わたくしの気も知らないで
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「しかし、どうして帝国ですの?」
私は今マオの首に跨り大空を飛びながら帝国へと向かっていた。
勿論王国から金貨三百枚を頂いた後にである。
落ちたら危ないから他の家族や使用人同様に大きめの馬車へ入っている様に言われたのだがどうしても小さな頃からの夢である空を飛ぶという雰囲気だけでも特等席で味わってみたかったからだ。
後、マオに少しでも長く触れていたいという邪な思いが無いと言えば嘘になるのだが、そこは許して頂きたい限りである。
そのお陰かマオは自分のストレージからドラゴン専用の騎乗用の席を自らに装備してくれて今私はそこに座っている。
因みに寒さ対策の為にわたくしはもこもこに着膨れさせられていたりする。
「そうだな、とりあえず嫌な予感がするからご主人様の能力向上を王国以外で上げたいと考えた場合帝国が一番簡単だからだな。帝国にはレベル上げに最適なダンジョンもあるのはでかい。あとは皇帝陛下は人徳のあるお方で、道徳心もまともだ。むしろ世の為人の為にと常に考えそれらが巡り巡って国力を反映させて帝国へといずれ還元されるという考えの持ち主だからだな…………ゲームの内容通りならばだが」
「マオは皇帝陛下と知り合いなのですの?」
「知り合いでもなんでもないな。なので憶測に過ぎないのだが、恐らく当たっているだろう」
そんな会話しながらマオと大空を駆けていく。
まるで風になったかの様な光景に思わず見惚れてしまう。
「ちゃんと前を見ておかないと危険だぞ?」
「わ、分かっておりますわっ!それにわたくしももう子供ではありませんもの。流石に何が危ないか危なくないかくらいの分別は付きましてよ」
「まぁ、最悪神に喧嘩売ったとしても俺がご主人様を助け出してやるよ」
「あ、当たり前ですわっ」
そんな言葉を恥ずかしげも無く言う所もマオはずるいと思う。
わたくしの気も知らないで。
でも、嬉しかった。
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どうしてこうなったのか。
途中までは完璧だった。
私だけが唯一の光魔法の使い手で、私だけが聖女だとチヤホヤされていたのに。
カイザル殿下の婚約者という座も、あのいけ好かないシャルロットから奪ってやったというのに。
産まれた時から祝福に包まれ、幸せな家庭で何不自由なく空腹すら知ること無く育ち、カイザル殿下の婚約者にもなったシャルロット。
それに引き換え私は貧乏の農民の間で七番目に産まれ、そのまま教会に預けられ、シスターからは影で暴力を振るわれて食事も質素な物しかなく常にお腹を空かしていた。




