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最終章 明かされる真実と大縁談 その6

ラストです。

「奴らは、ロンデンブルグ家の血のある意味での異常さに恐れをなしたのだ」

「異常さですか」

 彼女はその単語にもわからない、という顔をした。

「ああ、男児は高官まではいかないが必ず武官になる。そして、女児は王族になぜか見初められる、そういう異常さだよ」

 アウグストは気を取り直していった。

「この国の武官、特に王立騎士団は実力がなければやっていけないのは知っているだろう。その王立騎士団に、君たちの一族は少なくともある時期は所属するのだ。すなわち、ある程度の実力があって、それが長い年代続いているから、伯爵と同等、もしくはそれ以上の貴族が落ちるのは解せない、というのがあいつらの思想だ。特にグレッセン侯爵はそんな思想が強い。まあ、彼の家は過去に武官の先祖がいるみたいなんだが、どうやら、その先祖は公爵だったらしいんが、金を積んで騎士になったことがバレて、解雇・爵位はく奪されたみたいだから、余計その気があったんだろうね」

 アウグストは吐き捨てるように言った。

「それに、あのミシェル元騎士団長は何か脅されていたのではないか、というのが上層部の見方だ」

「そうでしたか」

 ユーリアには、あの侯爵がロンデンブルグ家を執拗に狙い続けた理由について、全く理解できなかった。



「で、私はあのお話をお受けしてもよろしいのでしょうか」

 ユーリアは、公爵自ら差し出した紅茶を受け取り、一口飲んだ後に呟いた。

「王太子殿下からの求婚の事か」

「はい」

 ユーリアは先日、全ての事件が終わった後に正式に(・・・)プロポーズを受けたものの、本当に受けて良いのかわからなかったので、ハインリヒに相談してみることにしたのだった。


「良いのではないか」

 彼は迷うそぶりもなくそう言った。

「もともと、ハインリヒとの結婚は、我々が君を利用して黒幕をあぶりだすための茶番だから、結婚自体は片方が死亡した状態であっても、証人がそろって健在である以上、結婚自体を無効にはできるし、最悪内々に物理的に破り捨てればよいのだ」

 彼の言葉に物騒な言葉が入っていたが、聞かなかったことにしておいた。

「それに、たいてい王位継承者は恋愛結婚だ。だから、グスタフ殿下も恋愛結婚をするだろう、とは思っていた。それが、君だ、というだけだ。だから、何にも問題はない」

 彼は笑った。彼女は、王家がそんなんでいいのか、と思いつつ、勢いに乗せられて、はい、と言ってしまった。

 彼女は、その話をした直後に迎えに来た(・・・・・)王太子に連れられ、王城へを向かっていった。


 2人を乗せた馬車が去って行った方を見て、アウグストは、

「ようやく、これで君に贖罪ができるだろうか」

 と、心の中で亡き部下であり親しくなった友人に問うた。その答えは返ってこなかった。



 その後、ユーリアとグスタフは正式に婚約、一年後に結婚した。結婚式には大小さまざまな国の代表者が呼ばれ、その中には海の向こうのリューバルト大公国の大公と、その連れの少女も参列していた(彼らはその後、結婚したという)。

 1年後、フランツ・ハイレンドン国王から王太子、グスタフ・ハイレンドンに譲位された。突然の譲位は、巷には理由は明かされていないが、その前に処刑されたグレッセン侯爵が起こした事件と関係しているのではないかと噂された。そして、王家にはのちに2人の男児と、4人の女児が生まれることになり、海を越えた大公国とのつながりも深まるのは、また別のお話。

これにて完結です。

※余談ですが、ユーリアが持っていた弱小伯領は王家直轄地となり(領民も領主の祝い事と同化して喜んだ)、王家が管理することに。

また、グスタフ王の治世では、ユーグレットは王妃であるユーリアと共にグスタフを支える存在である宰相となり、デトン公爵家に婿入り(脳筋な息子しかいなかったため)、そして隣国の貴族の娘と政略結婚しました。

いつかここら辺の小話もかけたら、と思います。


長らく、お付き合いくださりありがとうございました。

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