二人でいちゃいちゃしているだけだ
娘のその言葉は尤もな内容なのだがその言葉を魔族であろう魔王ではなく人間である娘が魔王である男性に対して詰め寄りながら言うという奇妙な光景が目の前で繰り広げられているのだから世の中自分の常識が通用しない場合又は通用しない者は意外に多く存在するものであると再度認識させられる。
「落ち着け、ご主人様。俺はこうなるであろう事は寧ろかなり前から想像はついていた。だからこそ驚きはしないし、俺の意志も既に決まっている。それに、今までご主人様を鍛えていたのは俺の単なる娯楽だとでも思っていたのか?」
「い、いえ……………魔族姿のマオと一緒にいられる時間が長くなる為にわたくしは頑張っていたのですけれども」
「なんだそりゃ」
「バカっ!おたんこなすっ!唐変木っ!鈍感っ!」
ってどうしたんだご主人様っ!?いきなり俺を叩き出したりしてっ!?ご乱心かっ!?誰か助けてくれっ
!」
いや、今のは流石にマオとかいう魔王が明らかに悪いであろうと誰も助けようとしないし、火の粉が飛んで来ないように目線を背ける。
それい魔王ともあろう者が本気で嫌がっているのであれば小娘一人など簡単にあしらう事ができるであろう。
そう、これはただ単に二人でいちゃいちゃしているだけだ。
「んんっ!!」
その光景に水を差す勇者が一人いた。
そう、魔王といちゃついている娘の実父であるランゲージ家の当主イグニスである。
彼の顔には青筋が浮かんでおり、恥を知れと書いているのが我でも分かった。
「やっと落ち着いたかご主人様」
「誰のせいだと………」
「まぁ、ご主人様の不平不満はおいおい聞いてやるから。取り敢えずは俺がご主人様を一端の聖女として育て上げたのには訳があって、それはまぁ言ってしまえば魔王討伐のメンバーとして連れて行く為だな」
「…………いやいやいや、そんなただの小娘一人捕まえてマオは何を言ってるのかしら?」
「双頭の蛇のダンジョンボスを一人で、それもたったの一撃で倒せるようにまでなったご主人様がこの世界では『ただの小娘』ではなく『ランクS級以上の実力者』だと俺は思うのだが?」
そして放心状態のランゲージ家の娘であるシャルロットを部屋の脇に置いた椅子に座らすと魔王と共に、王国に新たに現れたという聖女と魔王の討伐に参加するメンバーの選定や作戦を詰めて行くのであった。
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「魔王討伐の為に召集の命令が来たからどんなメンバーが集まるのかとワクワクしていたがその殆どが見慣れた顔ぶれではないか」




