死人が出るかもしれない
「そう、王国へ魔王討伐しに行く前によっぽど死にたいねっ………っと、普段であれば間違いなく今ここで死人が一人出ていたのでしょうけれども、バカの相手をするのはバカだけ。ここで怒ってしまっては私まで脳みそがクルミサイズの筋肉と同レベルの知能と思われかねないリスクは大きすぎますので今日だけは見逃してあげますわ」
「あ?」
「お?」
そして筋肉達磨のアレンと妖艶な魔女風のミランダは二人で睨み合い、その殺気の籠っている濃厚な空気がわたくし達のところまで漏れ出てしまっている。
いまの感情を例えるのならばいつ爆発してもおかしくない爆弾がある部屋で閉じ込められているという様な感情と同じだと、わたくしは思います。
「馬車は来ない。俺が運ぶからな」
そんな一触即発しそうな二人など「相手するだけ藪蛇」「触らぬ神になんとやら」とマオが言った後、その二人を無視して少し前に上がった話題である、馬車が遅れているのではないかという疑問に答える。
「フム、それは良いとしてどうやってお主が運ぶのかね?そして例え運べたとしても流石に非効率の様にも思えるがの。我々は目的地まで歩いて行けとでも言うのか?それだと儂は膝が痛くてのう、そこの荷物の一つとして運んでもらえると有難いんじゃが」
そして宮廷魔術師ローレン・ハイツが、本人は隠しきれている様ではあるもののどう考えても「歩きたくないです」と言った内容をくちにするのだが、わたくしは見てしまっている。
このクソジジイ………おっと、わたくしとした事が。はしたないですわ。
とにかくこのおじいさんはこないだ女性のお尻を追いかけまわして触り、逆に切れる女性達から追いかけまわされる立場になっても老人とは思えない程の速さで逃げながら更に別の女性の胸を触っていた事を────
「言っとくが儂はケツが青い小便臭い子供は、儂の好みからはかけなはれておる。大人の女性かつもっとグラマラスな、それこそ儂もろともその厚い肉の壁で包み込める様な女性が好みじゃから。それと比べればお主はケツの青い小便臭い娘な上に肉厚すらないので儂の好みの正反対じゃな。まず襲う事は無いと言い切れるので安心せよ。まぁ、そんな身体で異性を落とせると思っているのは片腹痛いとは思っておるがの」
どうやら筋肉達磨に加えてもう一人死人が出るかもしれないとわたくしは思うのであった。
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「しかし、あなたが今帝国中で話題になっているあのドラゴンであったとは思いもよらなかったわね」




