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第1話:おはろいでー!死んだけど異世界で配信始めまーす!

「――はい、というわけでね! 今日はチャンネル登録者数1000万人突破記念の、超絶ハッピーな雑談配信なわけなんですが……」


私、ろいで(17)。現代エンタメ界の頂点に立つトップライバー。

ピンクのインナーカラーが入った黒髪ツインテールを揺らしながら、お気に入りの猫耳ゲーミングヘッドホンを直し、カメラに向かっていつもの小悪魔スマイルを向けていた、その時だった。

ずん、と目の前の世界が大きく歪んだ。

ピカピカ光るゲーミングPCも、お高いマイクも、防音室の壁も、一瞬ですべてが消失する。

気づけば私は、見たこともない『真っ白な空間』にぽつんと立っていた。


「おや。1000万人の脳をバグらせた愛しきカリスマ。まさか配信中に機材の漏電でポックリ逝っちゃうなんて、君もとんだお茶目さんだね」


声をかけてきたのは、スポットライトを浴びた舞台役者のように立つ青年だった。

確かに、顔だけを見れば、彫刻のように整った凄まじい美青年。……なのだが。


(……待って。なんか、ものすごく『うるさい』んだけど)


彼の髪はシルバーを基調にしつつも、インナーやメッシュにピンク、ネオンブルー、パープルがこれでもかと散りばめられ、まるで光り輝くゲーミングPCのLEDグラデーションのようだった。

しかも、神聖なはずの神の外套マントには、なぜか英字プリントのネオンベルトや安全ピン、クリップがジャラジャラ垂れ下がっている。極めつけに、室内(?)なのにピンクのカラーサングラスを鼻先までズラして、不敵なドヤ顔を決めていた。


「……あの、ドッキリの案件? てかお兄さん、衣装の情報量が多すぎて目がチカチカするんだけど。動くたびにジャラジャラ音鳴ってるし」


「心外だなあ! これこそが我が神権を具現化した最先端の『ゴッド・ストリート系ファッション』だよ!? ちなみに僕はリデーレ。この世界――いや、君からすれば異世界の【表現と芸能の神】さ!」


「神様ねぇ……。とりあえずそのサングラス外した方がいいよ、絶対」


「これがおしゃれなんだってば! まあそれは置いておいてさ。いやあ、退屈してたんだよねぇ! この世界の人間がやるお芝居も歌も、みーんなお堅くてワンパターンでさ。そんな時、地球で君の配信を見ちゃったんだ」


うるさい神様は、私の手元にスッと『何か』を差し出した。

それは、私がさっきまで身につけていた、愛用の猫耳ゲーミングヘッドホン。

だけど、どこか神聖で、禍々しいほどの魔力が宿っている。


「君のそれは、最高に新しくてクリエイティブな『究極の芸能』だ! だから君に僕の神権システムをあげる。そのヘッドホンを通じて、君の世界のファンに『異世界配信』を届けてよ。君なら、この退屈な異世界を最高にバカげたお祭り会場に変えてくれるだろ?」


「配信……? いいよ。じゃあその異世界、私の配信でぜんぶバグらせちゃっていいんだね? うるさいお兄さん」


「うるさいって言うのやめて!? でもその意気やよし! 期待してるよ、僕の可愛いマイ・ディーヴァ(歌姫)!」


リデーレがパチンと指を鳴らす。

視界が眩い光に包まれ――次の瞬間、私の体は、どこまでも広がる青い空と緑の平原に投げ出されていた。

草の匂い。肌を撫でる風。

そして、私の頭には、リデーレから託された『神の加護ヘッドホン』がしっかりと装着されている。


「おっと。いきなりファンタジーじゃん。ま、いっか。まずは生存報告からだよね」


私はヘッドホンの通信スイッチを、迷わず『オン』にした。

空間に、半透明の配信ウィンドウが飛び出す。カメラが私を捉え、配信開始ボタンをタップする。

ーーピコン、ピコン、ピコンピコンピコンッ!!!

配信開始から、わずか3秒。

画面右上の『視聴者数』カウンターが、バグったような速度で回転し始めた。

10,000…… 100,000…… 500,000……!

