大団円?
今回が最終話です。
それではどうぞ。
どうしよう。
明け方になり心細くなった私は泣きそうになっていた。
ふざけた強がりでごまかしてきたが現実と向き合ったときに恐怖で心が塗りつぶされた。
このまま酷いことをされて殺されるのか。他国へ売りとばされるのか。
自分がどうなってしまうのか不安で押しつぶされそうな時。
部屋の外から複数の足音が近づいてきた。
どうしよう、再びそう思ったとき扉が開いた。
「アイリス、大丈夫かい?」
ドアの向こうから差し込む光を受けて王太子殿下の金髪がキラキラと輝く。
「殿下!」
直ぐに私に走り寄る殿下が私を縛る縄をほどいてくれる。
「殿下ぁ・・・」
私は思わず泣きながら王太子殿下に抱き着く。
殿下は優しく私の頭をなでてくれた。
ん?
何故、北ボデアマントヒヒ(頭頂部に毛がない)ことボスと南デセックヒヒマンドリルことドリル氏が王太子殿下の後ろに立っているのでしょう?
「殿下、これはどういうことでしょう?」
私の頭をなでながらニヤニヤご満悦の殿下をジト目で見る。
「え?いや、何のことだい?」
「そちらに誘拐犯のボスと手下がいるのですが?」
ニヤニヤ顔を消して慌て始める殿下。
殿下の手を払いのけ距離を取る私。
「殿下、ご説明をお願いします」
当然、説明次第ではタダではおきませんが。
「え?あ、いいぇ、実はね」
言い辛そうにしている殿下。
「ご説明をお願いします」
私の声から感情が抜ける。
「実は、元宰相たちとは別に君を狙っている輩がいると情報があってね。色々調べたら横領が発覚して取りつぶしになった伯爵家の元令嬢が怪しいとなったんだ」
横領で取りつぶしになった伯爵家。
あぁ、私が殿下の婚約者になった後、殿下に押しつけられた資料から私が横領に気づいたことにして取りつぶしになった伯爵家ですね。
そう、あれも殿下の企みでしたね。
軽くこぶしを握る私。
「ほう、それで?」
「何かあると大変だから君に護衛を付けておいた。いや~無事で良かった」
「違いますよね?」
笑顔でごまかそうとした殿下の言葉にかぶせるように聞く。
誤魔化されてなどやらん。
「え、えっとね、そこのご令嬢が王宮に来た時に私の顔を見たようでね。なんか、没落前に手紙を何度か貰っててね」
「で?」
「その、婚約者を自分にしろとか変な要求が多かったんだよね」
「で?」
「いや、横領が酷かったのもあったから取りつぶしにしたんだけど、令嬢だけは他家に養子に出てたみたいでね」
「で?」
「新しく養子に入った家からも婚約者変更の手紙が届いてて君が危険じゃないかと」
私はため息をついた後、素晴らしい笑顔で殿下に聞いた。
「殿下、背景は分かりましたがそこのお二人、ボスとドリル氏がここにいる理由をお答えいただいてませんが?」
「ド、ドリル氏が何かは分からないけど、そこの二人は君を守るために用意した私の部下だよ?」
上目遣いにこちらを見る殿下。
ほほう、殿下の部下は私に説明なしで誘拐犯を演じたと。
そして私は恐ろしい目にあったのに、それは演技だったと。
「で?」
「いや、で?とは?これ以上ないけど・・・」
「どこまでです?」
「どこまでとは?」
「殿下はどこまで事態を把握され、どこまで手を回し、この館にいる誘拐犯のどこまでが殿下の部下なのですか?」
殿下が冷汗を流している。
「いや、あのね、例のご令嬢が地下組織と接触しようとしているとの情報が入ってね?それで、地下組織の人間を装って接触したらアイリスの誘拐を企んでいてね」
「ほう?」
「これはアイリスが危ないと思って誘拐をこちらで引き受けたことにして、アイリスを守ろうと思ったんだよ」
「殿下?まだこの館にいる誘拐犯のどこまでが殿下の部下かお聞きしてませんが?」
「・・・全部」
「は?全部?」
「そう、全部私の部下だよ。だって、アイリスを危険な目に合わせるわけにいかないじゃないか!」
つまり、誘拐犯が王城に入り込んで私を誘拐したのではなく、王太子殿下の部下を予め配置していたと。
なるほど。
「それなら私がこんな目にあう必要が無いのでは?」
「いや、突然敵側が複数できたらたいおうできないだろう?」
腹立ってきた。
「つまり私は、殿下のストーカーに悪意を持たれ、殿下がご自分の正体を隠すために私が発見したとされた横領の件で逆恨みされ、殿下の部下の方が誘拐を装うために恐ろしい目にあったとそう言う訳ですね」
「いや、そうとも言えるかもしれないが例のご令嬢はさっきノコノコ現れたところを捕縛されたし。これでアイリスに危険が及ぶことは無いと思うし!」
「ほう?」
そう言って殿下を睨みつける。
何でボスとドリル氏が抱き合って震えてるのでしょう?
まぁ、3人とも同罪ですが。
ここは乙女48の秘密必殺技「少し大きめの呪い」が必要ですわね。
「いや、7つから大分増えてるけど・・・」
うるさい、だまれ。
乙女の秘密は増えるモノなのだ。
ふん、忘れたころにタンスの角に小指を定期的にぶつける呪いをかけてやる。
「「「えげつねぇ・・・」
3人の情けない声を後にしながら部屋を出るとお父様が待っていた。
「大丈夫かい、アイリス。今度こそは婚約破棄を真剣に考えよう」
「いいえ、お父様。私が婚約破棄すれば他の方が被害にあいますわ」
「・・・そうか」
お父様は複雑な顔をしている。
他の方が被害にあわないように、しょうがないから婚約者を続けるのだ。
そう、しょうがないからなのだ。
第2章はいかがでしたでしょうか?
続きを書くかはまた反応を見てゆっくり決めたいと思います。
第2章を読みたいと言ってくださった「宇奈月様」「にに様」そしてブックマークや評価で応援してくださった皆様に心からお礼を申し上げます。
またお会いしましょう!




