宝の持ち腐れ
その事に気付いたわたくしは布団に包まってうずくまってメソメソ泣いている場合ではないと、バッと布団を跳ねのける様に起き上がるとその勢いのまま困惑しているメアリーを残して部屋から飛び出す。
思い立ったら何とやらと言いますし、そして何よりもマオが生きているかもしれないと思うといてもたってもいられないし何かしていないと落ち着かない。
「シャ、シャルロッテ様っ!!」
「行きますわよメアリーっ!」
「行くって、どちらへですかっ!?」
そんな事等決まっている。
まずは知識が必要である。
であるのならば今から行くべき場所は帝城、そしてそこにいるはずの帝国宮廷魔術師長であり年齢も八十七とそれだけで様々な知識を持っていて尚且つ魔術の知識にだけは貪欲な人物ローレン・ハイツの許である。
そしてわたくしは朝ごはんも食べず両親の静止を振り切ってメアリーを引き連れ、浮遊魔術も飛行魔術も使えない上にワイバーンに乗りたくないと泣きながら懇願してくるメアリーが居る為流行る気持ちを抑えながら馬車にて帝城へと向かうのであった。
◆
「思ったよりも時間がかかりましたわね」
「そ、そうなのですか?馬に回復魔術をかけながら休憩なしで移動し続けたのでどの馬車よりも早く帝城へと着いたと思うのですが?」
「馬車の場合はそうですわね。ですが空を飛んだ方がもっと早い事はワイバーンを召喚できるあなたならばお分かりになるのでは?」
そしてわたくしは何故ワイバーンを召喚しなかったのかという嫌味の意味も込めて問い返す。
「そ、それが………恥ずかしい話になるのですが私は昔から高い所が苦手でして、特に乗馬など『地面に足が着かない』という状況が特に苦手で、ワイバーンに乗るなどその最たるものじゃないですか。私、死んじゃいます」
ワイバーン使いが高所恐怖症など宝の持ち腐れにしてもやりすぎではないのか?
「ワイバーンを使役できた時点で普通であれば克服しようとすると思うのですけれども、そのような事はしてこなかったのですの?」
「別に乗らなくてもワイバーンさえ出せば威張る事が出来ましたし、ダメ押しで光魔術を見せれば私がワイバーンへと乗る必要は無い程に皆ひれ伏してくれましたので」
「なるほど、そうでしたわ。あなたという人間がどのような人間か思い出しましたわ」
「す、すみません」
彼女の承認欲求が暴走してしまったが故にあのような事になったのだが、結局このメアリーという娘は他人にちやほやされればそれで良かったのであろう。