そして。


[システム:同時視聴者数(同接)が 1,000,000 人を突破しました]


一瞬で100万人が集まり、チャット欄が光の速さでスクロールし始める。


『は!?!?!? ろいで生きてる!?』

『漏電で死亡ってニュース流れてたぞ!? おい!!』

『生存報告きたああああああああ』

『生きててよかった……って、え、そこどこ? スタジオ?』

『背景のグラフィックやばない? 超リアルなんだが』


私はカメラに向かって、いつものように、いたずらっぽくピースサインを作った。


「みんな、おはろいでー! 心配かけてごめんね? 実は私、死んだと思ったら異世界にいました! というわけで――」


ガサガサ、と背後の草むらが大きく揺れる。

現れたのは、3メートルはあろうかという、禍々しい赤黒い鱗に包まれた巨大なトカゲ。――いや、ドラゴンだ。

よだれを垂らし、私を捕食しようと赤い目を光らせている。


『あ、早速コラボ相手かな? トカゲさん、ちょっと距離感バグってるよ』

『ちょwwww 後ろ後ろwwwwww』

『CGのクオリティ高すぎて草。新種のAR技術か?』

『トカゲの演技うますぎだろ、よだれ垂れてるぞ』


その時、ヘッドホンからリデーレの楽しげな声が鼓膜に直接響いた。


『ハロー、ろいでちゃん。初戦闘の記念すべき舞台だね! ヘッドホンの【神権ボタン】を押して、僕の力を借りちゃいなよ!』


「おっけー、りーくん。視聴者のみんな、配信一発目のとっておき、見せてあげるね!」


私は猫耳ヘッドホンのサイドボタンを、カチリとポチッた。


【神権:神回ゴッド・ストリーム】発動。


私の全身から、ピンク色と漆黒のネオンエフェクトが爆発的に噴き出す。

それは『表現と芸能の神』がもたらす、絶対的な支配の領域。


「はい、それじゃあこのトカゲさんには退場(BAN)してもらいまーす。――アンコールは、なしだよ?」


私が指先をパチンと鳴らした瞬間。

迫り来る巨躯のドラゴンが、まるでお祭りの打ち上げ花火のように、五彩の光を放ちながら空中で華麗に爆破四散した。

降り注ぐ光の粒子。

画面の向こうの100万人が、一瞬の静寂のあと、狂喜乱舞を始める。


『は?????????』

『ドラゴンの爆発エフェクト綺麗すぎワロタwwwww』

『今のスキル何!? 神回確定演出キターーーー!!』

『スパチャ(10,000円):生きとってくれてありがとう!!!』

『スパチャ(50,000円):異世界サバイバル配信最高や!』


投げ銭の赤い光が画面を埋め尽くし、私の身体に「神権の経験値」が凄まじい勢いで流れ込んでいく。

と同時に、視界の隅に、見慣れないポップアップ式の『ステータス画面』が跳ね上がった。


【配信神権:システムUI・ろいで】

配信者名アカウント: ろいで(RoiDe)

メイン配信神: 表現と芸能の神・リデーレ(コラボ中)

チャンネル登録者数: 10,000,412人(+Lv.UPで微増!)

配信ランク: 『神公認ライバー(Lv.1)』

▼ アクティブパラメータ

視聴者熱狂度(MP): 1,200,000 / 1,200,000 (※同接・コメント・スパチャで爆増!)

物理耐久値(HP): 150 / 150 (※普通の17歳女子並み。ただし神のバリアあり)

配信神権スキル

神回ゴッド・ストリーム】: リスナーの興奮を物理的な破壊力に変換して放つ、ろいでの必殺技。

【荒らしBANミュート】: 敵の攻撃や魔法を「不要なノイズ」として強制遮断ブロックする絶対防御。

【ギフティング・ヒール】: スパチャ(投げ銭)が飛ぶたびに、そのエネルギーで瞬間回復する。

▼ 装備品

【リデーレ特製・猫耳ヘッドホン】: 神器。神の声(音声案内)が聞こえる。ノイキャン機能付き。

【ダボダボの萌え袖パーカー】: 防御力ゼロ。でも可愛い。


「……なるほど。視聴者が盛り上がれば盛り上がるほど、私はどんどん無敵になれるってコトね」


私はニヤリと不敵に笑い、カメラ(ドローン型の神権端末)に向かってウィンクした。


「ふふっ、みんなスパチャありがとー! よーし、それじゃあ1000万人のリスナーと一緒に『異世界配信無双』、本格的に始めちゃうよー!」


こうして、私の前代未聞の異世界ライバー生活が、ド派手に幕を開けたのだった。



(つづく)

作者のねむねむもーどです。

ご一読ありがとうございました!

記念すべき第1話は、伝説のライバー・ろいでの異世界生存報告(同接100万超え!)でした。

リスナーの熱狂を力に変えて無双する、ちょっと新しい異世界配信ストーリーをお届けしていきます。

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次回は「投げスパチャのルール」について、あのうるさい神様が解説してくれます。

今後ともこの作品をよろしくお願いいたします!

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