ジルベール・ディオンドside
拙い初投稿の小説ですが、楽しんで貰えればと思います。
ジルベール・ディオンドside
俺には可愛い可愛い婚約者がいる。純白に近い銀のさらりとした煌めく髪、理性を感じさせつつ見ただけで人を魅了する宝石を閉じ込めた様な紫の瞳、淡く色づく桃色の唇…褒める言葉が尽きることはない程に素晴らしい。そう、もう分かっただろうが俺の婚約者はベネット・ルクセンだ。3歳の頃、親の繋がりで出会いその場で恋に落ちた。……いや、恋なんて脆い感情ではない。あれはベネを自分のものにするためならどんなことをも厭わず、ベネを捕まえておくなら自分の檻に閉じ込めてしまおう、くらいの決して綺麗でない過激で熟れ過ぎた桃のような感情だ。3歳で。いつかの茶会でベネに話すととても可愛い笑顔で喜んでくれた。隣で茶を飲んでいたベネの兄であるアランには異常だと言われたが妖精のごとく輝きこの世の美を体現しているベネの微笑みの前では何もかもが正しい。
最近学園で変な女に付き纏われているせいでベネは最近妬いた反応を見せてくれる。可愛い,愛しい,食べてしまいたい。ディオンド公爵家の子として注意をするが空虚で滑稽なママゴトだ。滑稽なのは国の次期トップが総じて変な女に骨抜きになっている状況か。俺は、王も王子も周りの貴族も変な女も、本当は興味が無いのだ。友人だ何だといって笑わせる。いや、全てが茶番で愉快痛快なこの喜劇もここまで行くと笑えない。
俺を縛れるのはベネだけだというのに。
ベネは気づいているだろうか、優しく可憐で驚く程聡明な幼き頃のベネが、俺と一緒にいるために無能を騙り始めた時、俺がどれほど嬉しかったか。それでも苦々しい反応を示した奴らに傷ついたベネを見て俺がどれほど仄暗い歓びに身を浸したか。
「愛しているわ、ジル。」
「私もよ、ベネ!!」
愛しいベネの為なら何時までも何処までも愚かな道化を演じよう。口調も噂も自尊心も、何もかもベネの前では塵芥に等しいだろう?
お粗末様でした。また他の作品も頑張りますので読んでいただけると幸いです。