ドロップアイテム
あ、もうダメだ。
目に前には大きな顎門を開けた二つに頭。
その首元は赤く光り輝いているのが見える。
そう思った瞬間わたくしは炎に包まれていた。
人間死ぬ瞬間は呆気ないとはよく言うものの、流石わたくしもこんな死に方をするとは思いもしなかった。
走馬灯も何も見なかった。
出来ればもう少しだけ長く生きてマオと一緒に平穏な日々を過ごしたかったな。
種族がそもそも違う為妊娠する確率はかなり低いのだがもし産めるのであればマオの子供を産んでみたかったし孫の顔も親に見せてあげたかった。
一応、わたくしがこんな事になった要因にマオが深く関与していると言いますか、最早主犯なのだが、それでもわたくしはマオが好きだ。
惚れた方が負けとは良く言ったものである、と身を持って体験するとは。
「いつまで呆けているんだご主人様。さっさと反撃しないか。そろそろ準備運動も良いのではないか?」
「……………へ?生きてる………?」
と、言いますか痛くも無ければ熱くも無い。
「当たり前だ。ご主人様の今のステータスとここのダンジョンボスのステータスではご主人様にはダメージが入る訳ないだろ。万が一ダメージが入ったとしても自動回復能力による回復値を上回る程のダメージは与える事など出来ないしな。三秒経てば傷もろとも消え去ると思うぞ」
「…………成る程分かりましたわ。今のわたくしは化け物の仲間入りを、それこそ目の前の蛇如きではわたくしを殺す事が出来ない程には化け物に成ってしまっている事に」
そしてわたくしはやけくそとばかりに適当に魔術を行使する。
使ったのは一番ダメージが入り難い筈の炎魔術かつ底段位の魔術【火柱】である。
因みにわたくしは今中段位の【炎柱】高段位の【火炎柱】と全ての段位を使用することが出来る。
わー、凄いですわー。マオから頂いたアイテムを使っただけで覚えたなど宮廷魔術師の前で言ってしまったら自殺しかねませんわー。
そしてわたくしは目の前の光景を見ながらそんな事を思い現実逃避をする。
今わたくしの目の前では見たこともない青白い炎の柱で焼き殺され、消炭と化した蛇擬きの成れの果てが出来上がっていたからである。
「流石に燃やし尽くしたら勿体無いであろう。ギルドにでも卸せば金貨数枚はしたんじゃないのか?」
「金貨だけではなく龍殺しの英雄も手に入りますわね」
「まぁでも、この蛇を攻撃回数十回以下で倒すと言う隠しミッションをクリアするという当初の目的は出来た訳だから流石にドロップしてると思うんだが、流石にドロップアイテムまで消炭なってないよな……」
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