侯爵令嬢の苦労はつづく
「陛下に申し上げます」
髪型を整え居住まいをただしたシベリウス王太子殿下はまさに王子様。
あの金ぴかゴテゴテの服までカッコよく見える。詐欺だな。
あちこちで顔に騙された令嬢たちが顔を赤くしている。
「こちらにおります宰相、及び側近候補たちの罪は明らか。追加の証拠をバーロウ侯爵と共に揃えておりますゆえ、後ほど吟味の上御沙汰ください」
陛下に奏上した殿下に続きお父様が陛下に伝える。
「宰相にはこのほかにも余罪の疑いがございます。また、宰相に連なる貴族の不正も発覚しております。こちらをご覧ください」
なにやら巻物を取り出すお父様。それを受け取り中身を確認する国王陛下。あ、これ、最初から仕組んでますね。
「近衛師団長。あの者たちとこの書に名前のあるものを拘束し幽閉せよ。後ほど裁判により沙汰を下す」
「取り押さえよ!」
巻物を受け取った近衛師団長が近衛騎士たちに命令を出す。あのー、巻物の中身も確認しないで取り押さえたら完全にやらせですが・・・。
「さて、アイリス嬢」
「はい」
私は素早く居住まいを正して、あくまで優雅にドブ川殿下の方を向く。
「誰がドブ川だ。そなた先ほどから心の声が漏れておるぞ」
おや?そんなばかな?
「おや?ではないわ。そなた何故婚約破棄を言い出した宰相どもを応援しておる?」
あきれ顔でこちらを見る王太子殿下。いやですわ、殿下の勘違いでは?
「そりゃぁ逃げたい一心で!」
「・・・心の声と口から出る声が逆転しておるぞ?」
ジト目でこちらを見る殿下。
背中に冷たい汗が伝う。
いや、ホント逃げたいのですわよ。
この方、本当は文武両道でとても優秀。
なのに怠け者で5歳にしてボーっとしてアホのふりしてれば全部第二王子殿下に押しつけられると画策する性格の悪さ。
上級貴族とそれに連なる家の者は王太子殿下の本性が分かってるからおとなしくしてるのよ。
今回問題を起こしたのはそういった情報のツテのない下級貴族と新興貴族が中心。
まぁ、下級貴族だろうが新興貴族だろうが王太子殿下のことを知らなくてもちゃんとしてる貴族は当然いるし。
あの偽聖女を出した男爵家だって真面目一本でやってきたお家。奥様は今日の会場で気絶してたわ。
幸い今回の件にはかかわり無いみたいだからお咎めは軽く済むでしょう。
でもね、そもそもこの騒ぎは当時宰相だったお父様を暗殺しようとしている情報が入ったものを殿下が利用しようと考えたのが始まりなのよ。
まさか宰相にあのガマガエル伯爵を任命して好き放題させたうえであぶり出すとは。
まぁ、偽聖女やら側近候補の暴走は予定外だったみたいだけど。
黙り込んだ私(さすがにこれ以上は心の声を漏らすわけにはいかない)を見て殿下が私にしか見えないように、聞こえないようにつぶやく。
「これは逃がさないように結婚を早めないとねぇ」
そして公衆の面前で抱きしめられた!ぎゃっー
王妃殿下と側妃様が遠くで「まぁ、仲良しさんね」なんてキャッキャしてるのが聞こえる。
絶対この状況が分かって言ってますよね。
「うむ、バーロウ侯爵を本日付で宰相に戻す。婚姻の準備を進めよ」
「はっ、かしこまりました」
国王陛下―、なんてことを!お父様、憐れむ目で見てないで、たーすーけーてー。
「ふふん、私の本性を知っているのは君くらいだからねぇ。逃がしてあげないよ、アイリス」
どうしてこうなった!だれかー、だーれーかー!
以上で本作は完結です。
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