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【プロローグ】
闇夜を拒むように、白夜の都は病的な光を放っていた。
遠くに光。
かつて、救いだと信じた光。
白く、眩い光。
今はただ、白々しく腐った光。
……忌々しい光。
私は名を失った闇。
かつて呼ばれた名は、もう誰の記憶にも残らない。
今の私は――《常闇の主》
常闇。
全てを呑み込み、拒まず、赦さず、ただ終わらせる闇。
ギシッ……
骨の奥まで凍らせる鎖が、身体に食い込む。
重く、冷たく、私を永劫の闇に沈める。
だが……
自然の円環を断ち切った人間の因果応報。
自然が泣くたび、鎖はわずかに緩む。
世界が救済を望むように、すがるように。
今度こそ……。
もうすぐだ。
私は再び円環に名を呼ばれたかった。
闇ではなく、存在として……。
だが、もう遅い。
円環を失った世界など、死骸と同じ。
ならば光ごと――終焉へ還そう。
バキンッ――
また1つ、鎖が割れた。




