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- Mixed blood -  作者: Dave-show
第二章 リーベン島編
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リーベン島上陸

 ゴルドホークを出て一ヶ月弱。色々あったけど遂に到着した。

 

 リーベン島、フドウの里。

 どこの町とも違う雰囲気がある。木材を使った建物が多く、屋根には四角く型取った石版が鱗の様に並べられている。他の町のような高い建造物が無い。オレにとって、すごく落ち着く街並みに感じた。

 

「そういえば、ゴルドホークを出てから一度も武具のメンテナンスをしてないな。まずは鍛冶屋に行くか?」 

「そうだね、預けてからホテルを探そうか」

 

 トーマスも頷く。

 地図も無い為、地理が分からない。船着場にいる人に声を掛けた。

 

「ここから鍛冶屋街のある中心街は結構遠いから、馬で移動したほうがいいよ。向こうの馬屋に返してくれたらいいから」

 

 この町は、里長(さとおさ)と呼ばれる人の屋敷を中心に、東西二つの区に別れているらしい。

 東は診療所や薬屋、衣料品店を中心とした『メイリン区』、西は鍛冶屋街や食料品売場を中心とした『リンドウ区』。里長の屋敷と、二つの区が合わさった辺りが、この里の中心地として賑わっているようだ。

 

 建物もそうだけど、衣服も独特だ。一枚布を加工した服を羽織り、腰あたりで結んでいる人が多く見られる。大陸のシャツとパンツを着ている人もいるけど。

 

「へぇ、あの服可愛いなぁ」

「確かに、柄がいっぱいあって、おまけに涼しそうだ」

 

 エミリーとトーマスが、フドウの里の住人たちの服装に目を奪われている。

 

 馬は勝手に目的地まで駆け抜けてくれた。そう調教されているらしい。

 目的の鍛冶屋街に着いた。そこら中から金属を叩く音が聞こえてくる。適当な店に入って声を掛けた。

 

「すみません、武具の整備をお願いしたいのですが」

 

 カウンターの向こうで作業をしていた男は、皆の武具を渡すと、オレ達を睨みつける様に見回した後、無言でチェックし始めた。

 愛想がすこぶる悪い。職人気質(かたぎ)ってやつか。

 

 春雪を見て動きが止まった。そして上目でオレ達に問いかけた。

 

「おい、この刀どこで手に入れた」

「え? あぁ、父から譲り受けました」

 

 オレの目を、上目のまま真っ直ぐに見つめている。鍛冶屋の男は暫しの沈黙の後、スッと立ち上がり歩き始めた。

 

「ついて来い」

 

 言われるがまま後に続き、鍛冶屋街の一番大きな屋敷に連れてこられた。何か気に障っただろうか、船の操縦士ですらとんでもない戦士だ。三人に緊張が走る。

 

 更に大きな鍛冶場の主人の前に通された。三十歳前後だろうか、かなり厳つい風貌だ。先程の無愛想が、更に無愛想な主人に耳打ちする。

 主人は腕組みしたまま、真っ直ぐにオレを見て問いかけた。

 

「おい、この刀ぁ父親から譲り受けたんだって?」

「はい」

「父親の名は」

「シュエン・グランディールです」

 

 主人の片眉がピクッと動いた。

 

「グランディール……?」

「はい、グランディールは母方の姓だと聞いています」

 

「……ちょっと待て、母親は人族か?」

「はい、もう亡くなりましたが」

 

 厳つい主人は、オレをじっと睨んだまま考え込んでいる様子だった。

 

「お()ぇだけついて来い。連れは……そうだな。お前ぇら! 後ろの二人を観光にでも連れて行け!」

「へいっ!」

 

 トーマスとエミリーは、厳つい男達と観光と言う名の市中引き回しに出かけた。

 オレはたらい回しだ。次はどこに連れて行かれるんだろうと不安が増す。抵抗したら潰される、それだけは分かる。 

 二人が心配だけど、どうしようもない。

 

 オレは里の中でも一際大きい屋敷の門前にいる。厳つい主人が門番と話をしている。話が通ったようだ。

 

「ついて来い」

 

 たらい回しに継ぐたらい回し。どうなるんだろうオレ……。

 

 木造の門をくぐり、一直線に伸びる石畳を歩く。小上がりになった入口で靴を脱ぐように促され、板敷の通路を進み、最奥の部屋に案内された。

 乾いた植物を、隙間なく綺麗に編み込んだ様な敷物が敷き詰められた部屋だ。嗅いだ事のない良い匂いがする。

 

 一段高くなった場所に老人が座っている。60歳前後だろうか。しかし黒々とした艶のある髪を後ろに束ね、黒い髭を蓄えた凛とした老人だ。その両脇には30代半ばくらいの男が二人侍っている。三人とも只者ではない。それだけは痛いほど伝わる。

 

「なるほど、面影はあるな」

 

 え……? なにが?

 静かに喋り始めた老人は、そのまま話を進めた。

 

「先ずは(わし)から名乗ろう。クリカラ・フェイロックだ」

 

 クリカラ……どこかで……聞いたことが……。

 

「クリカラ……龍王……!? 龍王クリカラ! ……様ですか!?」

 

 オレは思わず声を上げた。『始祖四王』龍王クリカラ。目の前の老人がそう名乗った。

 雷に打たれた様な衝撃に、開いたままの口を塞ぐことが出来なかった。目の前の三人の視線で我に返り、オレはようやく口を開く事ができた。

 

「……ユーゴ・グランディールです」

「グランディール……か。母が人族なのは間違いないのだな? 髪が黒くはなかったか?」

「はい。髪は栗色に近かったと記憶しています」

「左様か……お(ぬし)の父、シュエン・フェイロックは儂の末の息子だ」

 

 何て言った……? フェイロック?

 

「お主は儂の孫ということだ」


 ちょっと待て……クリカラは龍王だ。父さんは龍族って事か?

 

 自分がある種族の血を引いていると、少しは事前に聞いていたとはいえ、その衝撃はかなりの物だった。オレは龍族と人族の混血児って事なのか……。

 

「混乱しておるか? 無理もない。順を追って話そう。昔シュエンにもこんな時があったな」

 

 目の前の伝説の人物が話し始める。

 

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