09「夢への宿敵」
少年、剣崎勇樹は、一人前の英雄を目指していた。
ひょんな事から、ヘンリー国王の孫の男の子を弟子にする事になり、魔法や魔力について教えていた。
「――まあ、いろいろご託は並んでいるが、魔法を上手く使いこなすには、要するに……」
「要するに?」
「努力と根性だ!」
「努力と根性か?」
「ああ、そうだ!――これからビシビシ鍛えてやるから覚悟しとけよ?」
「おっす、師匠!」
「よぉし!それじゃあさっそくだが、幻影魔法使ってみろ?」
「へ?」
「お前の魔法がどれくらいだか、見てやるよ!」
「幻影魔法って、確か…相手に幻を見せる魔法だろ?――どんな幻影を見せればいいんだよ?」
「え?――うーん…」
ヘンリー国王の孫の幼い男の子に、勇樹が得意な幻影魔法こと、セクシーキッスを教える事になったので、弟子に幻影魔法を使ってみせろと言う。
ヘンリー国王の孫の男の子は、困惑しながら、幻影魔法を使うにも、どんな幻影を見せればよいかを聞く。
そう聞かれた、勇樹は、辺りを見回して――買い物中の若くて綺麗な女の子を見付けて。
「お?――よし、あそこで買い物をしてる、お姉さんの幻影を作れ!」
「お安い御用だぜ!」
ヘンリー国王の孫の男の子がそう言うと、幻影魔法を使う。
すると――綺麗な女の子ではなく、大きなポッチャリな女の子が幻影魔法で現れた。
「師匠!――どうだ?似てるか?」
「あ、ああ、服とか?」
そこに、さっきの買い物中の綺麗な女の子が、勇樹の背後で、拳を握りしめて、かなり怒りながら立っていた。
「ど、どこがよ!(怒)」
バチン。
勇樹は、その女の子に殴られた。
「いいですか?殿下――私の幻影魔法を使う時は、もっと可愛くして下さいね?(にこ)」
そう言って、笑顔で去って行った。
「こ、怖い!」
「なんで、俺が殴られるんだよ?」
笑顔の裏で、初めての恐怖を感じた――ヘンリー国王の孫の男の子。
その隣で、殴られて、ダウンする勇樹。
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~本屋にて~
「よっしゃ、次は、本屋でフェロモンについて研究すっぞ?」
「おっす、師匠!」
気を取り直して、街の近くにある、本屋に来た。
扉を開いて、中に入るなり、ずんずんとヘンリー国王の孫の男の子を連れて、奥へ奥へと進んで行く。
《【子供は読むな】》
と書かれた、注意書きの部屋に、店員の隙を見て入る。
「師匠?――ここ、入っていいのか!?」
「気にすんな、気にすんな!」
部屋に入るなり、目の前にある、綺麗で妖艶な女の子の絵がたくさん書いてある、書物を開いて。
「おい?――勇樹?――ここは、子供が入っていいところじゃないんだぞ?」
「え?(二人で)」
「ん~(怒)」
見ようとしたタイミングで、店員に見付かり、怒られた上に、本屋をつまみ出された。
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~大浴場にて~
「こ、これで最後だぁ!――気合い入れて行くぞ?」
「おっす、師匠!」
幻影魔法のセクシーキッスで、妖艶な女の子に変身した、少年、勇樹と――ヘンリー国王の孫が、大浴場の女性用の方へと、入って行く。
ただし、ヘンリー国王の孫の男の子は幻影魔法、変身失敗、ポッチャリな女の子の姿に変身している。
「「「キャー!?――勇樹、またあんたなの!?」」」
と、悲鳴と共に、大浴場の脱衣所にて、物を投げられ、叩かれ、追い出される。
ボロボロになった、少年、勇樹が立ち尽くす。
「な、なんで、俺ばっかり?」
「ごめん…」
「ん?」
「俺が、国王の孫だから…」
「気にすんなって!」
「え?」
「セクシーキッスの下ごしらえは、これで整った!――あとは、練習あるのみだぞ?」
「……、おっす、師匠!」
「いいか?――基本は、バン、キュッ、ボンだ!――やれ!」
「おっす、師匠!――幻影魔法!」
すると、ヘンリー国王の孫の男の子が、幻影魔法で、またもやポッチャリな女の子の姿を見せる。
「違う違う、もっと細身の!」
「おっす、師匠!」
「もっと、綺麗で可愛く」
「おっす、師匠!」
その後も、幻影魔法セクシーキッスの練習と修行は続いた。
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~歴代勇者の像がある場所にて~
歴代勇者の像がある高台から、見回して、望遠魔法で探す、メガネをかけた一人の男がいた。
その名は、ガレス・ボーマン近衛兵。
ヘンリー国王陛下の親衛隊にして、ヘンリー国王陛下の孫のお目付け役でもある。
「勇樹め、殿下に一体何をするつもりだ?――うーん、あの小僧、どこへ行った?」
「(私は、未来の勇者候補を何人も育てて来た、エリート近衛兵、私の世話をしている子に付く虫は――必ず排除する!)」
決意を固め、高台から飛び降りて、走って英雄都市の中を探し始めた。
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~公園にて~
公園のベンチに座って、ジュースを買って来て、飲みながら、休憩する――少年、勇樹と――ヘンリー国王の孫の男の子。
「ゴクゴク――ぷはー、ところで――お前って、どうしてヘンリー国王のじっちゃんに食って掛かるんだ?」
「……、アーサーっていう名前、じいさんが付けてくれたんだ!――この英雄都市の初代勇者に肖って」
初代勇者の名前は、アーサーである。
つまり、この幼いアーサーは、初代勇者の子孫に当たる。
「でも、誰もが知る筈の名前なのに、誰一人として、その名前で呼んでくれないんだ!――みんな、俺を見る時も、呼ぶ時も、三代目の勇者の孫として見やがるんだ!――だから、殿下殿下って呼ぶ――誰も、俺自身を認めてくれない!――もう嫌なんだ、そんなの!――だから、だからこそ、今すぐにでも勇者の名前が欲しいんだ!」
「バーカ、お前みたいなヤツ、誰が認めるか!」
「え?」
「ガキが語る程、簡単なもんじゃねぇんだよ?」
「なにぃ!?」
「簡単じゃないんだ!――勇者、勇者って、そんなに勇者や英雄の名前が欲しけりゃな!」
「な、なんだよ!?」
「この俺を倒してからにしろ!!」
「……」
自分の正直な気持ちと、悩み事の全てを打ち明けた、ヘンリー国王の孫の男の子こと、アーサー。
自分が、今すぐにでも勇者や英雄の名前が欲しいのだと、言う。
しかし、少年、勇樹は、その話を聞いて「お前の事は認めない」と言い返し。
まずは、目の前の勇樹こと、自分を倒してから、勇者や英雄を目指せと、アーサーに決め顔で言い放つ。




