間話「ニール・ガウェインの報告書」
これは、少年・剣崎勇樹が拉致されて連れ去られた時の話である。
「中々やるじゃない?好きよ、強い男は」
ニール・ガウェインと対峙するは、黒竜の封印を解いた、顔に傷のある男の協力者の謎の女。
魔法を使用したり魔物を召喚したり等の多彩な攻撃と戦法で、彼を追い込んでいた。
「そりゃどうも…(あの女、かなりの手練れだな?魔物を召喚するなんて、技術は普通人間には無理な筈だ)」
一方のニールは、剣や魔法を駆使して何とか耐えていた。
すると向こうで、黒竜と戦闘する音が聞こえる。
「(ランスロット先生、無事に勇樹のところに着いたようだな?)」
「よそ見するなんて、ずいぶん余裕ね?」
ニールが一瞬、目の前の相手から目を離した瞬間、謎の女が一気に間合いを詰めて、接近戦を仕掛けて来た。
しかし、遠くから魔法攻撃が飛んで来る。
「何!?」
「(これは、味方の魔法攻撃?)」
ニール・ガウェインの周囲に現れたのは、冒険者達や騎士団達だった。
「君達どうして?」
「ヘンリー国王陛下からの要請でな?助太刀するぜ?」
「残念ね?いくら仲間が増えても、こっちには…」
「そいつはどうかなお嬢さん?」
ヘンリー国王陛下の実子のトリスタン第二王子と、上級の英雄達が現れて、謎の女を取り囲んでいたのだ。
さらには、トリスタン・ジネイド第二王子の奇襲攻撃で、謎の女が負傷した。
「くっ!やってくれるわね?」
暗殺者や暗殺兵団が残った魔物を連携攻撃で全て倒していたのだ。
「部が悪いわね?」
謎の女が煙幕と霧を発生させる魔法を使って逃げようとする。
「待て、お前は何者だ?」
「その内に分かるわ?」
煙幕と霧が晴れると、謎の女は居なくなっていた。
こちらの感知や視界を封じる効果のある魔法を使用した後に、転移魔法で逃げたようだ。
気が抜けたのか、ニール・ガウェインが座り込む。
神官から回復魔法を使用されながら。
「(さすがにギリギリだったぞ?)」
「よう?ニール?割と元気そうじゃねぇか?」
トリスタン・ジネイド第二王子が、ニールに馴れ馴れしく話し掛ける。
彼らは同期で、友人関係でもあるのだ。
回復と治療を終えた、ニール・ガウェインがヘンリー国王陛下に事の顛末を話す。
「以上が、謎の女と黒竜の報告となります、ヘンリー国王陛下」
「うむ、大義であった、ニール・ガウェインよ、もう下がって、体を休めよ」
「はっ」
ヘンリー国王陛下に頭を下げて、一礼をした後に、謁見の間から退出するニール。
いつも通りの剣崎勇樹やランスロット先生を見て安堵しながら、彼は報告書を書くのだ。




