04「傲慢の王と豪傑の王」
王宮ヴィクトリアキャッスルにて、二つの国の王様が、この国に来ていたのだ。
「あなた方は…」
「(誰だあの偉そうなおっちゃん達は?)」
「アクサンドロス王とアロガンス王!」
勇樹の近くに並び立つは、傲慢の王、アロガンス王!豪傑の王、アクサンドロス王!
「おい?少年!――試験に落ちたそうじゃないか?オジさん達が何とかしてやろうか?」
「え?えーと…」
そこに、
この国の王こと、ヘンリー国王が割って入る。
「勇樹は、英雄アカデミーの卒業試験で落ちたそうじゃ、この話は、私の国の問題で………」
「戯け!」
「その程度の事で、若い青葉の未来を奪うのか貴様は?」
アロガンス王が、ヘンリー国王の話と言葉を遮るように、割り込む。
「そうだな…、来年の俺の国から入荷する筈だった物を、無しにした方がいいか?」
「え?いやいや、それはその…」
「では、俺の国からのも無しにしても?」
「それだと、我々の国が困る!」
ヘンリー国王が困惑している。
それもその筈、アクサンドロス王の国からは作物や果物を、アロガンス王の国からは金銀をそれぞれ、この国へと物流されているのだ。
しかし、この二つの国と、ヘンリー国王の国とでは、国力的にも弱小な国、故に、物流が止まると非常に困るのだ。
しかも、アロガンス王とアレクサンドロス王は、たまに気分で、変えたりする為、ヘンリー国王も頭が上がらない。
加えて、兵力も――二つの国には、遠く及ばない。
万が一にも、戦争になったら、一日も持たないだろう。
「ならば、そこの少年の処遇は、合格で良いなヘンリー?」
「いや~、それは、その…」
「はっきりせんか!」
「はい!合格でいいです!――なので、物流の方は…」
「分かっている――その話も含めてな?」
少年、勇樹のところに、アロガンス王が来て「良かったな少年」と、肩を叩いて、その場を後にする。
アレクサンドロス王は、ニコっと笑って親指を立てた。
ランスロット先生とニール先生が、喜ぶ勇樹を連れて帰ろうとすると、ヘンリー国王が、ランスロット先生を呼び止めた。
「ランスロットよ…後で話がある」
「はい」
ニール先生は、ランスロット先生を横目で見ながらも、勇樹の肩をポンポン叩いて「良かったな勇樹」と、元気付けている。
「ちっ!」
謁見の場から離れたところから、こちらを見詰める、不穏な影が、舌打ちをしながら去って行く。
~夕方~
「やった、やった~!合格だぁ!」
「まあ、何はともあれ合格はした事になるのかな?――ほら、勇樹、念願のバッチだぞ?」
「はぁぁぁ(目をキラキラさせている)」
ニール先生が、持っていた英雄アカデミーの卒業の証である、バッチを勇樹に渡そうとした。
しかし、次の瞬間、
「うわぁぁぁ!?」
突然、煙幕が起こり。
一瞬の隙を付いて、ニール先生のところから、勇樹を拉致して、謎の集団が彼を連れて行く。
「くっ、なんだ一体!?」
「しまった!――勇樹!」
「助けて先生~!!」
その場から、勇樹を拉致して逃走する。
ニール先生も追い掛けたが、煙幕に気を取られて、追い付けなかった。
~夜のランスロットの自宅の部屋にて~
自室のベッドに寝そべり、後ろ頭に手を組んで、天井を見上げながら、ボーっする。
「………………」
~ランスロットの回想~
「ランスロットよ」
「なんです?国王陛下」
「お前の気持ちも分からんでもない、じゃが、勇樹もお前と同じ、親の愛情を知らずに育って来たのじゃ」
~ランスロットの子供の頃の回想~
「「「「ガオォォォ!!」」」」
黒竜ブラックドラゴンが、街の近くにて、大暴れしている。
「離せ!俺の父さんと母さんがまだ戦ってんだ!」
大泣きしながら暴れる少年ランスロットを、近衛兵の一人が担いで逃げ去る。
「わがままを言うな?――お前が行っても、あの方々の邪魔になるだけだ!」
「父さん母さん、うわぁぁぁん!」
「「「「ガオォォォ!!」」」」
~そして現在~
「ランスロット先生!!」
「ランスロット先生!!」
「起きて下さい!」
「ん!?」
自宅の呼び鈴の音と、ニール先生の呼び掛けに起きて、玄関前で、ニール先生と話す。
「どうしたんですか?――こんな夜遅くに」
「大変です!――勇樹君が、謎の集団に拉致されて、連れ去られてしまったんです!」
「なんですって!?」
勇樹が、そんな大変な目にあっている時に俺っていうヤツは、
「今、国王陛下にも、ご報告して、騎士団や近衛兵や冒険者にも協力してもらって、捜索しています」
「ランスロット先生も早く来て下さい!」
「分かりました!」
待ってろよ勇樹、必ず助けてやるからな?




