第4話 釣りをするには魚を騙す
【システムメッセージ:職業《村人(NPC)》を退職しますか?】
まだ遊べそうだったけど、さすがにちょっとストレスだった俺はNPCを退職した。
【システムメッセージ:職業《村人(NPC)》を退職したため、あなたの職業が《求職者(無職)》に変更されます】
【システムメッセージ:スキル《巡回》、スキル《反復》が消失しました】
「それ消失してくれんのは助かるな」
「え?《超無敵》そのまま残るの!?弱体化なし?」
俺はステータスを確認した。
【所持スキル:《覚醒》/《退職》/《転職》/《超無敵》】
うーわ、やべぇ。
俺はスキル欄を確認した。
「そういえば《覚醒》は弱体化してたっけ」
【スキル《覚醒》:HPが10%以下になるとステータスが2倍になる】
「え?弱体化してコレ?」
(そういや社畜の時の覚醒って、HPまだ全然あったよな)
しかし説明文がまともだな。
俺は《超無敵》を確認した。
【スキル《超無敵》:街の中ではダメージを受け付けない】
「いや、つよーーーーーー!」
街の中限定とは言え、さすがにチートすぎる気がしたが。
「まぁ、街の中じゃそうそう、ダメージ喰らうことはないわな」
俺は頭を切り替えた。
さて、次は何になろうかな?
上から下へ、下から上へとスクロールする。
(そういえば、腹減ったな)
(腹が減るってことは、やっぱりリアルな世界なんかね?)
「お?これいいじゃん」
【職業《釣り師》:釣り針を投げる(選択不可)】
【転職条件:とりあえず釣り針を投げる】
「職業説明、なんか変じゃね?」
まぁ腹も減ったし、魚を釣って飯でも食うか。
なにしろこの街に来て荷物の運搬か、同じルートの巡回しかしてないからね!
しかし、釣り針はどこにあんのかね?
街を散策していると道具屋を見つけた。
「ちわーす」
俺は道具屋に入り物色する。
「釣竿あんじゃん」
値段を見る。
「2,000Gか、良かった。足りるな」
カウンターへ。
「お?釣りかい?釣竿だけでいいのか?
餌はどうすんだ?」
「え?その辺で虫でも捕まえて餌にすればよくね?」
「あほか!この辺で釣りするっつったら、裏手にある"ナガレ川''しかねぇ。
あそこの魚はその辺の虫なんか食わねぇぞ」
「へー、おいくら?」
「餌は5,000Gだ」
「あほか!どこの世界に竿よりたけぇ餌があんだよ!」
「ここにあるだろ!」
「はん?俺の世界じゃ、釣竿買ったら餌は無料でくれたけどな!」
いや、知らんけど。
「嘘つけ!騙されるわけねぇだろ!そんな話!」
もう、腹立った。
餌を高値で売りつけるなんて、絶対この店ぼったくりだ。
「竿も買わねぇ!じゃあなおっさん!」
「あぁ出てけ出てけ。嘘吐き野郎!」
なぜか、ゲームの世界でNPCと喧嘩をするタクミ。
いや、多分NPCではないけど。
というかさっきまでタクミがNPCだったのだが。
「あぁもう!腹も減ったし、釣り師じゃなくて違う職業探すか……」
俺は再度スクロールする。
「あれ?」
【職業《釣り師》:釣り針を投げる(選択可能)】
「釣り師選べるじゃん。なんで?」
条件満たしてないんだけどなぁ……
まぁ、でも選べるなら。
【システムメッセージ:職業《求職者(無職)》から、《釣り師》に変更されます】
よーし、別の道具屋に行って、改めて竿買うか。
「魚食うぞー。そういや釣り師のスキルってどんなのがあんのかな?」
【スキル《誇大表現》:いや、明らかに盛りすぎて釣り針でかいわー】
「いや、そっちの釣り師かよ!!!!」
飯を食べたいのだが……
さて、どうするか。
腹が減って……
俺はその場に座り込んだ。
「おい、兄ちゃん。
どうした?顔色が悪ぃぞ?」
「え?いやちょっと……」
【システムメッセージ:スキル《創作話》を獲得しました】
ん?
【スキル《創作話》:ゼロから話を作り出す。
しかし、内容があまりに荒唐無稽。
女性でも離婚の時に慰謝料払うんですか?
いや、その釣り針のデカさよ……】
「さっき1,000万G盗まれまして……」
「1,000万G持ち歩く馬鹿がどこにいるんだ?」
「え?どうしたの?」
「なんか1,000万G盗まれたらしいぞ?」
「いや、ありえないでしょ」
「うは!嘘乙」
「いや、もしかしたら本当の可能性もあるから検証しようぜ」
「まず、どこから始める?」
なんだ?なんか人がドンドン集まってきたぞ……
しかも話が全く関係ない方向に盛り上がってないか?
【システムメッセージ:スキル《祭り》を獲得しました】
「さっきからなんやねん!」
【スキル《祭り》:話が加速しまくって、人が入り乱れた結果やんややんやしている。
もはや釣り師の存在はあまり関係ないことも多い。
ざまぁ】
「システムに煽られた……」
俺は膝をついた。
「で?兄ちゃん結局1,000万Gがどうしたって?」
「いや、さっきのはスキルに喋らされたというか……
その、ね?」
「なんだ、やっぱり嘘かよ」
「嘘だってー」
「うわー冷めるわー」
「嘘なら突き通せばいいのに」
急に集まってきた人たちが、その場から去っていった。
なんか泣いていいですかね?
【システムメッセージ:スキル《解散》を獲得しました】
「今度はなんだよ……」
【スキル《解散》:釣りだと分かった上で乗ってあげてたのに、釣り宣言したら、そりゃ冷める。
一瞬でも注目浴びてよかったねー】
「システムに皮肉られた……」
俺はもう立ち直れないかもしれない。
【システムメッセージ:職業《釣り師》を退職しますか?】
「よし、次だ」
俺は立ち上がって、立ち直った。
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