第二話
路地裏にようこそ(2)
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「命って大事でしょ?」
ああ、そうだな、って路地裏にいた妖怪は普通のことを言った。死にたいわけない、生きてた方がいい。命は大事だ。たまには何か言うらしい百害というそいつは、思っていたほど大したことなくて、私の話を聞いていた。私はどんどんしゃべった。だから私はおかしくなんかない、命は大事にしないといけない。人生も。私は学校に行って、会社に行って、みんなの役に立って偉い人になる。それが普通だと思っていたのに、百害は言うのだ。
「大事にしてねえじゃねえか」
……なんで?全部いいことじゃない。大事にしてるじゃない。でも百害は納得しなくて、命って何だと思う?って私に聞いた。そんなことわかるわけないと思ったら、百害はすごく簡単なことを言った。命は時間だ、って。お前は時間を何に使ってるんだ?って、したいこともせず、行きたい場所も行かず、言いたいことも言わない。時間だけがどんどん減っていって、何も大事にしていない。大事にした方がいいぞ、って。私は言い返した。したいことして、行きたいところに行って、言いたいこと言って、そんなの、ためにならない。みんな怒っちゃうよ。百害はつまらなさそうに言った。
「そうだな。世のためにはならない。妖怪変化のあるところ、百害あって一利なし」
百害はそれだけ言ってどこかに行ってしまった。私は決めた。絶対に、無駄になんかしないって。




