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第4話:【弁償】魔力測定したら、神様(財布)のキモい金貨で恐喝することになった件

大男――シェンと呼ばれた冒険者が自分の喉を掴んで涙目でパニックになり、ギルド中が静まり返る中、私は何食わぬ顔で受付カウンターへと歩みを進めた。


カウンターの奥では、受付嬢さんが完全に腰を抜かしてガタガタと震えている。


そりゃそうだ。独り言をブツブツ呟いていた正体不明の不審な少女が、一瞬にしてギルドの荒くれ者を「無音」にして無力化したのだ。


ネクロマンサーどころの恐怖ではない。



「あ、すいませーん。冒険者の登録をしたいんですけどー」



「ひ、ひゃいっ……! ぼ、冒険者、とうろく、ですにぇ……っ!」



噛み倒しながらも、受付嬢さんはプロ根性でカウンターの下からひとつの魔道具を取り出した。


促されるままに見つめたそれは、禍々しい輝きを放つ『魔力測定の水晶』だった。



「こ、こちらに、手をかざして、くだしゃい……」



「はーい」



私が言われた通りに、水晶にそっと手をかざした。


と、その瞬間だった。



バチバチバチッ!!!



水晶が激しくネオンピンクに明滅したかと思うと、けたたましい警告音と共に――。



ーーパァンッ!!!



と、派手な爆音を立てて木っ端微塵に弾け飛んだ。



『あ、壊した』


『ろいでちゃん、器物破損で一発BAN(逮捕)じゃんwww』


『おい受付嬢さん白目剥いて泡吹いてるぞ!!』



「えっ、ちょっと待って!? 私、触ってもいないのに急に爆発したんだけど! これ初期不良バグでしょ!?」



私が必死にドローンカメラに向かって言い訳をしていると、ヘッドホンからミュートをこじ開けたりーくんの呆れた声が響いた。



『あーあ、やっちゃったね、ろいでちゃん。その水晶、この街のギルドの年間予算の3割を占める特注品だよ? はい、弁償ね』



「なんでよっ!?」



『なんでって、君が壊したからに決まってるじゃないか! 壊した本人が逆ギレしないでよ!?』



「私は悪くない! そもそも、私の魔力出力を地球の200万人超えのリスナーと同期させたの、誰だっけ?」



『え? 僕だけど……?』



「じゃあ、水晶が許容量オーバーで壊れた原因を作ったのは、システムを構築したりーくんだよね? はい、りーくんの全責任。弁償よろしく!」



『ええっ!? なんでそうなるの!? 僕は君に頼まれて神権を貸し出してあげただけなのに、開発者責任を問われるの!? 理不尽の極みだよ!!』



「いいから早く払って。ほら、受付嬢さんが泡吹きながら「あ、あの、金貨100枚になります……」って遺言みたいな声で請求書差し出してきてるから。ねえ、神様なんだから金貨くらい出せるでしょ?」



『う、うぅ……。僕、現地の通貨なんて持ってないのに……っ。わ、分かったよ! 創造の神権で、今すぐ金貨100枚をこの場で顕現させればいいんだろ! ほら、もっていけー!』



りーくんが泣きそうな声で叫んだ瞬間、私の前に「りーくんのキモいポーズ(正面を向き、両腕を曲げて左右の力こぶを誇示するボディビルダーのポーズ)が1枚1枚に精巧に刻印された、無駄に輝く金貨100枚」がチャリンチャリンと降ってきた。



「……ねえ、これ金貨の絵柄が最高にキモいんだけど。使えるのこれ?」



私が不審そうにその内の1枚を摘み上げると、それを見た受付嬢さんの目が、突如として限界まで見開かれた。



「え……あ、あ、あああ……っ! こ、これ、ゴールドの純度が測定不能……!? それにこの刻印、まさか……神話に記されし芸術の神、リデーレ様の直鋳金貨〈激レア・美術的価値無限大〉……っ!?」



「え、そうなの?」



受付嬢さんの絶叫に、ギルドの奥で縮こまっていた他の冒険者たちまでもが、色めき立ってワラワラと集まってきた。



「おい、マジかよ!」「あの伝説の美術品金貨か!?」



「裏面の筋肉の陰影の彫刻、職人の執念を感じるクオリティだぞ……! 本物だ!」



さっきまで私を怖がっていたはずのおっさんたちが、キモ金貨を囲んで大興奮で鑑定を始めている。



「みんな見て、異世界のおじさんたちが、りーくんの全裸ポーズ金貨を見て興奮してる。まじで絵面が地獄なんだけど」



私がカメラに向かって冷めた実況を入れると、チャット欄は大爆笑の渦に包まれた。



『おっさんホイホイ金貨wwwww』


『りーくんのキモポーズ、まさかの美術品扱い』


『ろいでちゃん、神様を財布にしてカツアゲするの最強すぎる』


『りーくん、ただの財布で不憫可愛いwww』



「べ、弁償、たしかに受け取りましたぁっ! プレミアがついて実質金貨1000枚分の価値がありますので、お釣りをお渡しせねば……っ!」



『ふふん! 感謝したまえ! 僕の美しすぎる肖像入りの金貨だよ! 芸術を解する者なら、家宝にして拝むレベルだからね!』



「あ、お釣りは受付嬢さんのチップでいいです。あと、りーくんのドヤ顔がうるさいのでミュートね。カチッ」



『ちょっ、まっ……』



頭上のステータス画面の隅っこで、りーくんの音量ゲージが再び「0%」に固定され、激しくじたばたしている。



「ふふ、やっぱり配信は「撮れ高」が命だよね!」



こうして、私の異世界初ギルド配信は、ギルド全体を恐怖とシュールな爆笑の渦に巻き込みながら、同接200万人を突破したのだった。



(つづく)

作者のねむねむもーどです。

ご一読ありがとうございました!

広場のキモい石像のポーズが、まさか金貨で即回収されるとは……(笑)。りーくん、神様なのに完全に財布扱いで不憫可愛いです。

『ろい無双』の配信を「また見に来てあげるよ!」という優しいリスナー(読者)の皆様、ぜひブックマークや、下の「☆☆☆☆☆」から評価をいただけると、ろいでちゃんがもっと神様を恐喝(?)するエネルギーになります!

明日は夕方17:00に、ろいでちゃんの「異世界配信・第5話」を投稿しますので、ぜひ通知をオンにして(ブクマして)お待ちください!

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