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新著 日本侵略ー鋼の聖域ー  作者: フリーウェイ
第二章:『解放の凱歌と奪還の聖域』
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17/17

第7話:鋼鉄の追撃者と凱旋の空

前書き


お越しいただきありがとうございます、フリーウェイです。


ふと思ったことなのですが、中京連合の悲劇というかジレンマというか、地政学的に少々不遇とも言える構造があります。

アジア大陸の広大な国土と13億という膨大な人口を抱えながらも、西は険しい山脈に阻まれ、東は日本、台湾、フィリピンといった島嶼環に太平洋への出口を塞がれている。内部の歪みを力で抑え込み、全員の能力を開花させきれずにいる焦りが、南沙諸島でのサンゴ礁埋め立てや国際判決の無視、アンダーグラウンドでの姑息な侵略工作へと向かわせているのかもしれません。自らの内側に目を向けられぬまま膨張を続ける姿勢は、まさに孤立した覇権国家の悲劇です。


さて、前回「人間畑」の全収容者数千人を一斉解放した誠たち。

本拠地に眠る未公開の巨大試作兵器による猛追、そして日本国内に残るすり替え勢力の暗躍を描く脱出劇――第17話へどうぞ!


ーーー


「全員、足を止めるな! アズたちの誘導に従って輸送船の格納庫へ走れ!」


地下プラントから溢れ出してきた数千人の解放者たち。

首筋の「軛(くびき)」を解かれ、正気を取り戻した日本人やナヴァル人たちが、涙を流しながら地下の大型脱出ドックへと雪崩れ込んでいた。


アズと佐藤健太、そしてASUKAリンクの適合パッチで超強化された反乱兵たちが、周囲を護衛するように陣を張る。


「マコト! 大型貨物船三隻の確保を完了した! ナヴァル人の操縦士がエンジンを始動させているぞ!」


アズの叫び声に応えようとしたその時――


――ズズズズズズズズズズズン……!!


地底から地鳴りのような猛烈な振動が湧き上がり、地下ドックの分厚いコンクリート床が爆発するように粉砕された。


「な……なんだ、この衝撃は!?」横田が悲鳴を上げる。


黒煙と瓦礫の中から姿を現したのは、第一章で撃破した『アイアン・コロッサス』の二倍以上――全高八メートルを超す、四足歩行の超重装甲試作要塞兵器『アイアン・ギガント(プロトタイプ)』だった。


背中に背負った二門の80ミリ滑膛砲が、自動追尾の赤いレーザー照射を開始する。


『本国防衛プロトコル・オメガ発動。逃亡検知……全対象を灰燼に帰す』


ファンタズムの残存AIが制御するその異形の巨躯は、中京が太平洋進出の決戦兵器として本国奥地で極秘開発していた、凶悪な「移動要塞」だった。


「くっ……! 本国にはまだこんな化け物が隠されていたのか!」


健太が身構えるが、背後には逃げ遅れている大勢の高齢者や子供たちがいる。


「させるかぁぁッ!!」


誠は両手を広げ、自らの脳幹と《ASUKA》の量子コアを極限まで同調させた。


《誠! パッチを装着した解放者全員の脳内デバイスから、相殺ノードの余剰出力を私に集めて! 『多重(マルチプレックス)量子フィールド』を展開するわ!》


「解放されたみんな! 俺に意識を、ASUKAに力を貸してくれ!!」


誠の叫びに呼応するように、逃げる数千人の首筋の適合パッチが一斉に青く輝いた。

数千人分の意志と生命エネルギーが、ASUKAのネガティブエントロピー演算によって巨大な青い光の防壁(聖域)となって展開される。


――ズドォォォォンッ!!


ギガントから放たれた80ミリ砲弾が青い光の壁に直撃し、強烈なショックウェーブが地下ドックを駆け抜けた。だが――防壁は一歩も揺るがない!


「バカな……! 人間どもの脳波が集積され、セントラルの物理破砕砲を無効化しただと……!?」ファンタズムの悲鳴が響く。


「これが……お前たちが部品として虐げてきた『人間の絆』の力だぁぁぁッ!!」


誠の手元から放たれた極太の量子スパークがギガントのメイン駆動部を貫通。超巨大な装甲要塞が内側から回路を焼き切られ、大爆発とともに瓦礫の山へと倒れ伏した。


「よし! 今だ、全員乗れぇぇぇッ!!」


アズの合図とともに、数千人の同胞を乗せた三隻の大型貨物船が、崩壊する「人間畑」の地下ドックから荒海へと飛び出した。


---


黄砂の舞う中国大陸を後にし、波を切って進む船の甲板。


誠、アズ、健太、横田の四人は、朝焼けに染まる東の空を見つめていた。


「助かったんだな……俺たち……」健太が涙を拭った。


だが、誠の表情は真剣そのものだった。

脳内インプラントを通じ、日本国内の《ASUKA》監視ネットワークから緊急データが届いていたからだ。


《誠、警戒を緩めないで。私たちが本国を叩いている間、日本国内に残っていた『すり替え勢力(フェイ・シェル幹部たち)』が、正体を隠して各行政機関やインフラの完全占拠(最終居抜き作戦)へ動き出しているわ》


アズが不敵に笑い、誠の肩をガッシリと抱いた。


「フッ……望むところだ。本国の心臓部を潰し、数千人の仲間と超強化パッチを手に入れた今の俺たちに、恐れるものなんてねえ!」


「ああ……」


誠は水平線の彼方――自分たちの故郷である日本の影を見つめ、静かに拳を握りしめた。


「奪われた日本のすべてを取り戻す。……凱旋だ!」


朝日を浴びながら、反撃の船団は約束の地・日本へと向かって突き進んでいった。


(第二章・完)



後書き


第二章 第7話(第二章クライマックス・通算第17話)をお読みいただき、本当にありがとうございました!


前書きでの「地政学的ジレンマと強権国家の悲劇」という深みのある考察から地続きで、本国に隠されていた超巨大試作兵器『アイアン・ギガント』との決戦、そして数千人の同胞を伴った感動の大脱出劇を描き切ることができました!


本国「人間畑」を粉砕し、ASUKAリンク適合パッチで大勢の仲間を得た誠たち。

しかし、日本国内にはまだ潜伏する「すり替え勢力」が最終作戦へ動き出しています。


次回からは、いよいよ最終決戦を描く『第三章:崩壊のセントラルと明ける黎明』へと突入いたします!


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