穴から、謎の少年が飛び出してきた。そして謎の少年は首に巻いた赤いマフラーを靡かせて、チョコの真前に降り立った。



『グー!グー』何と謎の少年は鼻に大きな鼻提灯を膨らしたまま、立って寝ていたのだ。


「ちょっとタロウくん?」いつまで寝てるの?」チョコは持っていた角笛でタロウの鼻提灯を破って見せた。


『パッチン』「ふぅーわ」「よく寝た」「うん?何が起きてるんだ?」


「説明は後よ」「目の前にいる赤髪の奴は私たちの敵よ」「とっとと倒しちゃってよ」


ロクトは、タロウの行動と二人の会話に呆気に取られてしまった。「なんだコイツら?」「何者だ?」


「何者ですって?」「私達は…自由人よ!」「おう!!」



タロウとチョコは、対面するロクトに攻撃大勢をとった。


続く



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