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粒子と風

第48話 粒子と風




「裁かれる者、壊す者」


ノエールの中枢。

白い建物。

静かで、整いすぎた場所。


その中央に、エリスは立っていた。

拘束はされていない。

だが、動けない。


周囲には、人々。

審問官。記録官。観測者。


そして、上空。

光る輪――セントラルの視線。


「エリス・エル」

冷たい声が響く。


「あなたは、分配規定第七条に違反した」


エリスは、まっすぐ前を見る。


「……一人を助けただけよ」


ざわめき。


「規定外の供給は、全体バランスを崩す」


「意図的な例外行為と認定する」


沈黙。


「よって」


一拍。


「社会不安誘発因子として、隔離処理を提案する」



「粒子と風」

ノエールの中枢。白い建物。音のない空間。

すべてが、正確に動いている。


その中央に、エリスは立っていた。

動けない。

見えない力が、空間ごと固定している。


上空。

光る輪。

セントラルの視線。


「処理を実行する」

冷たい声。


床に、光が走る。

細い線。

円。

幾何学的な陣。


エリスは、小さく息を吐く。

「……やっぱりね」


その時。

扉が開く。


カール。


息が荒い。

濡れている。

だが。

目だけが、止まっている。


「……エリス」


エリスが、少しだけ笑う。

「来たんだ」


カールは近づく。

止まらない。


「止める」


エリスが言う。

「無理だよ」


光が、強くなる。


カールの手が伸びる。


触れられない。


「……やめろ」


エリスは、まっすぐ見る。


「ねえ」


一拍。


「怖い?」


カールの呼吸が止まる。


答えられない。


光が、さらに強くなる。


エリスの輪郭が、揺れる。


「大丈夫」


少しだけ、優しく。


「ちゃんと、見て」


カールの目が、開く。


逃げられない。


エリスの体が、光にほどけていく。


指先から。

粒子になる。


静かに。

音もなく。


崩れていく。


カールの目が、揺れる。


「……やめろ」


声が、かすれる。


エリスは、最後に笑う。


「人はね」


粒子の中で。


「数じゃないよ」


そして。


消える。


完全に。


何も残らない。


沈黙。


査察官「処理官僚」

「これから、エクトプラズム回収に入る」



カールは、立っている。


動けない。


呼吸が、浅い。


空間が、元に戻る。


何事もなかったように。


「処理、完了」


その言葉で。


カールの足が、動く。


一歩、後ろへ。


もう一歩。


視線が、揺れる。


何もない場所を見る。


「……」


そして。


逃げた。


廊下。

階段。

光。

影。


何も見ない。


何も考えない。


ただ、走る。


外。

雨。


呼吸が、乱れる。


「……っ」


止まる。


壁に手をつく。


震えている。


「……見た」


声が、かすれる。


「……消えた」


その瞬間。


風が吹く。


違う。


自然の風じゃない。


“知っている風”


カールが、顔を上げる。


そこに。


ひとりの男。


父。


アリエル。


静かに、立っている。


「……来たか」


カールは、何も言えない。


ただ、見ている。


父は、近づく。


ゆっくりと。


「……見たか」


カールの喉が、鳴る。


「……消えた」


それだけ。


父は、少しだけ目を閉じる。


「そうか」


一拍。


何も責めない。


何も言わない。


ただ。


カールの肩に、手を置く。


温かい。


「……帰るぞ」


カールの目が、わずかに揺れる。


「……俺は」


言葉が出ない。


父は言う。


「それでもだ」


風が、吹く。


「それでも、生きろ」


沈黙。


長い沈黙。


やがて。


カールの力が抜ける。


その場に、崩れる。


父が、支える。


軽く。

壊れないように。


カールは、目を閉じる。


「……俺は」


かすかな声。


「逃げた」


父は、答えない。


ただ、支える。


「……それでもいい」


小さく。


「まだ、終わっていない」


風が、二人を包む。


ノエールの光が、遠ざかる。


黒龍の気配が、どこかで見ている。


だが、今は追わない。


カールは、意識を手放す。


最後に浮かぶのは。


光の粒。


笑った顔。


「ちゃんと、見て」


闇。


静寂。


風だけが、残る。



ARVRゴーグルを外す、ソフィア。


黒龍「今見たのが、幼少期のカールだ」

「最後まで、スラムで育てていた、父は、

国王だということを告げていなかったのだ」



「カールが冒険に出るまで」



ソフィア「カール‥

共産主義の洗脳を受けていたみたいね」

「愛した子を失った過去があった」

「いつも、道化師のような、アホのふりをするわけがわかったわ」

「ありがとう、カールの過去を見せてくれて」

「私は、これから、またカールと合流するわ」

「カールは、普通に生きて、100年か、200年

よく生きても1000年」

「私は、永遠の命を生きる、エルフ」

「カールに私が愛せるかしら」


黒龍「さあな‥」

「世継ぎを作ることだな」

「いけ、時間はない」

「世界に終焉が訪れようとしている」

「ソホンの、初代、女王陛下、

ソフィア=ゴールドバーグ」


「果たして、カールと、2人、

この滅びゆく、世界を

救えるかな?」


「裏に、ワープホールがある、

そこから行くといいだろう」


ソフィア「ええ」

「さよなら、黒龍」





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