刺激的な体験であった
そう言いながら黙々とマオが灰と化したダンジョンボスのなれの果てをかき分けてドロップアイテムを探し出し始める。
そもそも倒したときに偶に出るドロップアイテムがある事は知っているのだがそのドロップアイテムが落ちるのには条件があり、その条件を満たせば安定してダンジョンボスからドロップアイテムを回収できるのではないか?
そうなれば大金持ち待ったなしなのだが、なぜそれを、しかも未だ誰も踏破したことない高ランクのダンジョンボスのドロップアイテムの取得方法をマオは知っているのであろうか?
目の前で繰り広げられる状況に脳が追いついていかず、わたくしがこの化け物を一撃で倒したのだという衝撃はいつの間にかすっかり思考の隅へと追いやられていた。
「お、あったあった」
そんな時マオが、まるでそこそこ珍しい山菜かキノコを見つけた時の様な反応で灰の中からドロップアイテムを見つけた様である。
その手にはまるで炎用の用に真っ赤に光り輝き宝石のネックレスが握られているではないか。
そのネックレスが普通ではない事が少し離れているわたくしですら一目で分かる程のオーラを放っている。
「この【炎の加護】という装備品なのだが、使用者の魔力を底上げし炎耐性付与に、使用者が行使する炎に関連する攻撃が全てダメージ二割り増しだけではなく、一日一回即死ダメージを回避できるというアイテムなんだ」
そう説明するマオの顔はまるで自分の趣味を語る男性の様な表情をしており、それがまた可愛く見える。
「ではなくてっ、と、ととととんでもない代物なのではっ!?」
「そうだよな。ご主人様もそう思うか。序盤で比較的簡単に手に入るこのアイテムのせいで初心者は基本的に炎属性の武器で揃えてしまうという偏りができてしまった原因だな。なんでこんなバランスが崩れてしまうようなアイテムを序盤でドロップするようにしたのかと一時期話題になっていたのが今では懐かしく思えるな。ほら、つけてあげるから首を出してくれ」
「………わ、分かりましたわ」
結局最後の、マオが直接ネックレスをつけてくれるという事で全て諸々吹っ飛んでしまう。
後ろから抱擁される様にしてネックレスをつけて貰うというのがこれ程までに刺激的な体験であるとは意外である。
わたくしの胸はその間ドキドキしっぱなしだ。
背中に感じるマオの体温、聞こえてくるマオの息遣いに、優しくネックレスをつけてくれるマオの指使い、それら全てがわたくしにとって刺激的な体験であった。




