18話新社屋
―――――斉藤自動車整備工場新社屋
イクトは営業再開初日に新社屋に顔出しに来ていた。
「こんにちはー新社屋移転おめでとうございまーす。」
「お、来たな?」
てっちゃんがにやにやしながら事務所の奥からで出て来た
「お前さんの工具用意一式も用意したぞ。」
新社屋は車好きなら憧れるような作りだ。建物内にガラス張りのショールームが、ありそこに車が展示できる。展示車を眺めならがコーヒーを飲んだり、商談を進めたり。事務所おくに大きなガラス張り、がありその奥がリビングになっているらしい。今はカーテンが閉められて見ることは出来ない。良いなぁ・・・・。リフトもあるし。・・・・・僕もショールーム付きで、サーバールームとMDF室付で、壁コンセントとかに光ファイバーとLANポート付けて~♪……各部屋に光とLANを伸ばして。ラダーも通しておけば、あとから配線を増やせるし――。
うーん。さすがにMPOケーブルまでは、やりすぎかなぁ。
……待って。
今、てっちゃん、なんて言った?
僕の工具?
そこへ諸星さんもやってきた諸星さんの後らしい相棒はどちらかと言えばギリファミリーカーだSTiグレードだけど。
「おお!君も来てくきてたのか君が結構な金額で買い取ってくれたから俺も良い車買えたよ。BRZは元気かい?」
「はい! 敷地内で動かしてます。あとは状態のよさそうな部品を買い集めていて、倉庫もだいぶ埋まってきました」
「……倉庫?」
「予備のエンジンも確保できました」
「君のその資金は、一体どこから……」
「そういや、さっき工具を用意したって言ったろ。学校に通いながら、うちで働かんか?」
「……僕が、ですか?」
「最初は内装の脱着や、走りに影響しねえ範囲の電装品の取り付けあたりからだな。もちろん、任せる前には教えるし、仕上がりも俺らが見る。まあ、バイトみたいなもんだ」
「うちの連中も、坊主を育てたいみたいだしな」
「……いいんですか? 教えてもらうことばかりになると思いますけど」
「最初はみんなそうだろ」
「……よろしくお願いします!」
存在を忘れられた諸星さんが涙目でウンウンうなずきながら
「絆だなあ」
と呟いたところでてっちゃんが、はっと顔を上げる。
「いっけね!旦那オイル交換だったよな!」
「一番良い奴を頼む。明日から自家用車を使って北海道から大分までの往復仕事なんだ。急に決まって新幹線も飛行機も取れなくてさ。油脂類全部経費で落とせるように交渉してきた。」
「北海道から大分まで、往復?」
てっちゃんの手が止まった。
「明日から?」
「そう。油脂類は全部、経費で落とせるように交渉してきた」
「……坊主、さっそく仕事だ。点検するから、こっち来な」
「はい!」
イクトが嬉しそうに立ち上がる。
「旦那、絆の話してる場合じゃなかったな」
「俺も途中から、そう思ってた」
「ちなみにホテルも取る余裕無くて車中泊なんだよね。辞めよっかなこんな会社。」
「……旦那、車だけ整備しても駄目な話になってきたぞ」
「一番いいオイルで、俺もどうにかならん?」
「そっちは睡眠と布団が要る」
「僕にとってはご褒美タイムですけど。……普通は嫌か」
「坊主。好きなときに休めるドライブと、納期のある仕事は違うぞ」
「……ああ、それは嫌ですね」
「だろ?」
「寄り道できませんもんね」
「そこだけじゃねえんだよ」
「僕にとっては通勤が片道1時間でもドライブと一緒なので。(前世で実績有り)」
「毎日だぞ?」
「毎日たくさん乗れるんですよ? 通燃料費、会社持ちで」
「……坊主、今すっげえいい顔してるぞ」
「好きな車で走って、着いたら車をいじる仕事です」
「駄目だ。こいつには全部ご褒美だ」
「何をどうしたらこんな息子になるんだ・・・・・たしかに両親はサーキット族だがよぉ、」
「ちなみに弟はVABかアルシオーネSVXに乗りたうそうです」
てっちゃんと諸星さんが顔を見合わせた。2台目のチョイスに思わず2人の声が重なる。
「「ニッチすぎる・・・・・」」




